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第Ⅱ部勇者パーティ編 第11章 商人キリ活躍編 3.マナコンの改良

 私は、以前、手に入れた魔導書で、「魂の複製」「魂の刻印」「空間圧縮魔法」「時間遅延魔法」「魔法の魔法陣化」の特殊な能力を手に入れた。

 今回は、これらを改良するつもりだ。まず、改良しやすいように、それぞれを魔法陣化することにした。今必要なのは、時間遅延魔法の魔法陣化だ。

 出来上がった魔法陣を改良して、全く逆の働きをする魔法に組み変えることにした。つまり、時間圧縮魔法を作るつもりだ。これは、簡単に作成できた。というのも、マナの流れを逆にするだけで良かったからだ。

 出来上がった魔法陣をスキル鑑定で、動作を確認した。すると、思ったように働くことが分かった。早速、マナコンに使うことにした。この魔法陣を利用した回路を特に速度を要求する所に使ったのだ。

 すると、これまでのマナコンの3倍の速度を出すことが出来た。これで、高速化の方向がわかった。今後の開発で、更に高速に動作するマナコンを作ることが出来るだろう。

 得られた結果をマナコンの為に雇った従業員に教えた。これで、後の開発は任せることができる。そして、ライブラリの方も、順調に増加しており、新たな言語を開発するための知識は十分に備わったようだ。

 私は、マナコン開発用の従業員を一堂に集めて、これからの作業を説明することにした。

 「これから、皆にやって貰うことは、2つです。一つは、現在のマナコンを更に高速に動くように改良すること。そして、もう一つは、その新しいマナコン用の新しい言語を開発することです」

 「何か、ヒントはありませんか?」

 「ハードウェアの高速化については、以前話した空間圧縮魔法と時間圧縮魔法を出来るだけ効率よく使ってください。それと、現在は、マナコンの中心で動いている部分は、一つだけですが、これを複数にして、相互的に動くようにしてください。つまり、皆さんの様なチームとして動くようにするということです。まずは、それぞれのマナコンを接続して、補完的に動けるように必要な言語を開発してください」

 「分かりました。でも、新しい言語と言われても、よく分かりません」

 「そうですね。まずは、皆さんに作って貰ったライブラリが効率よく使えるように言語を拡張してみてください。それから、複数のマナコンを相互に補完的に動くのに必要な言語の機能を考えてください。その結果をつかって、新しい言語に必要な機能を整理していくと、できると思います」

 「分かりました。まずは、やってみます」

 まだ、開発用の従業員、つまり、研究員の数が少ない。これを出来るだけ早く解消していきたい。そこで、他の国の支店でも同じように研究員を募集して、数を増やすことにした。

 私は、まず、ローザが思念伝達が使えるように思念伝達魔法を魔法陣化して、道具に組み込んだ物を渡した。

 「ローザ、キリだけど、分かるかな?」

 「はい、思念伝達ですね。私から、連絡する時は、道具を使ったら、いいのですね」

 「そうだよ。これからの仕事を言うので、実行に移してくれるかな?」

 「はい。なんでしょう」

 「以前お願いしていた各国の輸出入商品のリストは、できた?」

 「はい、出来ています」

 「それじゃ、それを利用して、各商品をサンライズ商店の店頭に並ぶようにしてくれる?」

 「わかりました。生産国から、安く買って、高値で販売している国で、安く売るということですね」

 「そのとおり。お願いね」

 「輸送は、例の転移魔法を用いた輸送システムを使ったらいいですか?」

 「それでいいよ。新たに各支店で、従業員を雇って貰って、その従業員にも、この輸送システムと思念伝達の道具を使えるようにしてくれる?」

 「はい、少し時間が掛かりますが、やって行きます」

 「もう一人、ローザの直属の部下を雇ってもいいよ」

 「そうですね。まだ、どの従業員がいいのか、分かりません」

 「それなら、他の街の商業ギルドに努めている従業員を引き抜いたらどうかな?」

 「そうですね。それなら、新たに教えなくても私と同じように動けますね」

 「ド-トムント街のチョートン、マ-セイ街のマイマイ、エアフ-ト街のアスジハ、リグーリ街のベニーミに当たってくれる。全員引き抜いてもいいよ。給料は、今のローザと同じで、交渉してくれる?」

 「はい、分かりました」

 「それから、ローザの給料は、今の倍にするよ」

 「わぁ、うれしい。これからも頑張ります」

 「よろしくね」

 私は、ローザとの思念伝達を打ち切って、転移魔法でウディーア王国の本部に移動した。この国では、ポーションと初級のアイテムボックスを作っている。いずれも、安定して売れている商品だが、1個当たりの利益が小さい。そこで、貴族向けの高価な商品を生産することにした。

 今考えているのは、工芸品だ。出来れば、材料費が安いものがいい。オリハルコンで作った武器なども高価だが、オリハルコンの鉱山を持っていないので、材料費がかなり掛かってしまう。

 色々と考えていたところ、昔、テレビで見たからくり人形を思い出した。お盆の上に湯呑を乗せた人形が動くというものだ。それに似たものを簡易版のマナコンで作ろうと考えた。これなら、他の商店が真似ることができないサンライズ商店のオリジナル商品になるだろう。貴族の子供向けに開発すれば、いくら高価な金額を設定しても売れるだろう。

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moka
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