見出し画像

【映画文字のばなし】「本編第7回 精神0」贖罪か?、純愛か?

《オープニング》

千晴 さあ、始まりました『女ふたり映画のばなし』第7回、見田村千晴です

まお 宇宙まおです。この番組ではシンガーソングライターの私たち女ふたりが、映画についてのばなしに語っていきます。映画好きなアナタやこれから好きになるアナタも、一緒に楽しくおしゃべりしましょう

近況報告

千晴 はいィ!

まお はぁい! あっという間に第7回

千晴 そうだね

まお ねぇ

千晴 ちょっと、やってきた感あるよね

まお ありますね。ルーティン化してきた、なんかこう…

千晴 してきた。やっぱ月曜に音収録してるんですけど、こっから始まるっていう感じが

まお はい

千晴 私は、月曜日はこの収録を昼間にやってるでしょ、で夜が自分の生配信を YouTube でやってるので結構バタバタしてますね、月曜日は

まお どうですか? 配信もけっこう習慣になってるというか、毎週やってますもんね

千晴 そうそうそう。今の自粛生活になる前は、月に1回とか2回とかだったのが、ちゃんと日時を決めて毎週やって…。やっぱり歌う場所がそこしか今ないしね

まお ねぇ、そうですよね、そうなりますよね

千晴 でもなんかホントに久々に、2ヶ月ぶりに外に出て歌うことが決まりまして…

まお あ、そうかそうか

千晴 そう、(2020年)5月17日だから今週の日曜日ですね。無観客ライブをライブハウスからやろうということで、万全な体制を取った上で少人数のスタッフでやるというワンマン・ライブですね。ツイキャスのプレミア配信という有料配信なんですけど、それを初めてやってみようということで

まお ほうほう

千晴 もともとこの日が、私の自主企画イベントをやる予定だった日で

まお あ、そっか

千晴 そう。しかも「生誕祭」も兼ねてるという感じの日だったので、やろうかなと思いまして。良かったらこれを聴いてる方も是非、観に来てください

まお チケットが買えるっていう事ですか?

千晴  チケットはね、もう買えます。ホームページ、SNS からリンクが飛んで、そこからオンラインでクレジットカードとかコンビニ決済とかで。買った人だけが配信を観れるっていう感じですね

まお 今までのライブのシステムと違うから、自分ももちろんそうだけど、お客さんの皆さんも色々とご自分で調べてくださる方とか

千晴 あぁ、そうだよね

まお ね、「なんか悪いなぁ」っていうか…。でも、みんなでこう、なんか新しいシステム作ってる感がありますよね

千晴 これを機にそういうテクノロジーも上がるだろうし、レベルも。…ってなるとネット環境がちょっと大事になってきて。時間によってやっぱ繋がり難かったり、重くなったりとかあるよね

まお なんかプロバイダによってもスゴいイイものもあれば、評判の悪いものもあるし。そういう違いもありそうだから

千晴 なんか学校のオンライン授業とかも、やっぱそういう環境が等しくないから、そういうので格差みたいなものが出るらしいですよ

まお たしかに。だってパソコン持ってない家とかって…

千晴 いや、あると思う

まお 全然あるし、そういう家庭は別にWi-Fiいらない。「スマホがあれば大体…」っていう人たちはWi-Fiいらないし

千晴 そうだよね。

まお そういうのを新しく入れたりする経済力もね、等しくみんなにある訳じゃないから

千晴 そうそうそう

まお …とかっていうの、難しいですよね

千晴 ねぇ。急な事だから準備もアレだし、コロナの問題は。ちょっと感染者数は下がってきているけど「これを鵜呑みにしていいのか?」ということもあるし、気を抜かないで

まお そこもあるし、なんかね。もしそれがあったとしても、だからといってやっぱゼロになってるわけじゃないから、「ウイルスは依然としている」って考えると、何するにもやっぱ「最高の万全な体制で…」っていうのは叶わないですもんね

千晴 あれだよね…、ナニ喋ろうとしたんだっけ?w

まお うん? えっ?w

千晴 第2波、第3波は絶対あると思うから、「絶対来る」って事を思っていないといけないし、外出時は必ずマスクとか「2,3年分は確保しろ」みたいなこと言ってる人もいるし、そんなだったら「ライブなんてね、やっちゃいけないのか?」っていう気持ちにもなるよね

まお でも、なんか東京以外の所だと、徐々に「ライブとかもやっていいよ」ってなっていってるんですよね、人数制限とかでね

千晴 それもでも、やっていいけど「じゃあ、実際完全に楽しめる気持ちなのか?」とか…、何も思わずに足を運べるかっていうと、それはまた気持ちの部分でチョッと違うから、難しい

まお どこか1つがオッケーになったとしても、人の行き来ができない限りは「その圏内だけ」とか「その街だけ」とかっていうのは、オッケーになってもそこで発展していくものがないと厳しいですよね

千晴 ね。なんかそうやって「人を減らして」とか、「ソーシャル・ディスタンス空けて」っていうと、例えば「1,000人収容のホールで200人を定員にだったらやれる」ってなっても、そしたら「じゃあ、チケット単純に5倍になりますけど、チケット料金が」みたいな。じゃあ、そこまでして買って「行こう」っていう人はどれくらいいるのか…

まお なんか観せてるモノとしては同じなのに、その負担をお客さんに負わすっていうのもなんかね、「どうなんだろう?」って感じもあるし、場所代は下がるわけじゃないし…

千晴 ね、多分ね。難しいですね

まお ですね

千晴 そんな世の中ですが、最近は何してる?

まお 最近は私はねぇ、えっと…、飽きずに英語の勉強をがんばってますかねぇ

千晴 おぉ、良かった良かった。「もうやってないっスよ」みたいになるかと思ってw

まお アハハ!

千晴 「飽きっぽい」みないな話ししてたから

まお そうそうw チョッと落ち着いたんで、「まぁ、こっから音楽の方にまた戻るべきかな?」みたいなモードになりつつ

千晴 イイんじゃない。英語曲とかさ

まお なんかね、そうそう。英語の勉強がてら、そういう英語の曲だったりとか、映画を英語で観るとかをやれたらイイかな、ってチョッと思ってます

千晴 それはイイね。メッチャ勉強になりそう

まお 英語の字幕と英語の音声で聴いたりするとイイんじゃないのかな、って

千晴 えぇ?、追いつけなさそう。なんか子供向けとかだったら難易度下がるかな?

