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第Ⅱ部勇者パーティ編 第10章 魔法学院ミユ編 8.魔法学院の授業

 今日は、魔法学院の授業がある。授業前に、皆、朝食を取りに、食堂に皆が集まっていた。

 私達は、朝食を取りながら、昨日のダンジョンの話で盛り上がっていた。すると、クルドが私を見つけて、やって来た。

 「キリ、ダンジョンに行ったのか?」

 「そうだよ」

 「俺も、誘ってくれてもいいだろう」

 「どうして?」

 「同じ、魔法学院の生徒同士だろう」

 「それで」

 「俺じゃ、だめか?」

 「クルドは、何ができるの?」

 「魔法だよ。黒魔導士だよ」

 「それじゃ、私と被っちゃうよ」

 「うーん、それじゃ、何だったらいいんだ?」

 「そうだね。タンクかな?」

 「よし、分かった。タンクの練習をするよ。そしたら、一緒にダンジョンに行ってくれるのか?」

 「その時に考えるよ」

 「分かった」

 クルドは、あっさりと諦めてくれたようだ。私達の所から、離れていった。

 「今日の授業、何か、知っている?」

 私が、皆に聞いた。すると、ミユが答えてくれた。

 「1時間目が風魔法の講座よ。それから、2時間目に火魔法の講座があるわ」

 「ありがとう。ミユは、よく知っているね」

 「前の日から、準備しているもの」

 「「すごい」」

 皆が、一斉に感嘆した。本当に、ミユは、真面目なんだ。これからは、もっと、ミユを頼ろう。

 「それじゃ、授業に行くよ」

 「「はい」」

 私達は、風魔法の講座の部屋に行って、席に着いた。ミユが居るので、私達は、教室の先頭の中央に座ることになった。暫くすると、先生が教室に入って来た。

 「おはよう。風魔法の講座を担当するカイドウと言います。よろしく」

 カイドウ先生は、立派な髭を蓄えた男の先生だった。

 「今日は、私の魔法を真似て、実行するだけです」

 教室の皆が、カイドウ先生の詠唱に合わせて、魔法を起動していった。特に難しいものはなかった。ミユやエルミアの様子を見ても、大丈夫そうだった。

 少し暇だったので、教師の中の他の生徒の様子を眺めていた。すると、一人、飛びぬけて大きな魔力を持っている生徒がいた。興味が沸いたので、授業の終わりに声を掛けてみた。

 「おはよう。私は、キリ。あなたは?」

 「私は、イガタ乃彩ノアです。よろしく」

 「変わった名前ね。ひょっとして、召喚者?」

 「はい、そうです。でも、勇者ではありませんよ」

 「そうなんだ。これからもよろしくね」

 「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

 召喚者って、意外に大勢いるんだ。認識を新たにした。そして、全員が勇者という訳ではないということも、改めて思い起こした。

 「さあ、次の授業ね」

 「私に付いて来てください」

 ミユが、先頭に立って皆を誘導した。ミユは、魔法学院のマップも頭の中に納めているようだ。迷わずに、次の火魔法の講座の教室に着いた。また、私達は、教室の先頭の中央に並んで座った。先ほどのイガタさんも教室の隅に座っていた。スキル鑑定を使うのは、失礼なので、止めておいた。

 「お早う。私が、この火魔法の講座を担当するカエザーです。よろしく」

 この火魔法の授業も他の授業と同じように、教師の真似をして魔法を起動するだけだった。また、暇なので、教室の様子を見渡していわた。すると、今度は、明らかに魔法が苦手な生徒がいた。こちらも、興味が沸いたので、授業の終わりに声を掛けた。

 「こんにちわ。キリと言います。よろしく」

 「こんにちは。私は、フヨウと言います」

 「魔法が苦手ですか?」

 「あら、そう見えました? 実は、魔法が嫌いなの。剣の方が、得意なの」

 「どうして、魔法学院に入学したの?」

 「苦手を克服するために、入学したの。でも、失敗ね。魔法が、旨く起動できないから、友達も出来ないの」

 「私でよかったら、友達になるよ」

 「本当。いいの。魔法が苦手な私でも」

 「魔法は出来ても、出来なくても、友達になるのに関係ないわ」

 「ありがとう。それじゃ、友達ね。キリと呼んでいい?」

 「もちろん、いいわよ。私も、フヨウって、呼ぶね」

 「はい」

 新しく、フヨウが仲間になった。取り敢えず、食事に誘った。食堂で、私達のパーティの仲間を紹介した。

 「私達、マジック・スクールっていう、冒険者パーティーを作っているの。こちらから、エルミア、ミユ、パープルよ。よろしくね」

 「よろしく。私は、フヨウといいます。魔法が、苦手な剣士です」

 「私は、エルミアよ。私も、魔法が上手じゃないの。だから、今、練習中よ。それから、弓も少し使うの」

 「私は、ミユといいます。白魔導士です。治癒は、任せてね」

 「私は、キリ。黒魔導士です。時々、剣も使うよ」

 「キリも剣を使うの。一度、手合わせをお願いするわ」

 「剣を教えて欲しいわ。魔法なら教えるよ」

 「わかったわ。お互いに練習しましょう」

 「フヨウは、ダンジョンに興味はないの?」

 「冒険者か、興味あるよ。私も、パーティに入れて欲しい」

 「皆、いいかな?」

 「「いいよ」」

 「皆、賛成みたいね。今度、冒険者ギルドに行きましょう」

 「お願いします」

 これで、不足していたタンクも揃った。マジック・スクールも、立派なパーティになった。これから、更に上を目指して、レベルアップだ。

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moka
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