スピッツのイメージが変わる曲20選〈壊したい!パブリックイメージ〉

スピッツがメディアで取り上げられるとき、
優しいとか爽やかとか、そういう形容詞が使われることが多い。
もちろん、それも間違ってはいないのだが…
楽曲の紹介の際、サウンドについての言及が少ない。
MVではなく、ライブ映像をもっと観てほしい。
スピッツの音楽ジャンルの紹介・説明が、
ロックではなくJ-POPとなっていると、やるせない気持ちになる。
(私は、そもそもJ-POPという言葉があまり好きではない)
こういったことがあるたび、私は、ファンにとってのスピッツと、
世間のスピッツのイメージが乖離していることを改めて感じる。

なので今回の記事は、スピッツの王道の曲しか知らない方、
「スピッツって、まだやってるの?」
(昔、実際言われて、めちゃくちゃ腹が立った)なんて思っている方に、
届くかは分からないけど、届いてほしいなと思って、書きました。



1.「おっぱい」

1990/03/21 インディーズ盤「ヒバリのこころ」
1999/03/25  Special Album「花鳥風月」
2021/09/15  Special Album「花鳥風月+」収録
タイトルからもう・・・ですが、美しい歌声と切ないメロディーが名曲。
マサムネさんが19~20歳の頃、スピッツ結成前に作った曲だそうだが、
THE BLUE HEARTSからの影響も感じられる。
スピッツがバズリズムに出演した時、この曲の話があって、
マサムネさんが、おっぱい is the worldと言って、
それから曲を聴くたび、その映像が浮かんでくるようになった。

2.「テレビ」

1991/03/25 1st Album「スピッツ」収録
歌詞が、とにかく意味不明! 解釈が割れるではなく、そもそも出来ない。
最初から最後まで、読み取れる部分が少なすぎる。
"市松模様の小籏を振った"  チェッカーフラッグのことかな?
"カボチャとナスは仲良しか"  カボチャの別名、唐茄子だからかな?
まだ、この2つのフレーズは理解できるが、かと言って、ねえ・・・
この訳の分からなさが、好き。

3.「ナイフ」

1992/04/25 Mini Album「オーロラになれなかった人のために」収録
スピッツ史上、最も狂気を感じる曲。
(ただ、解釈は人それぞれなので、別の捉え方もあるかな?)
歌詞はもちろんのこと、壮大なサウンドさえもおどろおどろしく、
繊細な歌声とメロディーがこの曲の恐さを、少しだけ緩和させている。
とはいえ、イカレてる…(失礼)
シルバーのビートルを国道20号で見かけたことある方がいたら、羨ましい。

4.「惑星のかけら」

1992/08/26  4th Single・1992/09/26 3rd Album 表題曲
この曲も、シンプルに言えば、変態。
"君から盗んだスカート  鏡の前で苦笑い"  これヤバすぎる。
でも、その変態性が初期の魅力の一つなのよね。
スピッツ的グランジサウンド、アンニュイな歌い方、
シングルとしては、かなり異色な楽曲。
そもそもこの曲をシングル化したのが凄い。←誉め言葉です。
間奏のギターソロ(ユニゾン)が、超カッコいい。
ジャンボリー・デラックス(DVD)の映像が特に・・・!

5.「波のり」

1992/09/26 3rd Album「惑星のかけら」収録
冒頭ですよ、冒頭のフレーズ。ってことでね(笑)
"そんなことはもう  いいのさ" って、歌ってるもんね。
ただ、ライブで聴くと、スピッツマジック効果からか、
風が吹き抜けるような、夏の爽やかさがあった。
サーフロックだったり、ところどころのワードチョイスだったり、
スピッツには珍しい要素が多く、聴いていて楽しい一曲です。

6.「ラズベリー」

1994/09/21 5th Album「空の飛び方」収録
狂気No.1の「ナイフ」、変態No.1の「ラズベリー」
変態ソングの連発に、なってしまった💦
雑誌のインタビューで、女性に歌わせたらセクハラと言っていたので、
そういう解釈でいいんだと思う。
あまりにも直球過ぎて、気持ち悪さとか全く感じない。
これもまた、スピッツマジックで、ポップに可愛くオブラート。
華やかなサウンド、オシャレなメロディー、
陽気な曲調が、さらに引き立てる。特に好きなのは、うねるベース。

7.「俺のすべて」

1995/04/05  11th Single「ロビンソン」カップリング
1999/03/25  Special Album「花鳥風月」
2021/09/15  Special Album「花鳥風月+」収録
「ロビンソン」とは真逆とも言える、力強いロックナンバー。
ライブで聴くと、さらに超絶カッコよくなる、スピッツの最強B面曲。
ライブでの印象が強すぎて、ステージ上を走り回る田村さんの姿が、
いや、残像が浮かんでくる。アウトロも、最高。
男らしくなりきれていないところも含め、好き。
お前という二人称が使われているのは、「ビー玉」とこの曲のみ。
マサムネさんにお前って言われても、全然嫌じゃないね。