まお 海外の人って、結構日本語アニメで覚えたりするじゃないですか

千晴 はいはい

まお だから人がしゃべる言葉っていうより、アニメの中で成立するスピード感とか言葉とか、そういうモノの方が英語学習には合ってんのかな、と

千晴 よりハッキリ喋りそうだしね、声優さんの方が

まお たしかにね

千晴 いつか、そういう回があるかもしれないね

まお えっ?、どういうことですか?

千晴 この番組で「セサミストリートを英語で観よう!」みたいなw

まお アハハ!

千晴 それについて喋る、みたいな…w

まお どこまで理解できるか、答え合わせw

千晴 全然違う話だと思ってたふたり、みたいなw

まお ありますよね、そういうの、絶対ね

千晴 ハハハ…

まお 見田村さんちのパクチーちゃんはどうですか、パクちゃんは?

千晴 それがさぁ、なんか、あんまり大きくなってない気がして

まお あ、じゃあもう止まったってこと?

千晴 まだほんの1.5センチぐらいなんだよ。

まお ええぇ、1.5センチ!?

千晴 2センチ?、2センチ…くらい。なんか毎日見てるから気づかないのかな。でも、明らかにあんまり成長しなくて、肥料をあげたほうがいいのかな?とか今思ってて。…って思いきや、別の新しい芽が出始めてて、別んとこから。こんなタイムラグで出る?みたいな

まお パクちゃん…

千晴 “パクちゃん2号”…、そうなんですよ。ちょっと今、観察を相変わらずしてます。なんかその弊害でベランダにすごい虫が増えてて、それがイヤなんだよね

まお パクチーって「匂い強いから虫が来ない」とか言いますよね。

千晴 あ、そうなんだ。じゃ、関係ないのかな?

まお でも「来ない」って言うわりには「え?ウチ来るよ」みたいな人、結構いる

千晴 逆に吸い寄せられる?、そういうキワモノ好きな虫が

まお 「アブラムシがスゴい」って言う人いた、ハーブとか

千晴 へぇー。アブラムシって、あれ?飛ぶヤツ?

まお いや、私は分からないです、イメージがつかない。なんか毛虫みたいのではない?

千晴  じゃなくて、普通になんか飛ぶヤツ、小っちゃいコバエ的な

まお 飛ぶんだ、イヤだぁ

千晴 だから単純に土があるところに来るのかな?とか思って。分かんないんだけど、それが今スゴい嫌です

まお なんか獲れるならね。パクチーちゃんがたくさん育って、その弊害でいるならまだ許せるけど、パクチーも食べれてない状況で虫がに来るのは、チョッと納得いかないですね

千晴 ですよね。多分、何かしら虫除け的な薬なりなんなりあるんだろうけど、もっと増えるようなら探そうかな、と思うんですけ

まお まぁ、でもイイですね。そういう「じっくり待つ」っていうね

千晴 フフw、「じっくり待つ」からね私自身もね今、待ってる時期だから

まお そうですよね

テーマソング・ジングルについて

千晴 あと、先週の回でテーマソングと新ジングルをシレっと…

まお シレっと入れましたね

千晴 トークの中では喋ってないんだけど、その後付けて公開しますが、これ超イイ感じよね

まお 超イイ感じですよね。なんか番組っぽくなりましたね

千晴 なったなったw

まお よりねw

千晴 本当はあのテーマソング、♪オンナがぁ~、ふたぁり~♪ってヤツね。これをオープニングテーマにしようと思ったんだけどチョッとしっくりいかなくて、間に入れてはみたものの…。アノ場所はだから今後変わるかもしれないし、何かしら改良を重ねながら落ち着く?

まお そうですね

千晴 なんか最初のいちばんアタマのアコギの今使ってる音あるじゃん、音楽…、ジングルみたいの、やっぱアレが使ってると定着してくるよね

まお してくる

千晴 急に変わるとビックリするかな、って思って

まお なんか、10回目以降とかに変えたりとかね。そういう感じだとかね

千晴 あとはまおちゃんが作ってくれたジングル、アレめちゃくちゃ好き

まお アレはね、星野源さんオマージュで…

千晴 フフフw、『うちで踊ろう』感?

まお 『うちで踊ろう』感をチョッと出してみましたw

千晴 言われたらたしかにチョッと、…っぽいわ、と思ったけどw、めっちゃイイ曲

まお ありがとうございます。コーラスもスゴいイイですよね、見田村さんの

千晴 あ、もうできるだけ邪魔をしないっていう

まお んでも、スゴいなんか効果的な感じで…、

千晴 ありがとうございます。ダブルにして左右に置いてみました

まお あぁ、そうかそうか。イイ感じでした

千晴 そんなテーマソングもね、リニューアルだとか、より増えていくかもしれないので今後、それも楽しみに聴いてもらえたらなと思います

まお はい

番組反響・メールご紹介

千晴 じゃあ、リアクションメール

まお メールで頂いた感想、『犬猿』の回の感想ですね

千晴 はい

まお はい。のばなしネーム、アイアイさん

リスナー・メール(アイアイさん)

こんにちは。犬猿の回の感想です。兄妹姉妹の愛憎劇、こんな世界もあるのかと思う内容でした。兄妹姉妹家族と言えど性格って本当に違いますよね。同性同士の兄妹姉妹はややこしいなぁ…。「家族の闇シリーズ」楽しみにしています。

まお という事で、頂きました

千晴 ありがとうございます。「こんな世界もあるのか」っていうか、ないんですけどね、フィクションだからw

まお ハハハッw

千晴 あの、血とか出ないですけど普通はねw

まお そうですね、あそこまで行っちゃうとね

千晴 警察沙汰なんだけど

まお たしかに「同性同士」っていうのは、チョッとややこしくなる部分はあるかもしれない

千晴 よりね。うんうん…、かもしんない

まお っていう感じですかね、前回までのところは

千晴 はい。ありがとうございます

まお ありがとうございます。じゃあ、いっちゃいます?

