2023年11月発売 The Crawlin' Kingsnakes On-Air 楽曲解説
クリンク レコード
邦楽 > ロック/ポップス
CRCD5160 (JAN 4582239501603)
CD 紙ジャケ
2023年11月24日発売 税込定価2,530円
楽曲解説
01. ザ・クロウリン・キングスネイクス・オン・エア pt.1
実際のラジオ(70年代SONY製)のチューニング音に1stアルバム収録曲の「Lee-Sha-Lou」を混ぜたりしてますが、チューニングが狂うに従って真空管プリアンプで作ったサチュレーションが深くなるように加工したりピッチを揺らしたりと結構細かくエディットして作ってます。
50~60年代の海外ラジオ番組のオープニングをイメージして作りましたが、実は、ポーン…という時報音は当時の海外ラジオだと知る限りは使われてなくて、そこはわかりやすくNHK風な感じにしています。
02. インビジブルウーマン
レッド・ツェッペリンの影響を言われることも多く、言われてた自分もなるほど、とは思いますが、それは偶然であって全く意識して作っておらず、実はCreamとジミ・ヘンドリクスを意識して作っています。
Creamの2nd「カラフルクリーム」のクラプトン のギターは、1小節で"6弦でベース音→1&&2弦でリズムカッティング→3~4弦でリフメロディ"というプレイを量産していますが(ストレンジブルー、無法の世界、アウトサイドウーマンブルース)、コレは明らかにジミヘンの影響で、この曲のリフもそのメソッドで作ったものです。
アルバム収録曲で最も早い2019年の7月にいつもライブでベースを弾いてくれてた三浦マサトシ君をゲストにレコーディングしましたが、2020年にドラム、2023年にボーカルを再レコーディングして差し替え、ミックスダウンも収録曲の中で最後になるなど4年以上かけて完成させましたが、アルバムで一番仕上がりに納得いっていません。
後述のOverLightShow 大箱屋さんに作っていただいたリキッドライト映像を使用したMVがありますので是非ご覧ください。
03. ザ・クロウリン・キングスネイクス・オン・エア pt.2
1stアルバム収録の「Bye-Bye Sally」という曲をラジオジングル風に加工して作りました。
04. CM pt.1 Ipcress Lounge
押上駅より徒歩の向島にあるヴィクトリア調のロンドンパブ、イプクレスラウンジのCM曲です。
ボーカルのマロが作った曲で、アカペラてマロが録音したデモに合わせてバックトラックを作った後にちゃんと録音したボーカルに差し替えてますが、演奏は私一人で全てやっています。ちなみにフルートはメロトロンを弾いたものです。
マロからアハーン、ウフーン、というエロボイスが送られてきたの聴いた時は、息子のエロ本をベッド下から見つけた母親ってこんな気持ちかな、と思いました。
05. CM pt.2 Louie Louie
60sなワンピースなどを作っているヨシエちゃんのブランド、ルイルイのCM曲。60sの各名店で取り扱っている他、ハイマーツを初めバンドの衣装なんかも多いので、皆さん知らずとも目にしてる機会も多いでしょう。
これはドラムのキンキーカズヤ君が作曲……というかヤンヤンヤーヤーヤー、、とか口ずさんでたiPhone録音を元に作りました。
リズムはフェアライトCMI(1980年発売のシンセサイザー)のソフト音源で、エレクトリック・ピアノはフェンダーローズのソフト音源で作りました。
フランス語のボーカルは外国語の読み上げソフトに喋らせたものをピッチシフターで音階をつけて作ったスキャットで、セリフ部分は「ヨシエが心を込めて作ったお洋服、お買い求めは全国の有名店でどうぞ。ルイルイを着てみんなと差をつけちゃおう!」みたいな内容だったと思います。確か…
06. ザ・クロウリン・キングスネイクス・オン・エア pt.3
これも古い海外ラジオジングル風なイメージでサクサク作ったもので、特にそれ以上は無いです。
07. おまえは嘘つき
ニール・ヤング&クレイジーホースが大好きで大好きで、彼らみたいに延々とシンプルなワンコードのリズムに乗せてダラダラ長いシンプルなギター2本をドライブさせて弾く、というのをどうしてもやりたくて、中村しんすけ君にその旨説明してゲストで弾いてもらいましたが想像以上に素晴らしいプレイでアルバムのハイライトになっていると思います。