8.「花泥棒」

1996/10/23 7th Album「インディゴ地平線」収録
テツヤさん作曲のパンクナンバー。
テツヤさん作曲の楽曲は、バリエーション豊か。
アルバムの1曲目を飾る曲なのに、脱力感があるというか、
ちょっぴり(いい意味でね)ダサい感じが、愛おしい。
でも、サウンド、特にベースはカッコいいです。
メンバーのシンガロングが聴けるのも、おすすめポイント。
"ああ  夢で会う時は  すごくいいのにさ!"
この"ああ"の発音が、めちゃくちゃ好き。

9.「メモリーズ」

2000/06/21 22nd Single・2004/03/17 Special Album「色色衣」収録
シュールなミュージックビデオも含め、エッジが効いたナンバー。
歪んだサウンド、スピッツ初のラップ(のようなリリック)、
Aメロのエフェクトのかかったボーカル、サビのテツヤさんとのハモり、etc
当時、シングルを手にした人は、それまでのスピッツとは
全く違うタイプのこの曲に、相当驚いただろうな。
アルバム「ハヤブサ」には、「メモリーズ・カスタム」として収録。
ライブでは、シングルverとカスタムをミックスしたアレンジで披露される。
そのハイブリッドバージョンもいい。

10.「8823」

2000/07/26 9th Album「ハヤブサ」収録
「ハヤブサ」は、世間のイメージに反した楽曲が沢山収録されているので、
どれを挙げようか悩んだけれど、やっぱり「8823」に。
なぜなら、ファン知名度100%、ライブ演奏率90%超え!
スピッツの代表曲なのに、なぜメディアで取り上げられないんだ!
本当にもどかしい。スピッツを語るなら、まずライブ映像を観てくれよ…
とにかくカッコいいから、スピッツの良さが炸裂してるから。
これほどまでにロックなのに、スピッツをJ-POPって括るなよ…
もはや、全国民に「8823」を聴かせたい。「ハヤブサ」を浴びせたい。

11.「俺の赤い星」

2000/07/26 9th Album「ハヤブサ」収録
「ハヤブサ」収録曲を、もう一つ。田村さん作曲の重厚なロックバラード。
3連ロッカバラードのリズム(THE YELLOW MONKEYの「JAM」など)と、
歌謡的なメロディー、力強さと儚さが混在する歌声、
曲全体を覆い尽くす、濃厚なダークさが堪らない。
ここまでメランコリックで、自虐・悲観的な歌詞の曲は他にはなく、
異彩を放つ楽曲。調べると、赤い色の星は、年老いた星で、
最期は、超新星爆発(スーパーノヴァ)を起こすという。
これを知ると、解釈が変わるかも?

12.「ローテク・ロマンティカ」

2002/09/11 10th Album「三日月ロック」収録
まず、タイトルが良い。ロマンティカは、ロマンティックの
スペイン語読み。今度、造語タイトルをテーマにした記事もいいかも。
軽快なロックナンバーで、デジロックっぽさもあるかな。
可笑しい&緩い雰囲気の中、ひねくれたエロスが散りばめられた歌詞。
いい意味で情けなさがあって、マサムネさんにとって"犬"って、
狼になりきれない、そういう存在なんだなあと思う。
聴いていて楽しい、何と言うか、うまく説明できない
良さがある曲が、私は好きなんですよね~
ちなみに昔、"岬から吠える"を、"指先から吠える"と聴き間違えていた。

13.「僕はジェット」

2004/03/17 Special Album「色色衣」収録
インディーズ時代の楽曲で、収録された音源は、
デビュー前に、販促用として配布されたデモCDのもの。
粗さのある歌い方、ブルーハーツからの影響と、
ああ初期の楽曲だな!と思わず言いたくなる、初期特有の世界観と青臭さ。
「ジェット!ジェット!ジェット!」と
勢いのあるサビ、今のスピッツに歌ってみてほしいな。
スピッツって本当に、昔はパンクバンドだったの?と、
思っている方がいたら、これを聴けば分かります。

14.「甘ったれクリーチャー」

2005/01/12 11th Album「スーベニア」収録
これも、タイトルから最高。
ヘビーなサウンドと、口ずさみたくなるノリのいいメロディーが、
ファンの心を撃ち抜く、ロックナンバー。特に、リズム隊がカッコいい。
明るいアッパーな曲ではないけど、エネルギッシュ。
Bメロからサビへの流れ方?、メロディーの変化が、鳥肌級。
歌詞は「ラズベリー」にも近い、エロ直球系。でも、純粋さがある。

15.「Na・de・Na・deボーイ」

2007/10/10 12th Album「さざなみCD」収録
4歳の時から、ず~っと大好きな曲。
なんかね、無性に聴きたくなるんですよ。
子供の頃から好きな曲って、そういうパワーがあると思う。
聴くと元気になれる、そんなチカラ。
「メモリーズ」にハジけた明るさを足した、爽やか捻くれロックナンバー。
ザクザクと刻むリフ、(スピッツあるあるかな?) "君"讃歌的歌詞。
韻を踏んでいる曲が好きなんだな、私。ヘンテコだけど惹かれる、
スピッツのアルバムには、こういうユニークな曲が必ず入っています。
明大前で乗り換えて出た街は、新宿か渋谷か、ずっと気になってる。
マサムネさん、府中に住んでたし、渋谷かな?