千晴 いっちゃいまょうか。今日もチョッとボリューム出そうなんで

まお 出そう

《『精神0をおしゃべり』》

毎週ひとつの作品を取り上げて語っていきます。今週の作品は想田和弘監督『精神0』。ドキュメンタリー監督の相田和弘が、心の病と共に生きる人々をとらえた『精神』の主人公の一人である精神科医、山本昌知に再びカメラを向け「第70回ベルリン国際映画祭フォーラム部門」で「エキュメニカル審査員賞」を受賞したドキュメンタリー。様々な生き難さを抱える人々が孤独を感じることなく地域で暮らす方法を、長年にわたって模索し続けてきた山本医師が82歳にして突然引退することに…。これまで彼を慕ってきた患者たちは戸惑いを隠しきれない。一方、引退した山本を待っていたのは妻、芳子さんとの二人の新しい生活だった。精神医療に捧げた人生のその後を、深い慈しみと尊敬の念をもって描き出す。ナレーションや BGM を用いない相田監督独自のドキュメンタリー手法で作られた観察映画の第9弾。

まお この映画は現在「仮設の映画館」というところで観ることができます。「仮設の映画館」とはインターネット上の映画館っていうことですね。想田和弘監督が立ち上げたものみたいです

「仮設の映画館」について

ここには『精神0』を上映する各種の劇場が軒を連ねています。観客はどの映画館で作品を鑑賞するのかを選ぶことができます。そしてその鑑賞料金は、本物の映画館の興行収入と同じくそれぞれの劇場と配給会社、制作者に分配される仕組みです。鑑賞期限はレンタル購入から24時間以内。ストリーミングのみでダウンロード不可となる。配信期間は(2020年)5月2日10時から5月22日21時を予定。延長の可能性あり。

まお という事で、『精神0』が観れる「仮設の映画館」についての説明でした

千晴 これはやっぱり、今回のコロナの影響で新作映画の公開も現状できてない状態っていうことで、相田監督が立ち上げたシステムなわけですが。私も、先週まおちゃんに教えてもらって初めて知って「こんな取り組みがあるんだ」って思って…。音楽もいろんな皆さんが新しい工夫をしていますが、映画界も同じく「いろんな取り組みがあるんだな」というふうに思いました

まお 映画館が選べるんですよね、それがチョッと面白かったですね。「こんな映画館あったんだ」って思う人もいるかもしれないですね、自分の地元でも

千晴 あぁ、そうですねたしかに。

まお 「イオンに入ってる映画館」とかじゃなくて。ホントに「街の中にある映画館」っていうね

千晴 私はね、これ2回レンタルしたんですよ。1回目観て、24時間で切れちゃうから。その中でもう1回観たかったんだけど、ちょっと時間的に観れなくて。「ま、いっか」と思って2回レンタルしたんですけど、それぞれに違くて、一回目が東京で唯一そこに入ってた渋谷のシアター・イメージフォーラム。

まお ありますね

千晴 やっぱり自分が「東京に住んでるから」っていうので、行ったことないんだけど「行きたいな」という気持ちで

まお あ、いいですね。これを機にね

千晴 そうなんです。で、2回目は札幌のシアターキノにしました。ここは私、去年行ったんですよ

まお ライブの時とか?

千晴 そうそう。 12月に3日間かな?いて。丸半日何もない時があって、「これはもう映画館っしょ」って思って。シアターキノっていう所に行って、2本連続で観たんですよ

まお うわぁ、楽しそう!

千晴 そう、なんだっけな…、『家族を想うとき』ともう一本なんだっけな…、チョッと忘れたけど。すごい素敵なミニシアターだった。壁にいろんな監督さんとか、俳優さんのサインがバァーッてあったりとか、あと記事とかをいっぱい手作りで貼ってあって、そういうコーナー作ってたりとか。メチャメチャいい映画館でした。「また行きたいな」と思ってシアターキノにしました

まお いいですねぇ。そういうエピソードがある人はそういう所にもできるし、「行ってみたいなぁ」って思うとこに入れたりとかもできるし

千晴 まおちゃんは?

まお 私は宮城県にラジオで通ってたので、でもその時は宮城のそういうミニシアターに行く機会はなかったんですけど。「宮城にはお世話になったなぁ」ということで、宮城のフォーラム仙台っていう映画館だったかな、で観たということにして、お支払いさせてもらいました。

千晴 これ「Vimeo」っていうストーミング・サイトを使ってのシステムなんだけど。これね、私1回目観たとき土曜日の夜だったかな。みんながネットを使ってそうな時間ではあったんだけど、スゴい途切れちゃって「リロードぐるぐるぐる」って30秒おきになるみたいな、そんな感じで全然観れなくて。それでいろいろ試した結果、Wi-Fi を切った状態の携帯で観ました。それだったら大丈夫だったんですけど。その仮設の映画館のコメントを客さんが書き込める所にも「途切れちゃって観れなかった」とかいう書き込みがいくつかあったんですよ。「同じだぁ」と思って。「データが結構大きいのかもしれないな」と思って

まお でもそうですよね、あんだけたくさんの映画。普通の配信サイトと違う画質とか、そういうのとかはあるんですかね

千晴 どうなんだろ。それこそ Netflix とか、そういうのではあんまりないじゃん、そういうことって。だからちょっとシステムが違うのか。でも、まおちゃんは大丈夫だったんだよね

まお 私は大丈夫でした

千晴 こっちの観る側の環境もあると思うし。私は2回目観た時は大丈夫だったので、そういうケースもあるのかな。だから、そういうのあると「チョッともったいないな」と思っちゃうから、やっぱり仮設だから急な事で大変ではあるにせよ、これを機に

まお いろんなシステムが整えられていくんですかね

千晴 …といいなと思いました。という感じで、その『精神0』今回の作品についてのメール、リプライなど

まお はい、頂いております。まずはじゃあメールの方を紹介させてもらいます。のばなしネーム、ピロシキさんから結構ね、長文で頂きまして

千晴 そうね、スゴいしっかり書いてくださって、ありがとうございます

まお ありがとうございます。ちょっとだけ抜粋させて頂いて。

千晴 わりとね、個人的なことだったりを照らし合わせてくださってる感じ。

リスナー・メール(ピロシキ)

