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連絡しない要因はいっぱいある

「もか彼さんは特に何も考えてないように思いますが・・メールを送らない要因なんていっぱいあるし」

友人のメール

彼にプレゼントとカードを渡したのに何も言ってこない、という話(連絡をくれない男)を友人にした時の返事である。たしかにそうだと思って考えてみると、いろんな可能性が頭に浮かんだ。なんで、「カードを入れたのがよくなかった」という選択肢に固執していたのだろう。「送らない要因なんていっぱいある」は効いた。

相手が連絡をくれない理由なんていくらでもあるし、そのうちのいくつかが重なることもある。それなのに、自分に非があった、というものを選んで心を痛める女は少なくない。しかもいったんそう思うと他の選択肢に目がいかなくなる。

一番消極的な、しかし一番可能性が高いのは「ただ単に忘れている」であろう。そして忘れる事情もいっぱいある。もちろん、相手を軽視しているから忘れるわけではない。自分にとって大事なことなら忘れない、なんてことはないからだ。とはいえ、忘れてた、と言われればがっかりするし、ドラマなどでは女が「私ってその程度の・・」などと言うシーンが見られる。

この、男の理由の本命ともいえる「忘れていた」は、女の側の、彼に対する言動の理由にはまず含まれない。女の生活から恋愛が長時間抜け落ちたままである、ということはまず考えられないからだ。だからこそ、彼女たちが想定する「男の言動理由の選択肢」から往々にして欠落する。

そういう違いがあり、なおかつ断片的な情報しかないにも関わらず、私たちは「何々してくれない理由」を推測(邪推?) する。恋愛がらみでなくても、誰かの言動が自分にとって好ましくないものだった時には、勝手に理由を決めてしまいがちだ。しかし人の言動の理由なんてわかるわけがないし、わかったから楽になるわけでもない。そもそもどうしても気になるのなら直接きくのが一番いい。結局それができないということなのだろうが、だからといって変に推測すると、よくない方へ転がることの方が多い気がする。

とにかく、連絡がない理由が「こちらの非」であることはめったにない。その証拠に、連絡してみればたいてい何事もなかったかのように話が通じる。何らかの理由で不通になったインターネットが再び開通した時の感じに似ている。そういう場合、普通は電源を入れ直したり、再起動したり、あるいはどこかで工事やってるかも、といったん放置したりする。いきなり「パソコンがおかしい」とは思わないし、単なる接続不良だとわかってしまえば、その理由を考えたりはしないはずだ。彼との不通も、そういう風に淡々と受け止められればいいのだが。 (2020.5)

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