
小説 本好きゆめの冒険譚 第四十四頁
「はい!わかってます!」
「力の応用で、攻撃をするんじゃ!」
「はい!」
ゆめがペンを天に突き上げた。
万能本のページが捲れていき、ピタッと止まる
天空に黒い雲が渦巻いて雷雲と化す…
「今じゃ、放て!」
突き上げたペンをサボテンに振り下ろすと、轟音と同時に、稲妻が走る!ゼウスの槍の力と同じである。
稲妻を受けたサボテンは、跡形もなく消え去るだけ…
・・・地面が、真っ二つに割れてしまった…。
その光景を見たヘーラーは、気絶してしまった。
「なかなか良かったぞ、ゆめ。」
「うん。ありがとう。」
「でもね、違うと思うの。」
「何が違うのかの?」
「カッコ良くないし、可愛くないし、遅い。」
「そ、そうか、そうか、ゆめには、敵わんな〜!」
とりあえず、このままの状態では、「北風と太陽」の噺にはそぐわない地形になってしまったので、早々に元に戻すことにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
旅人が、やっと近づいてきた。
焼き殺すのは簡単だが、面白くないな?
俺様の力だけで、マントを脱がせられるか?
そういえば、独りでやったことがないな…
いつも、「北風」と、一緒だったからな。
ん?あっちが騒がしいぞ…。
雷雲?北風が来たのか?
いや、違う。
北風の雲とは桁が違う…。
ー稲妻!ー
あれは、御方の槍でのみの攻撃の力。
いらっしゃるのか?
いや、変態しかおらん。
地面が割れておるでわないか!
やはり、御方しかあるまい…。
ん"ん"っ!割れた地面が消えた…?
そんなことが出来るのは、
あの御方しかあるまい!絶対にそうだ!
・・・やはり、変態しかおらん。
まあ、いい。
アイツラは面白そうだから、後回しだ。
旅人は…。
気絶してるではないか!
また、暇になるな…。
…北風、早く帰って来い。