千晴さん、まおさんこんにちは。のばなしネーム、ピロシキです。前回の配信で『犬猿』の感想を紹介してもらいありがとうございました。

まお このピロシキさんはですね、お母様がうつ病だということで、長年心療内科通院へしていらっしゃったんですけれど、そのお母さんもが使う薬剤に関して、薬剤師のお姉さんとちょっと意見が違ったりとかして「現在冷戦状態」みたいな感じで、「“リアル家族の闇”的な感じです」っていう話を書いてい頂いて。なので、やっぱりあの『精神0』っていう映画の精神科医の山本先生がいつも見てる患者さん側のリアルをけっこう知っていらっしゃる所もあると思うんですけれども、そんな中の貴重な意見を頂いております。

リスナー・メール(ピロシキ)

前回の『バッドマン』ではラクシュミが科学的知性とテクノロジーによって、宗教や社会的因習で理不尽に水路づけされた人々の認識を塗り替え、女性の健康と生命、権利と尊厳を守ることになりました。ただし、僕たちは一方で科学的正しさやテクノロジーがもたらす文明的豊かさを普遍的な善とする考え方にも、注意が必要であるような気もします。科学もまた時代や共同体によってある種の囚われた枠組みの中にあって、決して無謬(むびゅう)ではないこと。ブラックボックス化した専門知識が、政治権力や企業の利潤追求の道具にされかねないこと。限られたリソースで効率的に最大公約数の幸福を求めていたつもりが、気付かないうちにより多くの人々、そして自分自身すら幸福から遠ざけてしまっている可能性があること。これらは常に胸の奥に抱えているべきだと感じています。もちろんカウンターとしての陰謀論や得体の知れない民間療法なんかにはより注意が必要ですけど…。じゃあ、自分に今何ができるのか現時点で出している暫定解は、①なるべく否定語を避けて話を聞くようする。②なるべく一緒にご飯を食べる。③時々体をさすってリラックスさせる。最後にもう一つ「自分の頭で考えてみる」ということです。作品中、ご自宅のシーンで映った「神の手か 桔梗のつぼみ ひらくとき」という奥さんの芳子さんの俳句にも、そしてラストの山本先生と芳子さんのシーンにも現在の科学では証明不能なエネルギーが溢れていました。とっ散らかった上に長くなってしまい、すみません。次回も楽しみにしています。

まお ということで、ありがとうございます

千晴 ありがとうございます

まお この科学的な正しさと、自分たちがなんか直感で感じることとか、自分だけがわかると思ってることとか、何かそういうことの折り合いってすごい難しいなって思いますよね、対人(ひと)に関して

千晴 そうですね。あと、患者さんそれぞれでやっぱり違うだろうし。同じ病名が付いていたとしても、それぞれ濃淡だったりがあるだろうし…。本当に百人百様なんだろうなぁ

まお そうですね。だから、やっぱりお医者さんに言われたことも勿論、科学の裏付けがあることだけど、自分の頭で「そうなのかな」っていうこと考えてみるっていうのは、たしかに医療とか科学の恩恵を受ける側としては、そういうのはたしかに…。分からないなりに考える必要はありますよね。はい。っていう感じで、ありがとうございます

千晴 ありがとうございます

まお そしてもう一通、YOKAさん

リスナー・メール(YOKAさん)

まおちゃん、千晴ちゃんこんばんは。『精神0』を観て、人が誰かを必要とすることの意味、人はひとりでは生きていけないとは言うけど、人と関わることで病んでしまうこともある。家族はそばにいるのに、気持ちを開かすには、家族じゃない人の存在もやはり大事。体も脳も老いるけど、精神(心、意識、気構え、気力、理念)の部分は老いないのかな、と思いました。

まお ということで頂きました。たしかにね、矛盾のように感じることがたくさんあるんですよね。「人といないと生きていけない」って言うけど、人といると悩むことが出てきちゃうし

千晴 そうですね

まお たけど寂しい気持ちもあって、みたいなね

千晴 そういうのを真面目に考えようとしちゃう人ほど、そういうのに敏感になって、病んでしまったりするもんね

まお Twitter の方にも頂いてます。まるごしさん、いつもありがとうございます

千晴 ありがとうございます。

リスナー・メール(まるごしさん)

『精神0』。「患者の方がスゴい」という言葉や医師としての在り方に、先週の『パッドマン』に似たカッコ良さを感じました。現実はかなり大変なのだと思いますが、夫婦おふたりの姿は羨ましく思いました。宇宙さんのツイートにあった『精神』を追加で視聴したところ、全体がより胸に落ちるように感じました。

まお はい。ありがとうございます

千晴 ありがとうございます

まお なんかその「患者さんのことをどう思っているか」、っていうのは1作目の『精神』の方ではあまりフューチャーされてないけど、山本先生が患者さんに対してどういう認識だったかっていうのが聞けて。「患者さんがいちばん辛いんだよ」っていう言葉とかが

千晴 「生きてきたんだから、凄いよ」、みたいなね。

まお ね、そこもスゴい腑に落ちるっていう感じでしたね

千晴 そうですね。その『精神』っていう映画の続編というか、なんですよね今回の『精神0』は

まお そうですね、はい

千晴 『精神』が何年だっけ?、2010年かな?

まお 2008年じゃなかったかな?だからけっこう前だなぁ、って

千晴 あ、2010年公開ですね、公開が

まお 2010年か、そうかそうか

千晴 たぶん撮影が2008年とかな気もしますけども、まぁ10年前ってことですよね。だからやっぱり『精神』と両方を観ると全然印象が変わるなって思いました。私も観たんですけど、順番逆で観ちゃったのよ。『精神0』を観てから『精神』を観て、「あ、これは順番違ったなぁ」っと思って、それでもう1回『精神0』を観た感じなんです。で、何故このタイトルが、まぁ続編だったら例えば普通に「2」とかのはずなんだけど、何故「0」なのかっていうのも作品観てもいっぱいヒントがあるし…。そのあとYouTube で相田監督に映画ライターの方が2時間ぐらいオンラインでインタビューしてる取材の映像があって、それ全部観たんだけど、その中でも「何で0?」っていうところも話してらっしゃったし…。スゴく納得して「ピッタリだなぁ」って思った

まお それ、観てみたいっスね

千晴 是非是非。多分、相田和弘さんの名前で検索するとわりと上の方に出てくる

まお 「観察映画」だから、あからさまなメッセージは映画の中に入れないように注意してんだろうなって思いながらも、カメラ回すってこと、回して編集するっていうことで、もう意志が生まれちゃうから。そこって逆に本人の話聞くと「普通の映画以上に伝わってくるものはありそうだな」ってのはありますよね。しかも全部一人でやられて、奥さんがプロデューサで、相田監督が一人でカメラ持って、音楽もナレーションもなく編集も全部自分でやって。だから、より相田監督の観てるモノでしかないっていうか、そういう感じでしたね

まお そうですね

千晴 推しポイント行きましょうか?

