キリの異世界探検( Kiri's Otherworldly Exploration)第1章 貴族編 3.キリ、城主になる
ウディーア王国の北西の森の近くの領土を持っているデブトヘル伯爵の養子になった。このデブトヘル伯爵には、子供がいないので、都合が良かった。子供がいない貴族は、そのままでは、領土が没収されてしまうから、いずれ、養子をとる必要があった。
私達は、領土の周りに塀をつくり、新しい城を作った。そして、執事や侍女を雇い、やっと貴族らしい城になった。内装は、ミユが担当して、可愛らしい内装となっている。
「キリ、商店での収入でもいいのだけど、やはり、貴族としては、領土からの納税で、やって行きたいわね」
「そうだね。まずは、領土の土地の改良だね。肥料を撒いて、土地を改良しようか」
「それと、水を確保してね。井戸から、十分な水が得られるようにして欲しい」
「分かった。まず、本日から、肥料を取り寄せるね」
「土地の改良は、任せるわ。私は、新しく領民を招く方法を考えるわ」
私は、思念伝達で、キリ商店の本部に連絡をして、肥料を大量に発注した。そして、パープルの背に乗って、領土の適当な場所に土魔法で、井戸を掘って行った。
うまく水が出てこない所は、井戸の深さを深くして、改善した。私は、掘った井戸からの水を土地に撒いて、乾燥していた土地を水で、潤うようにした。
それから、本部から送られてきた肥料をパープルの背に乗って、撒いて行った。
暫くすると、ミユが連れて来た農民が田や畑を耕して、作物を植えて行った。ミユによると、最初の2年間は、無税にすることを条件に連れてきたようだ。まあ、2年ぐらいは、我慢しないといけないね。
私は、やって来た農民に家を建てて、過ごしやすくしていった。もちろん、家は、無料で提供した。
1月ほどで、収穫できる野菜や、3カ月ぐらいで、収穫できるジャガイなどを中心に最初は、植えていた。しかし、収穫が始まるまでの間は、食べていけないので、半年間は、食物を支給してあげることにした。こちらも、領民を増やすために、無料にした。
次第に、私達の領民も増えて、田や畑に作物が実り始めた。収穫した作物の出荷も、キリ商店が格安で手伝って、領民が喜んで、働ける環境を構築していった。
「キリ、もう大丈夫だわ。後は、2年間待つだけね」
「ちょっと、長いけど、我慢しないとだめだね」
「それから、暫くは、肥料を定期的に撒いてあげてね」
「分かったよ」
領地は、軌道に乗ったので、農民を管理するための人を雇うことにした。重税を課す必要がないので、穏やかな人を雇うことにした。
「ミユ、管理人を雇うと言っても、1人では、だめじゃない?」
「そうですね。助手も一緒に雇った方がいいですね。助手は、若い方がいいですね」
私は、思念伝達で、キリ商店の本店のローザが連絡を取った。ローザは、リーグリ王国で商業ギルドをしていた人間族の20才の女性だ。優秀なので、キリ商店に引き抜いて来た。
「ローザ、今、いいかしら?」
「はい、大丈夫です。先日送って貰った肥料だけど、もっと、送ってくれる?」
「はい、どれぐらい送ればいいですか?」
「前回の3倍は、欲しいの。お願いできる?」
「大丈夫です。その他に何かいりますか?」
「領地に農民が住み始めたのだけど、管理する人を雇いたいの。それと、若い助手も数名雇いたいの」
「分かりました。直ぐに、手配します」
「最後に、ミユの社交界デビューを準備してくれる? 場所は、ここの城を考えているわ」
「分かりました」
私は、ローザとの思念伝達を切った。
「ミユ、ローザに頼んだわ」
「それなら、直ぐに、来るわね」
「それより、此処は、イーゼル王国に隣接している場所だけど、安全なの?」
「どういうこと?」
「イーゼル王国に、攻めて来られない?」
「そうね。今は、穏やかだけど、用心した方がいいわね。それに、落ちぶれた貴族を助けに国王の兵士がが来るとも思えないしね」
「やっぱり。そう思うわね」
「それじゃ、何か、考える?」
「マナドールは、どうかしら?」
マナドールは、マナコンとゴーレムを結合シミュレーションをさせていた。しかし、まだ、ゴブリン1匹を相手するのがやっとの状態だった。
「ミユ、まだ、そんなに強くないよ。それでもいい?」
「そうね。弱くても、兵士のように見えないとだめね」
「それなら、直ぐに、準備出来るよ。オリハルコンで、武器や防具を作っているから」
キリ商店は、オリハルコンの鉱山を所有している。それを元に武器や防具を作って、国を相手に販売していた。
「それじゃ、キリ、配置して貰える。できれば、目立つ方がいいわ」
「それじゃ、直ぐに準備するね」
私は、キリ商店の本店近くの基地に転移魔法で移動した。そして、基地で、通常より大きなマナドールを作ることにした。普通の兵士より大きなマナドールを作りたかったので、身長を190cmにした。それに、合わせて、身体も、全体的に大きくした。強さより、見栄えが大事だというミユの言葉通りに仕上げた。
出来上がったマナドールの動作を確認してから、大量生産に入った。それから、この兵士用マナドールに合わせた武器と防具と盾を作っていった。こちらも、大量生産できるように、マナドールを設定した。
すでに、各地にある支店の近くにマナドールに任せている工場がある。そこでは、24時間フル稼働で、マナドールを含めて、色々と作製している。
後は、数日待てば、デブトヘル伯爵の私兵団が完成するだろう。私は、デブトヘル伯爵の城まで、転移魔法で移動した。そして、国境に新たに高くて、厚さのある壁を作っていった。
それと、兵士の住まいと見張り台を作った。しかし、国境付近は、すべてが、デブトヘル伯爵の領土ではなかったので、それらを購入することにした。
本店近くの基地から、新しいマナドールが送られてきた。取り敢えず、100体になった。それらを国境付近に建てた見張り櫓に配置した。また、一定時間巡回してから、各自の部屋に戻るように設定した。
「キリ、念のために、アラートが鳴るようにしておいてね」
「分かったよ。ミユは、心配性だね」
「それぐらい、当然よ。キリが、のんびり屋さんだから、気が付かないだけよ」
「はい、はい。すぐやるよ」
「お願いね」
私は、直ぐに、見張り櫓から、異常があったら直ぐに連絡をするように、マナドールを設定した。また、巡回するマナドールにも同じ設定した。これで、ミユも一安心かな?
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