恋愛は「4コマ漫画」ではなく「長編映画」
プライベートな人間関係に「技術」というのは抵抗があったが、帯の「好きな人の前で素直になれない、しっかり者のあなたへ」には抗えなかった。しっかり者ではないが、「好きな人に」甘えるのは苦手である。
まわりに甘やかしてくれる大人がいなかった。強いていえば年に一度会う叔父くらいだ。高校に入ると女子というだけで甘やかされるようになったが、すでに大きく出遅れており、気になる人に甘えるようなことはできなかった。語学などと同様、ある程度の年齢までに始めないと身につかないのかもしれない。自信がないからなかなか甘えられない。場数を踏まないからいつまでたっても自信がつかない。よくある悪循環である。
「技術」としてあげられた具体的な台詞については、「こんなんよう言わん」と思ったが(標準語だから、というのもある)、甘えることに抵抗がある人へのアドバイスなど、身につまされる話が色々あった。
甘えるのが怖いのは、失敗が怖い、というだけではなく、「失敗したら立ち直れない」ために臆病になるからだという。たしかに、受け止めてもらえなかったら大打撃で、やっぱり私にはそういうのは似合わないんだ、という決意? を新たにし、「自分は甘える柄ではない」という思いをバームクーヘンのように太くしていく。ところが、自信がある人は「こんなことで嫌われるはずはない」と考えるというのである。衝撃的な話であった。考えてみれば私にしても、自信のあることなら、一回失敗したくらいで「もうだめ」などとは思わない。それなのに。
そういう人は少なくないらしく、筆者の元には、「これってもうだめってことですか」という相談がよく寄せられるという。そのたびに「あなたの恋愛は4コマ漫画なんですか!」(同書)とつっこみたくなるらしい。曰く、
恋愛上手な人は、「ちょっと彼が冷たいひと言を放ったり、あまり浮かない表情だったりしても」(同書)焦らずに途中経過を楽しめるらしい。考えられない・・・そんな時には焦っていらんことをしたり萎縮したりするものではないのか。(2017. 3)