まお 行っちゃいましょうか? 

女ふたりの推しポイント

女ふたりの推しポイント。この映画の推しポイントをお互いにプレゼンしていこうというコーナーです

千晴 …という紹介を今回付けてみました

まお はい

千晴 交互に行きましょう

宇宙まお的推しポイント①<“じっくり待つ”っていうアトラクションを楽しむ>

まお では、私からいかせて頂きます。宇宙まお的推しポイントその①。「“じっくり待つ”っていうアトラクション、を楽しむ」。チョッと区切るとこが分かんなかったですけどw

千晴 「…を、楽しむ」までだよねw

まお 「…を楽しむ」までですねw

千晴 「アトラクション」って、面白いね

まお 「アトラクション」ていう言い方でも、「ゲーム」っていう形でもいいんですけど、なんて言うんだろ、その山本医師も82歳で奥様の年齢もはっきりとは作中でてこないけど、同じぐらいですよね

千晴 でも、同級生って言ってた

まお あ、言ってた、そうだ。そのおじいさんおばあさんのテンポをずっと観てる映画なんですよね。ノー・ミュージックだし、ノー字幕だし、ノー・ナレーションで、場所っていうかロケーション的には3つぐらいしかない印象なんですよね。診療所とお家と…

千晴 庭w

まお そうそう、あと友達のお家と、お墓

千晴 山登りみたいなw

まお 山登り、そうw。相田監督が「ロック・クライミング・シーン」みたいな…

千晴 あ、そう。言ってた、言ってた

まお 私もTwitterで見たんですけど。老人のロック・クライミング・シーンを観てるような

千晴 別に岩じゃないんだけどねw。チョッとした小高い丘にあるお墓なんだけど

まお ただの田舎の山の中にあるお墓なんですけど。それが82歳の老人たちにとってどれだけのアトラクションかっていう

千晴 そうだね。

まお っていうことをまず目の当たりにして…。だから「このアトラクションに私たちも乗るっていう事を楽しむ映画だな」って思って。でやっぱ、じっくり人のことを見たり、待ったり、話を聞いたり、それによってじっくり考えたりとかって、若い人だと理解できないと思うんですよね、私もそうですけど。生きてるテンポについて、他人のテンポって分かんないんですよね、やっぱ

千晴 そうだね

まお で、とくにそれが年齢によって違うってなると、だいぶ差が出てくるから。なんか「この人に生きるテンポってこれかぁ」ってなったときに、うんなんかスゴく自分の“血”が入れ替わるような感じがする。ってか、自分が自分でなくなるような感じがするんで、なんかそこに思いっきり身を委ねて、山本先生のテンポと、山本先生と患者さんとの会話のテンポと、あの山本先生の眠そうな感じとか

千晴 ハハッ! なんかさ、患者さんの話聞いてる時にさ、「あれ?寝た?」って思う時あるよねw

まお ありますよねw

千晴 でも、ちゃんと聞いてるっていう

まお で、なんか眠そうだから、面倒くさそうにも聞こえるんだけど、なんかその感じとかも、「あれ?、やっぱこの人眠そうなのかな?めんどくさそうなのかな?」って思って聞いてると、すごくその患者さんにとって、大事なことを言ってるんですよね、毎回。だから、それを「あ、この人面倒くさそうだなぁ。面倒くさそうにしてるなぁ」って言って終わりじゃなくて、最後までその人の言うこと聞くってことの難しさっていうか、いつも忘れちゃってること、みたいなのをなんかすごく思いましたね

千晴 そうだね。その「待つ」っていうのはスゴい思ったなあ。『精神』はそんなには先生にフォーカスが当たってないじゃん。患者さんの方に当たってるから、あれなんだけど。今回、山本先生と奥さんの芳子さんにすごく当たってるし、多分、おそらく山本先生にピンマイクがついてる気がして…

まお そうですよね。山本先生だけ付いてますよね

千晴 そうそうそう。だからその息遣いとかメチャメチャ、ちょっとうるさいぐらい呼吸音がずっとしてて。多分音量が上がってるのもわざとだと思うんだけど、やっぱり息もしづらかったり、すぐ息が上がったりっていうのを、なんか自分もちょっと息苦しくなってくるくらい疑似体験するんだよね

まお そうそうそう!w

千晴 ちょっと台所でかがんで、下の方の棚からコップを出したりとかする時にも「ウッ」とかいって、なんかスっごい苦しいの。

まお 「これは山本先生から出てるのか?どこから出てる音なのか?」っていう声が出てたりとかね

千晴 で、「お茶を入れよう」とかって言って台所に行くだけど、でもやっぱ、お茶っ葉とか湯飲みとかが良く分かんなくて。で結果、バラバラな形のグラスでアクエリアスをちょっとずつ注いで、でも「ちゃんとお客さんをもてなそう」っていう気持ちだったり、なんか、その一個一個のその動作が本当にゆっくりだから…

まお そうですね

千晴 あと、お酒の開け方が全然分かんないとか

まお そうそうそう

千晴 お酒の瓶のね、「そこ、こうだよ!」とかね、観ながらチョッと言っちゃった私。「違う、違う、違う!」つってw

まお 「危ない、危ない、危ない!」

千晴 「ワインオープナーいらないから!」みたないw。でも、それをカットするでもなく、ずっと長回しで見せる感じが。これ私の目の前にいたら「もう、チョッと貸して!」って、言っちゃうなとか、「もう、やるよ」って言っちゃうなとか、そういうのもじっと待って“耐える”っていう姿勢って、山本先生が患者さんにずっとしてきたことなんだな、って思う