16.「新月」

2010/10/27 13th Album「とげまる」
シューゲイザーを意識した曲だそう。荘厳な雰囲気と美しいメロディー、
ピアノがメインのサウンドが幻想的でありながら、
歌詞には、力強さがみなぎっている。
冒頭のフレーズ "正気の世界が来る"
来るということは、狂気の世界に居たということなのか?
正気の世界=正常の世界、異端な存在が認められない世界のことなのか?
たった一言で、広がる物語。スピッツの詞世界には、
一筋縄ではいかない難解さと、自分なりに紐解いていく楽しみがある。

17.「ガラクタ」

2016/04/27  41st Single「みなと」カップリング
2016/07/27  15th Album「醒めない」収録
アルバム「醒めない」の中で、一番好きな曲。
はい、アルバムに一曲は入っている不思議ソングです。
バンドサウンドだけでなく、様々な楽器が使われており、
そのワチャワチャ感が、まさにガラクタ。
秘密基地で、自分にとっての宝物を並べて遊ぶ、そんな喜び。
「ハチミツ」の頃から、アイデア自体はあったそう。
20年以上の時を経て、発売に至ったって、すごい経緯。
2016年リリースであり、"ゲスな指先" "出会っちゃいけない二人"
といったフレーズがあるため、不倫の歌といわれているが、
乗り換えた人の歌って感じ(私の解釈です)
歌い方もめちゃくちゃ好みで、特に "ゴミ箱キラキラ" の
最後のラのところが抜群。

18.「ヒビスクス」

2016/07/27 15th Album「醒めない」収録
「ガラクタ」と「ヒビスクス」は、アルバムだと並んで収録されている。
曲調も歌詞も全く違うタイプの曲だけど、ボーカルの素晴らしさは共通項。
ヒビスクスとは、ラテン語でハイビスカス。(曲調に、ラテンっぽさは皆無)
開放的なサビへと向かって、徐々に帯びていく熱。
(夏の曲だけど)凛とした高揚感が、どんどんと高鳴っていく。
クールでオシャレ、どこかEDMチック。新機軸ともいえる斬新性と、
これぞスピッツ!な、美しいメロディー。
壮大かつスタイリッシュなサウンドの構成も素晴らしい。
P.S. マサムネさんが好きな言葉「白い花」
いずれ、白い花が登場する歌をまとめた記事を書こうと思っています。

19.「悪役」

2019/06/19 42nd Single「優しいあの子」カップリング
2018年のGO!スカ7(ファンクラブイベント)で、
披露されていた楽曲で、セルフプロデュースナンバー。
「優しいあの子」のカップリングが「悪役」という対比。
疾走感のある激しいロックサウンド、歌声、歌詞、
タイトルだけでなく、楽曲としても、ギャップが面白い。
"うれしい時も  悲しい時も  僕のそばにいて欲しいのさ"
このフレーズは、結婚式での誓いの言葉から来ているそう。
ストレートな愛のことばに、胸がキュンとする。
私の好きなフレーズは、"HAPPYな終わりキメるまで"  
スピッツのB面は、スピッツの裏側→本当の姿を見せる、
バンドとしての演奏がガツンとくるナンバーが多い。
また、「悪役」から前向きなラブソングが増えた印象。

20.「まがった僕のしっぽ」

2019/10/09 16th Album「見っけ」収録
仮タイトルは「プログレ」。途中で曲調が変化し、
また元の曲調に戻るという構成が、
今までにないスピッツの新たな一面を見せる楽曲。
「子グマ!子グマ!」という曲も、途中で曲調が変わるが、
この曲は、ほぼほぼ別の曲になったかのような衝撃がある。
アルバムの中でも特に、ストーリー性のある歌詞と
フルートの音色が印象的な、エキゾチックなA部分と、
テンポアップし、スピッツの尖っている部分をより鋭くさらけ出す、
そんな熱いエネルギーを感じる、ヘビーメタルのようなB部分。
B部分は、マサムネさんの張り上げるような歌い方も新鮮で、
歌詞も、強固なプライドと反骨精神が溢れている。
このタイトルには「人と違う自分、人と違うあなたを認めたい」
という気持ちが込められていると、
マサムネさんが雑誌のインタビューで話していた。
曲調が変わる・元に戻る瞬間は、何度聴いても感動。
初めて聴いた時は、うまく言葉にできないが、
ギュワン! そんな初めての感覚があった。

最後に

20曲、短く短くまとめようと思っていたのに、結局長くなってしまった…
ファンとして、やるせない気持ちを抱いたことがある方、
もどかしいな~と思ったことがある方に、届いたなら嬉しいです。
自分ならこの曲!と思っていただけたなら、コメント嬉しいです!



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