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第Ⅱ部 勇者パーティ編 第9章 魔大陸侵攻編 5.魔人シータ

 転移魔法用の神具で、シータ島へと移動した私達は、これからの計画を立てることにした。私は、もう一つの魔法陣を確認したかったので、キリ姉に声を掛けた。

 「キリ姉、ちょっと、待って居てね」

 私は、もう一つの魔法陣を探し、その描かれている図形を調べた。これで、3つの魔法陣を比較することができた。

 「終わったわ。もう、いいよ」

 「それじゃ、まず、周りの調査をしてくれる?」

 「はい、キリ姉」

 私は、スキル探索で、付近の様子を調べた。すると、前の島と同様の形態であることが分かった。今いる遺跡に他には、ダンジョンがあるだけだった。そして、魔人シータは、ダンジョンの最下層に居るようだった。

 「キリ姉、魔物は、ダンジョンの中にだけに、いるよ。そして、第50階層に魔人シータがいるみたい。他の魔物も、前のダンジョンと同じみたい」

 「そうか。それなら、魔人シータの能力次第というわけね」

 「魔人シータについては、まだ、何の情報もないわ」

 「調べる方法はないのか」

 ハルトが、キリ姉に質問した。

 「あるとすれば、遺跡の中だね」

 ミユが、提案した。

 「そうね。一度、遺跡を調べて見る?」

 「「はい」」
 
 私達は、遺跡を調べて行った。すると、遺跡の隅に、壊された石板が見つかった。私は、土魔法で、破片を集めて、元の形に復元した。すると、そこには、ルーン文字で、魔人シータについて書かれていた。私は、アイテムボックスから、マルグリット先生から預かったルーン文字の辞書を使って、書かれている内容を調べて見た。

 「キリ姉、魔人シータについて、少し、分かったわ」

 「キリ、よくやったわ。どんなこと、教えて?」

 「魔人シータは、サーモ・レジストを扱うことが出来るらしいの。でも、その効果については、書かれていないわ。」

 「そのサーモ・レジストは、実際に遭遇しないと分からないということね」

 「キリ姉、ちょっと、相談があるんだけど。」

 「何? 言って見て」

 「今までの所、各島に一人の魔人がいたけど、この後もそうとは限らないわ」

 「どういうこと?」

 「つまり、複数の魔人が一つの島に集まっていてもおかしくないよね」

 「確かに、そうね」

 「だから、情報だけを集めて、もう一度、今後の計画を考えてみてはどうかな?」

 「どうやって、情報だけを集めるの?」

 「今の所、隠密魔法は有効なので、それで、すべての島を回って来るの。どうかな?」
 
 「それで、誰と行くの? まさか、一人じゃないよね」

 「パープルと行くよ。パープル、いいかな?」

 「うん、キリと行くよ」

 「他の皆もいいかな?」

 キリが、ハルトとミユに尋ねた。

 「「いいよ」」

 「それじゃ、お願いするね。でも、危険だと思ったら、直ぐに、戻って来てね」

 「はい」

 私は、遺跡に描かれているロー島への転移魔法陣を見ながら、効率の良い魔法陣に改良したものを神具にした。

 「パープル、用意はいい?」

 「いいよ」

 私は、パープルの背に乗り、隠密魔法を使って、姿を消した。そして、神具を使って、ロー島へ移動した。

 ロー島に移動した私達は、直ぐに、もう一つの魔法陣を探し、それを元に、イプシロン島へ移動するための神具を作った。そして、遺跡にある石板のルーン文字を記録して、神具を使って、イプシロン島へ移動した。

 ここまでで、かなりの魔力を使ったので、青のポーションを飲んで、魔力を回復させた。

 イプシロン島でも、同様に行動して、最後の島、プサイ島へ移動した。そして、直ちに、スキル探索で、島全体を調査した。すると、魔人以上のレベルの魔物が6人いることが分かった。そして、ダンジョンは、魔火山を囲んで、4個あることも分かった。

 私達は、遺跡にある石板のルーン文字を記録して、直ぐに、神具を使って、イプシロン島へ移動した。ここで、もう一度、青のポーションを飲んで、魔力を回復させた。

 そして、神具を使って、ロー島へ移動し、更に、シータ島に移動して、キリ姉達と合流した。そして、隠密魔法を解除した。
 
 「キリ姉、戻って来たわ」

 「ご苦労様。どうだった?」

 「最低限の情報を集めただけよ」

 「わかったわ。教えて」

 私は、得られて情報を教えた。特に、プサイ島に、魔王ズハアが居り、4つのダンジョンが魔火山を取り囲んでいること、そして、その島には、6人の魔人以上の魔物がいることを伝えた。

 「そうか。プサイ島に集まっているのね。多分、魔王ズハアと魔人ブラック、魔人バイオレット、魔人イエロー、魔人グリーンは、いるね」

 「そうだと思う」

 「あっ、それから、魔物は、遺跡にはいなかったよ。すべて、ダンジョンの中にいるみたい」

 「それは、好都合ね。ダンジョンを無視すれば、最小限の戦いで済むわ」

 「でも、それは、今だけかも知れないから、安心しないでね。」

 「キリ、分かっているわ」

 「それと、移動に、かなりの魔力を使ってしまうの。だから、もう少し、工夫しないとだめね。」

 「ここにある、大量のマナを使えないの?」

 「本当ね。気がつかなかったわ」

 「そっちは、キリに任せるわ」

 「はい、任せて!」

 「皆、一度、元の世界に戻らない」

 急に、キリ姉が提案した。

 「キリ姉、どうしたの?」

 私は、不思議になり、聞いた。

 「移動に、かなりの魔力を使うわ。それは、膨大なキリですら、魔力切れを気にするほどよ。そうすると、魔人と言えども、直ぐに、島を移動できないわ。魔物が溢れた原因は、分からないけど、今の様子では、魔人が操ったとは考え難いわ」

 「確かに、そうね」

 ミユも、魔人の働きは、まだ、無いと思っているようだ。

 「それなら、今、攻撃を仕掛けなくてもいいのじゃない?」

 「そうね。今度は、闇魔法で結界を作り、ゲートを封印しておくわ。そして、アラームも設置しておくね」

 「キリ、お願いね」

 「はい」

 「それじゃ、戻るよ」

 私達は、キリ姉の提案に従って、元の世界に戻る事にした。私は、忘れずに、ゲートを封印し、アラームを設置して、全員に連絡が入るようにした。

 「それじゃ、一旦解散ね」

 私達は、それぞれの生活に戻る事になった。私とミユは、魔法学院で、魔法を勉強することにした。当然、パープルも一緒だ。

 キリ姉とハルトは、仲良く、ダンジョン巡りをするようだ。

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moka
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