まお そうですよね

千晴 ずっと聞くって、「いや違う」とか「そうじゃない」っていう否定の言葉じゃなく、それを絶対使わないで、ただ待つっていう姿勢がなんかすごく通じるなぁと思った

まお ね。だから患者さんの話を聞いて「こうこう、こういうことでしょう?」って要約しちゃおうと思えば、できるような話かもしれないじゃないですか、人から聞いたら

千晴 そうだね。しかも何十年もキャリアがあって

まお そうそう。だけども最後までちゃんと全部聞いて、「で、どうしたいのって?」聞いて…。「あなたがそう思うなら、“~したい”を大事にしましょうね」って言って返すみたいな感じが、作品のテーマと先生の姿勢っていうのはそういうとこでリンクしてる感じはしますね

千晴 その息づかいがすごい印象に残るんですね。最後のお墓参りのところとか、とくにやっぱスゴい息が上がっちゃう。普通に歩いてる、ちょっとした上り坂を歩くだけであれだけ苦しいとか。なんか本当に自分が疑似体験してるような気持ちだった

まお うんうん。宇宙まお的ポイントその①でした

見田村千晴的推しポイント①<0(ゼロ)に身を置く>

千晴 では私、見田村千晴的推しポイントその①。「ゼロに身を置く」。これちょっとネタバレって言われるかもしれないけど、本当に冒頭数分のところに出てくる言葉で。患者さんのカウンセリングをしてる中で、患者さんが「以前そうやって言われたことがすごく残ってる」っていうふうに言ってた「ゼロに身を置く」っていう言葉。なんか色んなモノが欲しくなったり、でも手に入らないことの怒りみたいな、もどかしさみたいなことこを感じたりした時に、一旦自分をゼロに置いたら「いや、でもこれができる」、「あれを持ってる」って思ったら「スゴい幸せじゃないか」みたいなことだと思うんだけど。それって映画観てたりする中で、「きっとこのセリフって、この先の自分を作るだろうな」なって思う言葉に出会える時がたまにあって…

まお はい。

千晴 その一つになりそうな気がした

まお あぁ…、分かる

千晴 やっぱりいろんなものが欲しくなるし、今ないものに目がいくじゃん。「自分にはこれが足りないとか」、「あの人はこれを持ってる」とか。そういうところで向上したりもするけど、でもそれってずっとやってるとやっぱ苦しいし、それでそうなった時に「一旦ゼロに立ち返る」ってすごい大事なことだなぁと思ったし。今のこのコロナの情勢って、なんかゼロに戻ってる気がして

まお うん、たしかにね。人の欲望とかね、そういうものがね

千晴 そう。ただ「映画館に行きたい」とか、ただ「外でご飯食べたい」とか「人とお酒を飲みたい」とか。そういうのでも、多分今は幸せに感じるじゃん

まお そうですね、ホントそう。もう普通に「その辺の店で友達とご飯食べたい」とか。なんかね、普通のことができないからね

千晴 それって、スゴい「ゼロに戻ってるな」って思って。色んなことが幸せに思えるし、持ってないものじゃなくて、今持ってるものに目がいくことってスゴい大事だろうな、自分の豊かさにおいて大事だろなって思ったので。なんか、そういう言葉に出会えた大事な作品になりました。…というポイントでした

まお すごい…、なんていうか、患者さんは“心の病”っていうことだけれども、普通に私たち、具体的に治療を受けてるような人間じゃなくても、参考になる話しがスゴいあるっていう

千晴 ある。『精神』の時、10年前の作品よりも、今回の『精神0』はより山本先生がお医者さんというか、なんか住職…?、なんかお坊さん?

まお はいはいw

千晴 みたいな感じだな、と思って。なんか説法をしてるみたいな感じだな、と思ったの。その存在としてもこう…、なんか「守り神」みたいな。「街のみんなの指針となる人」みたいな、そんな感じになってるんだろうなぁ、って思った

まお でも、じつは医学的な側面での戦略っていうのも、多分あるんだろうなっていうのを、私も相田監督のインタビューを別のとこでチラっと見たりして。最初の方に患者さんと何人か喋ってる時に、「お金がないから貸して欲しい」って言う患者さんがいたじゃないですか

千晴 手紙でね、それを

まお なんかそのシーンを観るだけで胸が痛い感じなんだけど…。先生も「じゃあ、お金、分かりました」って言ってあげるんだけど、その時に小銭から先に出すんですよね

千晴 そうそう、100円玉を一枚一枚、それもゆっくりなんだよね

まお ゆっくり数えて、全部手で広げて、机の上に置いてあげて。で、あと1,000円札を2枚出して「4,000円に1,000円足りないけど大丈夫か?」って言って渡してあげて。その「4,000円くれ」って言ったところなのに、3,000円を千円札2枚と小銭入れて渡すっていうところに、なんか「お金をあげる」っていう関係になり切らないようにしてるギリギリの何か、そういうものがあるんじゃないか、みたいな話をしてて…

千晴 うん、うん

まお そういう、患者さんと自分との関係とか、そういうところも「こういう時にはこういうふうにした方がいい」って、なんか医学的なものがあってやってるんだろうな、と思って。でもなんかそれも、さっきの方の話じゃないけど“医学”とか“科学”とか、そういうものと本人の信念とか経験則とか、明確には分けられないですよね、とは思って

千晴 そうだね、とくに心の病だとなんか繋がってる感じするよね

まお っていうのは思いました。でも、前の『精神』の方ではいろんな所に行って講演する様子とかも。『精神』の方だったと思うけど、なんか「四角の中に丸を書いてください」

千晴 あぁ、はいはい

まお っていう設問があって、講演会の中で。そのくだりとかも「あっ、こういうことなのか」って思った。医学的、心理的な側面でそういう病気を捉えたり、人の心を捉える時にこういうふうなところからやってくのかなぁ、なんて思ったりしましたね

千晴 はい。じゃあ2つ目、行きますか?

まお 2つ目、行きます

宇宙まお的推しポイント②<1作目の『精神』と続けて観るのがオススメ>

まお 宇宙まお的推しポイントその②「やっぱり1作目の『精神』と続けて観るのがオススメ」

千晴 そうだね、そう思う

まお まあ、順番は分かんないんですけど、私は『精神』から観たんですね。やっぱ『精神』がスゴい面白くって。患者さんたちの表情をずっと観てる中で、感情がその顔の筋肉の裏側で動いてるのがスゴいわかる

千晴 あぁ…

まお 「そこまで観えることってあるかな?」と思って。とくに好きだったのが『精神』の話しで申し訳ないんですけど

千晴 いえいえ

まお 「勉強し過ぎておかしくなっちゃった」って言ってたおじさんいたじゃないですか

千晴 あの「カット!」っていう人?