エンディングはジミヘンのようなサイケデリックでハードな仕上がりですが、本来数秒でブチっと終わって、アルバムの最後の方で別の1曲として収録する考えでしたが、あまりにしんすけくんのギターがトータルで素晴らしすぎて曲を分けたくなくなり1曲で納めました。
私が弾いたこの曲のベースは何故かベーシストからの評価が高く結構お褒めの言葉もいただきましたが、アドリブ一発録りで録りなおしなし、新品9800円の激安ジャズベースコピーモデルで弾いたものです。
08. Addicted To You
スタジオでカズヤ君が叩いたオープニングのドラムパターンに合わせてアドリブでギターを弾いて作ったもので、歌詞を除けば3分で出来た曲です。
90年代に活動していたガールズガレージR&BバンドのThe Planetsを意識した曲で、歌詞もボーカルのマウスさんをイメージして書きました。
ギターソロ、ベース、タンバリンは盟友のShotgun Runnersの3人がプレイしてくれてますが、実はiPhoneで録音したものをオンラインで送ってもらった音源をミックスしてます。
ミックスではUREI1176コンプレッサーのレシオボタン全押し、アタックタイム最大、リリースタイム最小でインプットのボリュームMAXというハードなロウファイに仕上げる超有名なテクニックがあるのですが、それをトータルミックスで使っています。(椎名林檎さんの看護婦姿でガラスをパンチしてるMVの曲のボーカルはその方法らしいです)
09. ザ・クロウリン・キングスネイクス・オン・エア pt.4
1stアルバム収録のNo.1 Loveという曲を加工して作ったジングルです。
10. CM Pt.3 GEL Sound Production
愛知の鬼才、松石ゲル君に作って貰った、彼が運営する録音スタジオのCMソングで、アルバム全体での調整をした以外は全てゲルくんの作成です。
70年代のイタリアのジャーロ映画、モンド映画の予告版を彷彿させる素晴らしい仕上がりで、初めて聴いた時にマロと大興奮しました。
11. CM Pt.4 OverLightShow~大箱屋~
リキッドライトショーの第一人者、大場雄一郎さんのCMソングで大場さん自身もコーラスで参加しています。
オケは私1人の演奏ですが、60年代のリキッドライト、サイケデリアの象徴、ジェファーソン・エアプレインを意識した楽曲で女性ボーカルを入れたくて、以前私がCDのジャケットのデザインを担当したサロメの唇のシンガー、京子バラッドさんにお願いしました。
これをきっかけとして京子さんにアルバムのレコ発イベントへの参加をお願いし、そこから新バンド「キョウコとハンナ」の結成に繋がっていきます。
12. ザ・クロウリン・キングスネイクス・オン・エア pt.5
スティーブウィンウッド率いる60sのバンド、トラフィックのアルバムを聴いてオルゴール曲をジングルで入れたくて作りました。
ゼンマイを巻く時に曲が切れるところはちゃんと曲のスピードが急速に落ちて途切れるように、巻き終わって曲が流れる際は逆に急速にスピードアップするようにと細かく作ってあって、コレはテープレコーダーを回したり止めたりを再現出来る「Tape stop」というエフェクトを使っています。
13. 白い鳥
中村ジョーさん作詞&コーラス参加で、アルバムのもうひとつのハイライトと言える曲です。
ベースはタクトくん、ギターで再び中村しんすけくんが参加してくれましたが、しんすけくんは当初リードギターを依頼したもののリズムギターや逆回転のアレンジを提案してくれたりと、半ば共同プロデュース的に協力してくれています。
ジョーさんのコーラスはボーカルとユニゾンでしたが、切り貼りやピッチシフトで多重に加工してサイケデリックな仕上がりにしています。
かなり和モノな仕上がりですがマロの歌唱の賜物であって、元はVelvet Undergroundを意識して作った曲です。
14. ラストトレイン
ドラムのカズヤ君がオープニングのギターリフを作って、そこに私がアドリブでギターを弾きながら即興でメロディも作ったので、10分くらいで出来たと思います。
正直に言うと思い入れもないし、大した曲とも思っていないのでアレンジの詰めも甘く、多少聴けるようにアルバム完成間際に急遽ピアノをいれた経緯があります。
実は某ビア二ストに参加のオファーまでしてたのですが、締切までに時間がなくてレコーディングできず、泣く泣く自分で弾いたものが収録されています。
歌詞は狙って古臭いロックのステロタイプの至極下らない内容にしましたが、マロさんもこの歌詞は凄く歌いたくなかったみたいです。
