
小説 本好きゆめの冒険譚 第三十九頁
左手から眩い光を出し、ゆめとゼウスを包み込む…
その光はやがて、大きな光の玉になって、本の中へ消えていく…。
北風と太陽の世界・・・
そこは・・・「暑かった!」
ギラギラとした太陽が、容赦なく照らし続ける。
「北風と太陽って言うぐらいだから、ちょうどいい温度かと、思っていたのだけど…ねぇ、ゼウスさん。」
「・・・・」
「ゼウスさんってば!」
ゼウスは小声でゆめに耳打ちをする。
「ゆめ、せめてゼウスって名前を呼ぶのは、やめてくれんかの?本当に干渉をしてはいかんのじゃから…」
「じゃあ、何て呼べばいいですか?」
ゼウスは急にいい声で、「あなたが、いいと思う。」
「そんな事したら、またヘーラーさんに怒られますよ」
「た、頼むから、アイツにだけは、言わんでくれ。」
「じゃあ、お父さんで、いい?」
ゼウスはお父さんと呼ばれるのが嬉しかったのか、ありがとうって、言ってきた。
「それとお父さんの格好も、どうにかしないとね。」
ゼウスはゆめの頭に手を置いて、
「儂に似合う格好を想像してくれんかの?」
私は単純に、真ん中に「大丈夫」と書かれた白いTシャツ、ジーンズ、白のスニーカーをイメージしたら、本当に、その通りになった。
何故か私が想像してないはずの帽子とサングラスがあったけど、まあいいか。
日本カブレの外国人みたい・・・
「早速、行こっか、お父さん!」
私は「お父さん」こと、ゼウスさんの手を引いて歩いて行った。
――――――――――――――――――――――――――
2日連続で短いですね・・・