まお そうそう

千晴 ずっと、笑かそうとすんだよね

まお そうそうそう。面白いこと言うのが好きなんだけど、多分すごくお勉強ができる人だから、真面目な事とかもたまに言うんだけど。そうすると急におチャラケて「はい、カット!」とか言って「チョキチョキ…」みたいにやるおじさん。で、あのおじさんが自分の詩集を待合室の仲間に見せてる時の表情とか、「なんか、すごいなぁ!」と思って。「こんなの観れるモノないなぁ」と思って

千晴 女の人が詩を朗読するに合わせて、ちょっと口が動くんだよね

まお そうそうそう。口動きながら、なんか泣きそうなのか、怒りそうなのか、何とも言えない表情して聴いてて。で、読み終わるとパッて笑顔になって

千晴 チョッとふざけんだよね、「どうだ!」みたいな

まお そうそう。で、読まれてる間はまたその詩の世界に、自分の中で入っていって。…っていうのとか、なんかとにかく“引き込まれ度”がスゴいんですよね、『精神』が。…かと思って、そうやって一人一人の患者さんにかなり思い入れしながら観てると、最後に「追悼」って出てくるんですよね

千晴 出てきた

まお そこの部分がスゴい衝撃で…

千晴 そう、だからその撮影の時は普通に話ししてた患者さんが、公開までの間に亡くなってるってこと…

まお その理由まではもちろん分からないんだけども。「えっ!?、この人もういないの?」とかって、なんかそのパンチ力が凄くて

千晴 うんうんうん

まお で、そこからの『精神0』だったんですけど…。冒頭で「ゼロ」についての話しを受ける患者さんがいたじゃないですか、あの患者さんはその『精神』の1作目の方に出てる人だったんですよね。それで、出てきた時に「あーっ、また会えた!」みたいになってw。で、なんか「本当にここまで生きてきてくれて、ありがとう」って気持ちになったんですよね。「“生きてる”ってだけで、こんなに安心するんだ」っていうのとか、なんかそういう“時の流れ”みたいなものを感じるっていう意味でも、「2作続けて観るのはスゴい、イイかな」って、思いました

千晴 そう思います、私も

まお 

見田村千晴的推しポイント②<全てを肯定することの尊さを学べる>

千晴 じゃあ、見田村千晴的推しポイントその2。「全てを肯定することの尊さを学べる」。さっきも言ったけど、患者さんに対して否定しないで話を聞く、ただただ聞くっていう姿勢が、奥さんに対してもそうだなって思って

まお そうですね、うん

千晴 おそらく認知症がわりともう進んでるのかな?。その『精神』の時、10年前の時とは色んな意味で変わっている奥さん…、芳子さんはいろんなことができなくなっていて、だからお客さん来た時もお茶を出したりとか、ご飯を作ったりとかも山本先生がやろうとして。でもやっぱり、今まで何十年やってきてないから、上手くできなくて四苦八苦するっていう感じ、やっぱりすごい大変だと思うんだよね、そうやって色んな事が…

まお うん…、うん

千晴 上手くできたことができなくなっていく姿を見るのもそうだし、そこに対して自分がどうしていくか。でも、自分も山本先生自体も若くないし、身体の自由もそんなに利かない歳っていう中ですごい辛いと思うんだよ、客観的に。だけどその全部を否定しないでいる様っていうのが、なんかスゴいなと思ったし。私たちの親世代のこれからに通じるな、と思った。あと、それで言うといわゆる“老老介護”みたいなことに今後なっていくと思うんだけど、山本夫妻もね

まお そうですね

千晴 ドキュメンタリー映画で『ぼけますから、よろしくお願いします。』っていう映画があって。テレビディレクターの女性が自分で自分の両親の様子、暮らしを撮影したドキュメンタリーがあって。広島だったか?の、なんか田舎の方の両親で、その娘さんは東京で仕事バリバリしてるんだけど。奥さんが認知症になっちゃって、旦那さんはもうスゴい腰が曲がってて、で、難聴っていう…

まお あぁ…、スゴい大変

千晴 っていう状況で、二人だけで暮らしてる。で、奥さんはちょっと徘徊とかも始まって、…みたいな状態をただただ娘という視点で撮ってるのを観たんだけど。もう、スゴい刺さっちゃって、それもちょっと連想させられたよね、今回

まお 山本先生はいちばん、心身ともに健康で問題なく日常生活が送れる人たち「ではない人たち」と今まで向き合ってきたから、自分の奥さんがそうなっても対処の仕方が分かるけど、やっぱ、そうじゃないところで生きてる私たちとかは「あそこの境地」に行くのは、スゴい時間がかかることですよね

千晴 大変だと思う。やっぱ悲しいしね。変わっていく姿を見るのは悲しいし、「なんで?」って思う気持ちだったり、どうしても「ダメだ」と思っていても、出ちゃうだろうなって思ったりね。なんか想田監督がインタビューの中で言ってた「いわゆる昭和の男、昭和の旦那」であった山本先生がいて、家族とかも犠牲にしても「もう仕事、仕事」っていう、プライベートと仕事の区別もそんなに無くね、一生懸命仕事…。で、そこのサポートを一生懸命してきた芳子さんっていうのがずうっとあって。なんか、それに対する贖罪をしてるんじゃないかって、言ってて。お墓のシーンとかでも、やっぱどんどん先を歩いて行っちゃうの、最初は。「ウチの両親もそうだな」と思って

まお あぁ、そうなんだ

千晴 うん。でも、それぐらいホントにどんどんスタスタ一人で歩いて行っちゃうみたいな。でも、山本先生は途中で下り坂とかで振り返って、「あ、そうだった」つって戻って、手を繋ごうとしたりとか…

まお うん、うん

千晴 なんかそうやって、今までの“昭和の男感”がもちろん習慣で出ちゃうんだけど、こう…、ふと、立ち返って「あぁ、ダメだダメだ」…って、戻るというか優しくするとか、そうやって贖罪をしてるように見えた、みたいなことを相田監督が言ってた

まお なるほどねぇ…、そうですよね。だから患者さん相手にはしてたことを、「奥さんに果たしてしてたのか?」っていうと、これまではそうじゃなかっただろうしね。「奥さんの話しをじっくり聞いてあげたのか?」とか

千晴 そうだね、悩みとかをね

まお それに寄り添ってあげたのかどうかとか、っていうのは外野は全く知らないけど、でもそういうことを今やろうとしてるっていう感じなんですかね

千晴 そういう意味でもなんか「ゼロに戻る」というか、なんかしっくりくるなぁと思った

《今日の極論!》

千晴 じゃあ、続いてのコーナー行きましょう。「今日の極論!」。この映画に関する女ふたりの勝手な極論を交わそうという、勝手なコーナーですが

まお はいw。

千晴 今日の極論。「精神0」は本当に純愛映画なのか?