15. カーティス
歌詞以外は20代の頃に出来ていた曲で、2011年頃メンバーにも弾いて聴かせたんですが、その頃のバンドはストイックにマキシマムなR&Bをやっていた時期なので、将来的にやってもいいけど今のバンドに合わないと却下された経緯があります。
「幼なじみと恋人になるが、何も告げず去っていった」という歌詞は、シェールの「Bang Bang」の影響で書きましたが、ただただ出来の悪い少女漫画のような内容でマロさんからも大不評、もうタイトル考えるのも面倒になり、カーティス・メイフィールド風なギターということでつけてあった仮タイトルをそのまま採用しています。
何とかマシにしたくてクリーンだったギターをドライブさせたり、サイケデリックなエンディングにしたり大幅に作り替えたのですが、メンバーは仮タイトルがそのままだしアレンジは大幅に変わってるしで完成版に驚いていました。
エンディングのスライドギターはスライドバーが見当たらず、たまたま近くにあった潤滑剤(クレ550)の缶でプレイしました。
16. ザ・クロウリン・キングスネイクス・オン・エア pt.6
これは架空ラジオ仕立ての元ネタ、The WHOのセルアウトに収録のラジオジングルを意識して作りました。
17. CM pt.5 Ludovico Techniques
大阪のMODでキュートなアクセサリーブランドのCMソングで、マロがアカペラで作ったデモに合わせて全て私が演奏しています。
当初パーカッション類は演奏したり演奏したもののサンプリングを使用したりもしましたが、わざとらしい日本的レトロ風味がルドヴィコのスペースエイジな感覚と合わない気がしたので、古いローランドのリズムマシン(を再現したソフト)を打ち込みで作成しました。
結構苦労して完成させましたが、マロが「ニューロック風なアレンジのバージョンでも聴いてみたい」とか言い出して「どんだけ苦労して作ったと思ってんだ、簡単に言うじゃねえぞ!」的なこと言った気がします。
18. CM pt.6 古着屋OIL
群馬県前橋市の令和エログロナンセンスの昭和乙女地獄、名物店主じゅんちゃんでおなじみ、古着屋OILのCMソングです。
当初はマロが作った「おいでやっせOil」という脱力昭和コミックソングでしたが、Oilのコンセプトが「普通の人は絶対に近づいてはいけません」なのでボツとなりました(マロさんのYouTubeチャンネルで勝手に応援ソングとして公開されています)
そこでOilじゅんちゃんに歌詞を先に書いてもらって、昭和40年代のドラマ、プレイガールのテーマのザ・ヘアのカバーを意識して曲を作り、演奏は全て私がプレイしています。
19. ザ・クロウリン・キングスネイクス・オン・エア pt.7
アルバム冒頭の「インビジブルウーマン」の差し替え前のボツドラムバージョンをアレンジして作っています。
20. 帰っておいで
マロさんの作品で、歌詞も曲も正に和製R&Bで大好きな曲。
ギターやベースも上手く録れ、ボーカルも録音スタジオでGRACE design M101という良い(そしてお高い)マイクプリアンプを使って凄くいい音で録れて、ほんと会心の出来なのですが、何故かマロがアルバム発売直前でカットして欲しいと言い出しました。
いい作品なんでどうしても入れたいって言っても「私が書いたからといって気を使ってくれなくていいので…」と謎の自己評価の低さを発揮しだしてしまい、私とカズヤ君で必死に説得して何とか収録することが出来ました。
21. 華奢なあの娘
キンキーカズヤが書いた率直に言えば箸にも棒にもかからないボツ曲があったんですが、その歌詞の中の「海辺に佇む華奢な女」という部分が引っかかり、何となくそれをイメージして作りました。折角なので歌詞だけカズヤ君に作ってもらってます。
中間部はローズピアノを一旦普通に弾いたのですが平凡な感じだったので、録音したトラックをバラバラに刻んで貼り付けてコラージュ感覚にしたもので、他にもカズヤくんが演奏したハングドラム(ハンドパン)という音階のあるスチール製の打楽器などを重ねてあります。
22. ブルームーンのように
元々はマロさんが自身のYouTubeチャンネルで公開してたウクレレ弾き語りだったのですが、エンディングにすごく合う気がして一部を収録させてもらいました。
回転数を可変させて位相やピッチを不安定にして蓄音機で再生させたSP盤のように仕上げています。
オープニングのラジオノイズには一瞬だけ以前作った熊谷のアメリカン喫茶、ニュートウゲのテーマを入れました。