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【ネタバレあり】虚空の旅人 感想
こんにちは、卯月です。
今回は、書評を書きます。
本は、上橋菜穂子さんの「虚空の旅人」(新潮社・新潮文庫)です。
ネタバレがありますので、まだ読んでいない方・今読んでいる方はご注意ください!
あらすじ
隣国サンガルの新王即位儀礼に招かれた新ヨゴ皇国皇太子チャグムと星読博士シュガは、〈ナユーグル・ライタの目〉と呼ばれる不思議な少女と出会った。海底の民に魂を奪われ、生贄になる運命のその少女の背後には、とてつもない陰謀が──。海の王国を舞台に、漂海民や国政を操る女たちが織り壮大なドラマ。シリーズを大河物語へと導くきっかけとなった第4弾、ついに文庫化!
(裏表紙のあらすじより引用)
感想(ネタバレあり)
上橋菜穂子さんの代表作です。
上橋さんは児童文学作家ですが、文化人類学者でもあります。また「児童文学のノーベル賞」ともいわれる「国際アンデルセン賞」を受賞されています。
デビュー作は1989年の「精霊の木」です。
サンガル王国のタルサン王子と、新ヨゴ皇国のチャグム皇太子の成長を描く作品でした。
チャグムは皇太子としては完璧ですが、まだ青いところがあります。タルサンはチャグムよりも幼いですが、どこまでもまっすぐです。
最初は子供っぽいところが目立つタルサンでしたが、話が進むにつれて大人びていくところが大好きです。
別れの時にタルサンが言った「殿下、失礼をお許しください。はじめてお目にかかったときに、わたしは、その薄布に腹を立てたのです。ひとを布ごしに見るのか⋯⋯と。正直にいうと、いまでも、そんな布、好きじゃないです。その下にある、殿下のほんとうのお顔──強くて、真直ぐな目が隠されてしまうから」(原文ママ)ときたら、もう⋯⋯!
守り人シリーズの醍醐味は、登場人物の成長だと思います。この作品は、それを余すことなく描いていました。
書誌情報
虚空の旅人
著者 上橋菜穂子
出版社 新潮社
レーベル 新潮文庫
ISBN 978-4-10-130275-1
定価 630円+税(税込693円)