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(遊戯王)2025年のエルドリッチデッキを語りたい ~永続罠から万能無効へ~
罠パカの時代は終わった。時代は万能無効だ。
はじめに
かつて一時代を築き、タクティカルトライデッキの1つにも選ばれた「エルドリッチ」デッキ。
ロック系の永続罠が大量に規制されたため、さすがに環境クラスのパワーは無くなってしまいました。しかし、新規カードをいろいろ貰ったことで、また違った雰囲気のデッキへと変化を遂げました。
マスターデュエル未実装のカードが多く活躍するため、マスターデュエルで見飽きたよ、という人でも新鮮な気持ちで戦えると思います。
1つ断っておきますと、筆者は主にフリーの対戦会イベントでデュエルをしています。
●環境デッキ相手を想定しているわけではないこと
●対戦相手のデッキが全く読めないこと(=「群雄割拠」「御前試合」などを活かしづらい)
ことは念頭に置いてください。
新規カードの紹介
誘いのΔ
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(1)の効果でエルドリッチを墓地に送れるため初動になり、(3)の効果でエルドリッチの蘇生コストを踏み倒すという至れり尽くせりなカード。
(2)のトークン生成効果も強く、
●「誘いのΔ」+魔法罠1枚→「黄金郷エルドリッチ」+「影法師トップハットヘア」+任意の罠モンスター
●「Δトークン」+レベル5の黄金郷罠モンスター→光・闇素材の「カオス・アンヘル-混沌の双翼-」
といった盤面を作れる。
フィールド魔法であるためテラ・フォーミングで枚数を増やせる一方、アンデットワールドと共存できないという致命的な欠点が存在する。
単体のカード評価は120点だけど、欠点が大きすぎるせいで総合評価で言うと90点くらいな感じ。
黄金郷のアンヘルカイド
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めっちゃ強いリンク・スパイダー。
黄金郷の罠モンスターをレベル10に変換できるようになりました。
後述する「貴き黄金郷のエルドリクシル」と合わせて、ランク10を非常に出しやすくなっています。
「終戒超獸-ヴァルドラス」での万能無効や、「超弩級砲塔列車グスタフ・マックス」+「超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ」でのワンキルを狙えます。
また、アンヘルカイドをリンク素材にすることでエルドリッチを呼び出せます。
そんなアンヘルカイドですが、問題点もけっこうあり、
X素材から外れた時は効果を発動できない
なぜか闇属性なので御前試合があると出せない
なぜかエルドリクシルで蘇生できない(なんで?????)
といった有様です。
ところで、このカードで呼び出せるのはエルドリッチモンスターです。
出しにくかった「黄金狂エルドリッチ」が救済されたと話題になりましたね。
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これで黄金狂も活躍できる…と思いきや、後で紹介するカードとの兼ね合いで実は黄金狂いらないんじゃないか説が浮上してきました。
詳細はそのカードの説明で述べます。
貴き黄金郷のエルドリクシル
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革命が起きました。
「黄金郷」「エルドリクシル」の両方の名前がついた妨害カードです。
今までのエルドリッチでは、展開用の「エルドリクシル」と妨害用の「黄金郷」を毎ターン交互に持ってきていたため、場に「エルドリクシル」しか残らず妨害ができないことがありました。このカードはそれを解決してくれます。
1つ目の効果でレベル10の罠モンスターになれることからランク10素材として使えます。
2つ目の効果は自分ターン・相手ターンで1回ずつ使えるため、場にエルドリッチ関連のカードを残しやすくなりました。
総じて優秀なカードですが、墓地効果がついていないのだけが残念ですね。
1つ目の効果だけを使う場合は後続になれないので、サーチする優先度としては「黄金郷のコンキスタドール」に劣ります。
小技ですが、カードの発動だけを行い、効果の適用は保留する、ということができます。
「澱神アポピス」を組み合わせる時に覚えておくと便利です。
竜の精神
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まさかのノーコスト永久。
元々の攻撃力または元々の守備力が2500のモンスターがいないと腐るのは難点ですが、気軽に万能無効を撃てるようになりました。
対応するモンスターは、エルドリッチデッキの中では「黄金卿エルドリッチ」「黄金郷のアンヘルカイド」「黄金郷のガーディアン」。
テーマ外のカードでは「苦紋様の土像」なんかも対応します。竜はどこへ行ったんだ。
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また、ライフコストは重いもののなぜか墓地から再セットできるため、エルドリッチのコストとしても使えます。
「名推理」で墓地に叩き落して拾うのもありですね。
ちなみに、このカードに対応するモンスターの話なんですが
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竜の精神、撃てなくね?
