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第Ⅱ部 勇者パーティ編 第12章 キリ商店編 4.アラート

 魔大陸へのゲートに設置していたアラートが鳴った。私は、急いで、パープルと一緒に転移魔法で、神殿近くにある遺跡の中のゲートに移動した。そこには、まだ、魔物は出てきていなかった。以前、設置しておいた闇魔法のバリアが有効に働いているようだ。

 しかし、ゲートから、大量のマナが溢れ出て、今回のアラートになったようだ。魔大陸の大気が大量のマナで満たされているということだ。このままでは、いつ、魔物が溢れ出て来てもおかしくない。

 私は、もう一度、魔大陸に転移することを考えた。調査の為には、もう一度、行かないといけない。本来であれば、勇者のパーティーとして、行くべきだが、調べるだけだから、と自分に言い聞かせて、パープルと2人だけで、行くことにした。

 「そうだ、前回は、思念伝達を利用できた」

 私は、前回、魔大陸に渡った時に、思念伝達が使えたことを思い出した。すると、通信機能は、使える可能性がある。そこで、ダメもとで、思念伝達の設備とネットワークに接続できるように端末を設置した。

 私は、アイテムボックスから、魔大陸用の転移用神具を取り出した。利用できることを確認した。それから、ゲートのバリアを潜って、ゲートから、魔大陸へ転移した。

 「パープル、周りを警戒してね」

 「うん、わかった」

 私も、スキル探索で、周りを調べた。特に魔物の存在は、感知することが出来なかった。やはり、大気中のマナの増加が原因のようだ。

 次に、先ほど、神殿近くの遺跡のゲートに設置した思念伝達用の装置とネットワークに接続するための装置が魔大陸から、扱えることを確認することにした。

 ゲートの近くに設置してしまうと、魔物に直ぐに壊されてしまうかもしれないので、遺跡の外に設置することにした。設置してから、端末から、ネットワークに接続してみると、旨く動作することが確認できた。そして、思念伝達用の装置も正常に動作することが分かった。

 「パープル、これで、元の世界から、この魔大陸のマナドールをコントロールできるよ」

 「キリ、やったね」

 「うん。うまくいったね」

 私達は、次に、この大気のマナを出来るだけ除去する方法を考えることにした。

 私は、前に作ったダンジョンの中のマナを吸収する装置を作ることにした。まず、遺跡の外に地下基地を作ることにした。

 入り口は、闇魔法の結界で覆い普通の者が入れないようにした。それから、更に闇魔法で、見えないようにした。

 それから、入り口の下に地下6階の地下基地を作った。それぞれの階への移動のための階段には、闇魔法で、結界を張っておいた。念為に、すべての階段の出入口に結界を張った。

 まず、地下1階は、兵士の待機場所として、部屋を作って、50人程度なら、宿泊できるようにした。

 そして、地下2階は、マナドールをつくる工場を設置した。そして、実際に10体作っておいた。

 次に、地下3階は、マナコンを作る工場を設置した。先ほど、作ったマナドールを5体配置して、マナコンを造らせた。これは、それほどの数はいらないので、50台つくれば、終了するように設定した。それと、並行して、マナを吸収して蓄えることが出来るマナテリーを作る工場を設置した。これに、残りの5体のマナドールを割り当てた。

 出来上がったマナテリーは、地下5階に運ぶように転移用の魔法陣を隅に作っておいた。

 次に、地下4階には、アイテムボックスを作る工場を設置した。ここにも、地下5階に運ぶように転移用の魔法陣を隅に作っておいた。

 次に、地下5階では、マナテリーに外気のマナを吸収させる場所にした。そして、地下6階は、マナで充足されたマナテリーをアイテムボックスに詰め込んだものを保管する倉庫にした。

 最後に、地下5階の横穴を開けて、そこから地上まで、縦穴を作って、地上のマナが流れ込んでくるようにした。

 私が作業をしている間に、マナドールが更に10体作成されたので、それらを必要な場所に配置した。最後に、マナドールのコントロールがネットワークに接続されたマナコンから、正常に出来ることを確認した。

 「パープル、終わったよ」

 「これで、帰れるね」

 「少しだけ待ってね」

 「いいよ。何するの?」

 「工場等がうまく動くか、確認しておきたいの」

 「分かった。キリが納得するまで、待つよ」

 「ありがとう」

 私は、暫く、全体の作業が順調に動いているのかを確認することにした。そして、マナドールの仕事として、地下基地への出入りの監視と工場の作業の管理を行えるようにプログラムしておいた。そして、思念伝達用の装置を全体を管理するマナドールに渡しておいた。

 ネットワークに接続できるマナコンの前に座っているマナドールにも、持たせておいた。

 これで、何か、トラブルがあれば、報告が来るだろう。

 「パープル、終わったよ。帰ろうか」

 「うん。帰ろう」

 私は、パープルと一緒に神具を使って、魔大陸のゲートを動かして、神殿近くの遺跡のゲートへ移動した。

 「やっと、元の世界だね」

 「ここのマナは、少ないね」

 「そうだね。これぐらいでいいよ」

 私達は、転移魔法で、魔法学院の自分の部屋に移動した。それから、食堂へ向かった。夕食がまだだったので、パープルがお腹を空かせてしまったの。それで、少し不機嫌になりそうだから、急いで行ったわ。

 キリのパーティーのメンバーも食事に来ていたので、一緒に食事をして、今日の事を報告しておいたわ。

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moka
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