恋愛至上主義、といいながら
何がきっかけだったか、去年の秋ふと、恋愛至上主義だといいながらそのために自分は何もしてこなかった、という恐ろしいことに気づいた。もちろん、外見に気を使うとか、彼を楽しませることを考えるとか、間接的な努力は惜しまなかったが、二人の関係を動かす、という意味では、女の側が動かしてはいけないという決まりがあるかのように何もしなかった。相手が動かしてくれるのを、ただ待っていた。いや、じれじれと待っていた。その上、ひどいことを言われても言い返せずに落ち込み、何か失敗したと思えば萎縮していたのである。
自分は本来、○○したい、と思った途端に作戦を立て、計画魔と化すタイプの人間である。それが、一番大切だと考えることに限って、なんで何もしなかったのか。そのことに十年以上気づかなかったのか。理由すら思い当たらない。ぐうの音も出ない、とはこういうことか・・・などと思いながらしばらくぼんやりした後やっと浮かんだ言葉は、その頃よく使っていた「ばっかじゃなかろうか」であった。 (2019.8→2024改)