そうなんです。
「黄金郷のアンヘルカイド」から「黄金狂エルドリッチ」を出すと、必然的に「竜の精神」を伏せていないことがバレます。
「万能無効が無い」という情報をわざわざ与えることもないので、「黄金郷のアンヘルカイド」で出すべきモンスターは「黄金卿エルドリッチ」です。
これが、実は黄金狂いらないんじゃないか説の理由です。
まあ黄金狂を不採用にした本当の理由はどこ行っても売ってないからなんですけど。
彷徨える幽霊船 ※今回は不採用
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除外されたエルドリッチを回収できるリンク2。
エルドリッチの弱点を補える。って思うじゃん?
エルドリッチが本来受けないはずの無限泡影をモロに喰らうため、意外と活躍できないです。その結果攻撃力0のモンスターが棒立ちになるという。
エルドリッチが全て除外される前に勝負を決めてしまうか、白き・紅きを温存して墓地除外を避ける方がよほど現実的でしょう。
デッキ紹介
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デッキレシピはこちらから。
前提として、フリー対戦会で使用することを考えています。
対面が完全に不明のため、「群雄割拠」や「御前試合」などは刺さるかが運になってしまいます。そのためロック系の永続罠は「スキルドレイン」「サモンリミッター」のみを採用しています。ここら辺は各人の環境に合わせて変えてください。
永続罠が採用しにくいぶん、何かしらで手数を補う必要があります。
そこで今回は「名推理」型の構築としました。
「誘いのΔ」「竜の精神」が墓地から回収できるため、名推理で落ちて嬉しいカードが以前よりも増えています。
「黄金郷のガーディアン」は、「竜の精神」の条件を満たせるため1枚は挿しておいた方が便利です。妨害である「貴き黄金郷のエルドリクシル」を持ってこれるようにもなりましたしね。
先攻1ターン目の動き
「誘いのΔ」+魔法罠1枚から「黄金卿エルドリッチ」+「影法師トップハットヘア」+罠モンスター1枚の盤面を作ります。
「誘いのΔ」で「黄金卿エルドリッチ」を墓地に送る。
魔法罠1枚をコストに「黄金卿エルドリッチ」を蘇生。
「誘いのΔ」の(2)でΔトークンを生成。
Δトークン→「リンク・スパイダー」、エルドリッチ→「黄金郷のアンヘルカイド」に変換。
2体を素材に「影法師トップハットヘア」をリンク召喚。
「影法師トップハットヘア」で罠モンスターをセットしつつ、「黄金郷のアンヘルカイド」でデッキの「黄金卿エルドリッチ」を特殊召喚。
といった流れです。
トップハットヘアで持ってくる罠モンスターの優先順位は
「黄金郷のコンキスタドール」(後続になる)>「貴き黄金郷のエルドリクシル」(ランク10を狙える)>「澱神アポピス」(上振れた時に万能無効を追加)です。アポピスの枠に「苦紋様の土像」などを採用しても良いですし、最悪無くてもいいです。高いし…
このようにして、手札2枚から罠モンスター&トップハットヘアの2妨害が構えられるわけです。
現代のデッキにしてはだいぶ地味ですね。
筆者は破械デッキを握っているのですが、2枚初動で4~6妨害とかやってるのと比べるとなんか悲しくなってきます。
だからこそ強金や名推理で手数を増やす必要があるんですね。
2ターン目以降の動き
「貴き黄金郷のエルドリクシル」や「黄金郷のアンヘルカイド」を活用して万能無効持ちの「終戒超獸-ヴァルドラス」を出します。
後はひたすら高火力のモンスターでぶん殴って下さい。
できるだけ「黄金卿エルドリッチ」を場に維持し、「竜の精神」をチラつかせるのを意識しましょう。
後攻を取らされた場合
このデッキの大きな弱点ですが、エルドリッチのコストになる魔法罠を増やしたい=手札誘発を積みにくい関係上後攻が終わっています。
「溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム」でなんとかできればまだいいのですが、最近のデッキは手札や墓地にリソースを貯め込むためそれも上手く行かないことがあります。ここら辺は悩みどころであり今後の課題ですね。
人によっては「誘いのΔ」から「地下牢の徊神」を落として捲るプランを取っています。
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素引きした時や名推理でめくれた時にあまり強くないこと、そもそも誘いのΔ自体を止められてしまうことを考えると、言うほど信用できない気がして不採用にしました。
