【造形方法の種類】 3Dプリンター
こんにちは、mokaです!
本日は、3Dプリンターの造形方法の種類について、記載します。
造形方法の種類は大きく下記の7種類に分類されます。
今回は、7種類の造形方法について紹介したいと思います。
FDM
光造形
インクジェット式
マテリアルジェット
バインダージェット
パウダーベッド方式
デポジション方式
シート積層
FDM
正式名称:材料押出(Material Extrusion)
通称:熱溶解積層
FDM(Fused Deposition Modeling)
FFF(Fused Filament Fabrication)
フィラメントと呼ばれる線状の樹脂をノズルから押し出して造形する手法。生姜チューブや生クリームを出す仕組みを思い描いて頂くと分かりやすいです。
一般的な材料は、熱可塑性樹脂を使用します。ホットボンドと同じ原理で造形する為、ノズルから吐出される手前で溶けて、下の層との接触や空気に晒される事で冷えて固まります。フィラメントの直径は、1.75mmと2.85mmの2種類がありますが、1.75mmが主流です。
近年ではフィラメントではなく射出成形で使用するペレットから造形できる装置も開発されています。(FGF(Fused Granular Fabrication))ペレットを使用する事で、フィラメントに形状変更する工程が減り、射出成形により近い機械的性質で製品を製作する事が可能となります。
【主流材用】熱硬化性樹脂
ABSやPLAが主流ですが、炭素繊維や金属粉末を混ぜたフィラメントなどを開発し、強度や耐熱性を向上させているメーカー(Markforged社)もあります。
光造形
正式名称:液槽光重合(Vat Photopolymerization)
通称:光造形
SLA(Stereolithography)
液体樹脂に光(紫外線)を当てて造形する手法。光を当てて造形する為、光硬化性樹脂を使用します。3Dプリンターの造形方法の中で最初に実用化された手法です。液体樹脂を使用している為、フィラメント樹脂を積層して仕上げるFDM方式と比べ、滑らかな仕上がりとなります。ただし、紫外線で固める手法の為、仕上がった製品は太陽光に弱いというデメリットがあります。
元々は、液面の上から光を照射させるタイプが主流でしたが、最近では、液体樹脂のタンクを透明にしておき下から光を照射させるタイプも増えています。
【上から照射(自由液面法)】
1層照射する毎にテーブルが下がっていくが、液面が波立っていると、綺麗に製品が仕上がらないデメリットがある
【下から照射(規制液面法)】※吊り下げ方式
1層照射する毎にテーブルが上がっていく為、テーブルに吊るされた状態で造形が進んでいく。その為、重力の影響を製品が受けやすく、高さ寸法の誤差が出やすいデメリットがある。記載のデメリットもあり、大きいサイズのプリンターはない。
【主流材用】光硬化性樹脂
エポキシ系:機械的強度に優れ、寸法も安定しやすいです
アクリル系:透明で表面光沢があリます
上記2種類の樹脂が主流だが、添加物などにより多種多様な造形材料が装置メーカーや材料メーカーから開発されています。
光の当て方にも2種類の方式があります。
【SLA方式】
レーザーを走査させ造形を行います。主に、上から光を照射する自由液面法で採用されており、断面積が大きい程、露光時間を要します。レーザーによる一筆書きで各層を造形する為、DLP方式と比べ解像度を落とす事なく均一な製品を仕上げる事が可能となります。
【DLP方式】
各層を画像として投影し造形を行う方法で、プロジェクターなどを使って各層を一括露光して造形します。その為SLA方式と比べ、造形スピードが速くなりますが、造形サイズを大きくする事で一層当たりの画像解像度が粗くなり、均一な製品を造形しづらくなってしまいます。ただし、小さな製品を1つ造形する場合は、解像度を保ったままスピード感のある造形が可能となります。主に、下から光を照射する規制液面法で採用されています。
インクジェット式
マテリアルジェット
正式名称:材料噴射(Material Jetting)
通称:マテリアルジェット
Poly Jet
MJP(Multi Jet Printing)
霧状のマテリアル(素材)をノズルから吐出し、造形ヘッドに搭載されている紫外線ランプで光を当てて硬化させる手法。異なる素材を組み合わせる事も出来る為、硬質な材料と軟質な材料を混同し中間的な特性を持たせる事も可能となります。また、フルカラー造形も対応可能です。他の造形方法と比べ、積層ピッチが細かい為、精細なモデルの再現が可能です。ノズルからマテリアルが吐出される為、中空部分を再現をする場合は、必ず下の層に土台となるサポート材が必要となります。ただし、製品とサポート部を異なる材料で積層する事で、サポート除去の方法が異なります。例えば、熱を加えてサポート材を溶かすタイプや、水に溶かすタイプ、ウォータージェットで分離するタイプなどがあります。
【主流材用】
紫外線の光で固める為、光造形同様、光硬化性樹脂をします。
バインダージェット
正式名称:結合剤噴射(Binder Jetting)
通称:バインダージェット
CJP(Color Jet Printing)
