トラペジウム感想メモ(極力ネタバレなし)

遅ればせながら、劇場アニメ『トラペジウム』鑑賞してから一週間経って、色々落ち着いて考えられるようになってきたので、整理がてらつらつらと。
「主人公の子、ブッ飛んでる」という怪情報を目にしたのは、映画『ルックバック』を鑑賞後、感想投稿を拾っている最中だった。2024年上半期劇場映画の主人公をマトリックス分けしたような内容で、縦軸が「主人公がまとも:狂ってる」横軸が「話が明るい:暗い」という図を見て、「あールックバックが、主人公がまともと狂っているの中間、話は暗いの極地かーなるほどねー」と思いつつ、『狂っている』に顔の上半分だけ描かれている女の子がひっかかっていた。

コレ、トラペジウムって映画の主人公だよね?狂ってるの?主人公…

ここが興味の発端となったわけだが、映画の大まかな情報としては…
・アイドルもの
・原作は現役アイドルである乃木坂の方
・制作はCloverWorksさんなので安心。
・主人公を演じる声優さんは、逃げ上手の若君で初めて知った期待の新人さん(普通の人は知る方向が逆なんだと思う)
・「アイドルグループを作る為に、東西南北各地からメンバーを集める(らしい)」
⇒観る前は、勘違いしていたんですが、主人公はプロデューサーで、メンバーが他に四人いるんだと思ってました。
こんな程度の理解で、他の情報は入れずに「せっかく見やすい場所・見やすい時間にあるのなら」という事で鑑賞。

とっかかりはぼんやりした事前情報と、「主人公がブッ飛んでる」らしいという怪(?)情報。こうした程度の興味で観に行ったのですが…とても刺さる内容だったんですね。

これは、トラペジウムは【東(あずま)ゆう】の物語だが、ただの成功物語ではない。

主人公【東ゆう】が、己の目的の為に調べて、練り上げた『計画』を記したノートが度々描写される。そのノートを通して、ゆう自身が現状をどう捉えているか、これからどうしたいかなどが伝わってくる。また、『計画』から始まった(始めた)関係・できごとであっても彼女自身が思ってもみなかった幸福に助けられたり、(たとえ本人は不服でも?)客観的に見て「あ、よかったじゃん!」と思える事が重なっていく。

『計画』遂行の中で、計画に無駄なものは切り捨てようとしたり、利用できるものは利用する、という側面が見え隠れする『身勝手さ』。果ては、念願のアイドルになってから、他のメンバーが問題を起こした時の「暴言」や限界を訴える声への≪ガンギマリ切れ≫

『アイドルになりたい』という必死さゆえの振る舞いは、確かに事前情報どおり「主人公が狂っている」のかな?とも思えたが、一方で、この「必死さ」が、他者を救っているし、救った相手に救われてもいる。この構図に気づいた時、めちゃくちゃにエモいと、シビれたわけ。

もう、こっからは早いもので「いつだったら二回目を観にいけるかな?」と考えたり、iTuneで三曲とも買ってヘビーローテーションで聴きこんだりしているのが現状。円盤、買う。

個人的にエモかったのは、東西南北(仮)が展望台で練習しているのを、犬の散歩させている人
が決まって毎回眺めているところ。だんだん人が増えてきて、減って、最後の一人になったけど、散歩させてるマンさえも居なくなった時の喪失感といったらなかったね。

これは、トラペジウムは【東(あずま)ゆう】の物語だが、ただの成功物語ではない。
彼女以外のメンバー、支えてくれた幾多の人々がただの舞台装置であり、彼女が輝く為の道具でしかなかったワケでは決してない。それぞれが東ゆうと関わる事で輝きを発し、また、みんなを輝かせる。

東西南北を、青春きっぷで旋回中

今から観られるチャンスは、そう多くはなさそうなのが、本当に残念だが、是非大きなスクリーンで見てほしい。
ちなみに、最推しは西テクノ高専のロボコン女子、萌え袖の大河くるみちゃんです。クルミチャンカワイイヤッター!!


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