その他の捲り札を考えてみます。
「超融合」は「アンデットワールド」の不採用に伴い採用圏外へ。
「拮抗勝負」は万能無効が1体いると止められるのでこれも採用圏外。
「無限泡影」「聖王の粉砕」などの手札誘発っぽい罠は1枚撃ったところでどうせ止まりません。
といった感じで、ラヴァ・ゴーレムくらいしか信用できる捲り札が無い状況です。
名推理の相方探しの旅
「名推理」を使うにあたり、本当であればモンスターをエルドリッチ3枚だけにして確実にエルドリッチに触れるようにするのが1番良いです。
しかし、それをやるとデッキのカードが墓地に落ちすぎてしまい、デッキから持ってくる黄金郷やエルドリクシルが無くなってしまうことが度々ありました。
これを避けるためにモンスターを1体追加したいと思いました。でも当たっても外れても強い、フィールドでも墓地でも役に立ってくれる都合のいいモンスターなんているわけが…
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いたわ。
といったわけで「剣神官ムドラ」を採用しました。名推理の当たり外れに関わらず1妨害になってくれますし、落ちすぎた黄金郷・エルドリクシルをデッキに戻すこともできます。墓地のエルドリッチが除外されそうになった時に無理やり回避することもできます。
ちなみに「宿神像ケルドウ」も同じ効果を持っていますが、ステータスが高いムドラ優先でいいでしょう。あとケルドウが高い。
デッキトップがムドラだった場合に悲しくなるリスクが生じてしまいますが、それは諦めるしかないです。
他の人のレシピを見ると、名推理の相方枠で「インスペクト・ボーダー」「ダイナレスラー・パンクラトプス」などを採用していることがあります。
出せれば強いとは思うんですが、構築バレした瞬間にクソ弱くなるので使いにくいかなとも感じます。(1回のフリー対戦会で同じ人と2回当たることは珍しくないです)
採用候補・採用圏外のカード
ざっくり紹介します。
採用候補
「S:Pリトルナイト」→「黄金郷のアンヘルカイド」「リンク・スパイダー」の存在から除去効果に繋ぎやすい。値段がバグってるので今回は不採用。
「手違い」→ロック系の永続罠の中では比較的刺さりやすい。先攻でないと強く使えないのが難。
「アンデットワールド」「屍界のバンシー」→「誘いのΔ」と同時に使えないため不採用。Δを初動と割り切るならあり。
「群雄割拠」「センサー万別」「天龍雪獄」「超融合」→「アンデットワールド」不採用により、活かしづらくなったため不採用。「DNA改造手術」や「機械仕掛けの夜-クロック・ワーク・ナイト-」を使えばΔと種族変更を両立できるが、さすがに夢見すぎか。
「ヴァンパイア・サッカー」→アンデット2体で出せるリンク2。相手の場にモンスターを蘇生する行為がけっこう危険なこと、「アンデットワールド」不採用により(3)が活かしづらいことから、出したい場面が無いなと感じた。逆に種族関係のカードを増やすなら入れてもいいと思う。
「天霆號アーゼウス」→破壊耐性持ちの処理用にあると便利。とはいえ貴きのバウンスが増えたので活躍の機会は減ったか。
採用圏外
「黒き覚醒のエルドリクシル」→守備表示でしか出せないのが絶妙に弱い。「誘いのΔ」「名推理」でもエルドリッチに触れるため、わざわざ黒きを入れる必要が無くなった。名推理で落ちて嬉しいカードとして1枚入れるくらいか。
「能力吸収石」→刺さる相手にはめっぽう刺さる。ただ、このデッキでは「相手ターンに自分からカウンターを乗せる」動きができないため、拘束力としては微妙。
「ドラグマ・パニッシュメント」→「旧神ヌトス」を落とすことで2枚破壊ができる最強罠。EXデッキを触る頻度が増えたこと、そもそもヌトスを入れる枠が無くなったため不採用。
「グラビティ・コントローラー」→「黄金郷のアンヘルカイド」1体から出せるリンク1。「黄金狂エルドリッチ」を積極的に出したい人はどうぞ。
おわりに
なんというか、一周回ってすごく真っ当なデッキになったなあ…と思いました。
ところで黄金狂エルドリッチがどこ行っても見つからないの本当に何?
お読みいただきありがとうございました。
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恨むなら強金を恨め。