マテリアルジェット同様、ノズルから吐出して造形を行うが、マテリアル(素材)を吐出するのではなく、バインダーと呼ばれる結合材をノズルから吐出して造形を行う手法となります。製品となるマテリアル(素材)は、造形エリアに粉末状で敷き詰められており、製品箇所のみにバインダーを噴射して固めていきます。ただし、バインダーだけでは強度が不足する場合もある為、材質によっては含浸や焼結といった工程を必要とします。1番の特徴はサポート材が不要という事と、粉末状であれどのような材料でも造形が可能という点です。また、バインダーに着色したり、別のノズルから着色剤を吐出する事でフルカラーの製品を造形出来る事も大きな特徴です。造形速度は早いですが、表面粗度が粗く強度も弱い為、形状確認目的での使用が多いです。
【主流材料】
樹脂やセラミック、金属の造形は既に実装されていますが、チョコレートなどの食品の造形も開発が進んでいます。
パウダーベッド方式
正式名称:粉末床溶融結合(Powder Bed Fusion)
通称:粉末焼結
SLS(Selective Laser Sintering)
DMLS(Direct Metal Laser Sintering)
DMP(Direct Metal Printing)
SLM(Selective Laser Melting)
EBM(Electron Beam Melting)
俗にパウダーベッド方式と呼ばれる造形手法となります。バインダージェットタイプ同様、造形エリアに粉末状の材料を敷き詰め、製品箇所のみをレーザーで照射し、造形を行います。
樹脂の場合はサポート材が不要ですが、金属の場合、未溶融の粉末では造形された製品の自重を支える事が出来ない為、サポート材を必要とします。
SLSやSLMなど、レーザーの種類や造形工程の違いにより名称が少し異なりますが、粉末状の材料を一層ずつ造形するという点では全て同じです。
SLS(Selective Laser Sintering) :レーザー焼結法
造形エリアに敷き詰められた金属パウダーにレーザーを照射し、焼き固める方法
DMLS(Direct Metal Laser Sintering):直接金属レーザー焼結法
DMP(Direct Metal Printing) :↑DMLSの別称
造形エリアに敷き詰められた金属パウダーにイッテルビウムレーザーを照射し、焼き固める方法
SLM(Selective Laser Melting) :レーザー溶融法
造形エリアに敷き詰められた金属パウダーにレーザーを照射し、溶かしながら層を重ねて造形する方法。1層1層を溶かしながら造形する為、下の層と上の層が一体になりながら仕上がります。
EBM(Electron Beam Melting) :電子ビーム溶解法
造形エリアに敷き詰められた金属パウダーに真空状態で電子ビームを照射し、溶かしながら層を重ねて造形する方法。レーザーと比べ、高出力(1000度ぐらい)で造形可能な為、造形スピードが速く、幅広い種類の金属に対応が可能となります。また、造形層を予熱してから照射する為、熱歪みが出にくい事も特徴です。ただし、仕上がりの外観はレーザーの方が綺麗になります。
【主流材料】
熱可塑性樹脂と金属が主要材料です。熱可塑性樹脂は、光硬化性樹脂と比べ耐熱性や強度が高い為、より実用的な使い方が可能となります。金属については、高出力レーザーを用いる為、インコネルやチタンなどの難削材の造形も可能です。
デポジション方式
正式名称:指向性エネルギー堆積(Directed Energy Deposition)
通称:レーザーデポジション
DED(Direct Energy Deposition)
DMD(Direct Metal Deposition)
LMD(Laser Metal Deposition)
俗にでポジション方式と呼ばれる造形手法となります。仕組みは肉盛溶接を応用したものとなります。ノズルの先端から粉末状の材料とレーザーを吹き付ける事で造形を行なっていきます。粉末状の材料を使用するのが主流ですが、ワイヤー状の金属を使用する装置もあり、材料のコストを抑える事が可能です。FDM方式と仕組みは同じの為、中空部分にはサポート材が必要となります。他のプリンターとは異なり、1方向からの造形のみではなく、ノズルや製品側を動かす事で横からの造形も可能となります。また、既製品に追加して造形する事や、表面のみを別の金属でコーティングする事も可能です。仕上がりは、溶接後と同じ様な仕上がりになる為、製品として使用する場合は仕上げ加工を必要とします。プリンターによっては、造形と切削加工を同時に行える装置もあり、1台の装置で仕上がりまで完了させる事も可能です。
【主流材料】
主に金属が主流となりますが、タングステンやコバルトなど、高融点金属や硬度の高い金属も造形可能です。
シート積層
正式名称:シート積層(Sheet Lamination)
通称:シート積層
薄いシート状の材料を接合して造形する手法となります。製品となる断面形状を1層毎にカッターやレーザーで輪郭を切り抜き、接着や溶着によって積層を行なっていきます。紙を使った造形が一般的ですが、アルミシートなど金属のシート材でも造形は可能です。各層を接着して造形している為、強度としては弱くなります。形状確認目的での使用が多いと思われます。
【主流材料】
紙や金属、樹脂など、シート状であれば何でも造形可能です。
以上が、7つの造形方法に関する概要となります。