まお はい、ケチ付けようとしてますねw

千晴 ハハハッ

まお ハハハハッ

千晴 キャッチコピーをね

まお ね。勝手な極論コーナーですけれども

千晴 相田監督も撮ってる時はもちろん意識せず観察していて。でも「期せずして、純愛映画になった」っていうふうにコメントで出してますが…、どうでしょうね?

まお でも、なんかその見田村さんの今の話しだと、どう思います?、

千晴 純愛…、

まお 純愛にあたる?、それは。贖罪、…も純愛?

千晴 あぁ…、ムズいね。

まお ねぇ。なんか「愛ってナニ?」って話しにもなるけど…、結局

千晴 でも、「贖罪」っていう言葉だけで片付けるのも、なんか違う気もするからね

まお う…ん、そうですね

千晴 でもそういう部分はある…、としても

まお 「この人はこの人のことをすごく愛してるなぁ」とかって思う時って、どういう時ですかね?、人のこと見てて

千晴 えぇ…、そう言われると…

まお 「なんか、この人の愛はなんか自己満だなぁ」って思ったりとか、あとは「贖罪だなぁ」みたいのもあったりとか、「一方的だなぁ」って思ったりとか。…っていうことを考えると、そういうものが愛だと勘違いしてるパターンもある中で、この映画にはそういう要素が全くないっていうか、贖罪的なモノも見える時はあるけど、なんかすごく一方通行なモノとか、っていうモノはないなと思って…

千晴 うん、たしかに。…だし、やっぱり変わっていく姿だったり、これからより山本先生が、奥さんを支えていかなきゃいけない、っていうことも全部受け入れての、それもあっての引退かもしれないし、分かんないけどね

まお そうですね

千晴 そういう状況があって…。だからそれを思うと純愛かな、とは思うかな

まお そう、なんか「純愛」という言葉が使われ過ぎてて、韓流ドラマみたいなモノがパッて出てきちゃうんですよ「純愛映画」って言われると

千晴 そうねw

まお でもやっぱ、そういうモノとは違うなって思ったなぁ、っていうのはありました。なんか「助け合って生きていく」じゃないけど、最終的には人間ってそういうとこに行くのかなぁと思って…。なんかそれは「助け合いたい」と思う人じゃなきゃ助け合えないから、それが愛なのかなぁ、って思ったりとか、…難しいですね

千晴 難しいなぁ、愛は…。でも、夫婦はそうだね。親子とは違うから

まお そうそうそう…

千晴 ね、親子だとやっぱり本能的な部分で「護んなきゃ」とかあるけど、夫婦ってね、もともとは他人で

まお う…ん、そうですね

千晴 純愛…、映画です

まお 純愛映画です。何かしらの「愛」

千晴 そうですね。いやコレ難しいな、難しいね

まお 難しい…

千晴 やっぱ、未婚の女ふたりが立ち向かえるアレじゃない

まお そうなんですよ。まだまだ人生…

千晴 ペーペーの…

まお 山本先生の半分も生きてない

千晴 そうですよね

まお 私たちが…。まぁたしかにね、「そういう境地に行った人が分かるナニかがあるんだろうな」って感じはしますよね

千晴 ということで

まお ということで…

千晴 純愛映画です!

まお 純愛映画です!

千晴 ごめんなさい。すいませんでしたw

まお はいw

千晴 じゃあ、エンディング行きましょう。

まお 行きましょう

《エンディング》

千晴 はい。今日もね、今日もというか、ドキュメンタリー映画は初でしたが

まお はい

千晴 大変ですね、やっぱ。これ“重い”って言うと“軽い”、その言葉が軽いけど

まお そうですね。そう、ドキュメンタリー…。実在の人たちの話をするわけですからね、やっぱ。そこに対する身構えっていうか、気構えっていうか、そういうのもあるし

千晴 でもなんか私、ドキュメンタリー大好きで、この「観察映画」っていうモノと比べて、どれだけドキュメンタリー性があるかわかんないけど、『ザ・ノンフィクション』とか

まお あぁ、あのテレビで、ってことですか?はいはい

千晴 毎週観てるし。さっきの『ぼけますから、よろしくお願いします。』もね、ドキュメンタリー映画だったり…。わりと好きなんですよね

まお なんか「生の人間がいる」っていう、そういう感じですかね

千晴 そうですね。生々しく…、自分の生々しさと、他人の生々しさをちょっと比べてみたりとか、安心したり焦ったり、…な感じなんですけど

まお あの、「ドキュメンタリーが好き」っていうことではないかもしれないんですけど、人の顔を見てるのが結構好きなんですよ。あんまり日常生活で“まじまじ”と人の顔を見るほどの勇気はないから、なんか誰かが撮ってくれたモノをずっと見てんのとか、なんか隠し撮りみたいなやつも結構好きなんですが…

千晴 ハハハッ!それ、チョッと大丈夫?フェチ?

まお なんかヘンな意味で取らないほしいんですけどw でも、なんかそういう「この人、気ぃ抜いてんなぁ」みたいな瞬間の映像とかがすごい好きなんですよ

千晴 あぁ、ドキッとするねぇ

まお 「この顔、ナニしてんだろう?」とか「ナニ考えてんだろう?」とか、想像するのがすごい好きで、そういう意味ではメチャメチャ面白かったです、やっぱ相田監督の映画

千晴 「観察」ですね、まさに

まお 「観察」ですねぇ

次回の課題作発表

千晴 それではじゃあ、次回の作品を発表しましょう。ルパート・グールド監督『ジュディ 虹の彼方』。これはですね、「新作なのに観れないじゃん、映画館やってないし」っていう方、大丈夫です。Amazon プライムビデオ入ってる方、今、なんか「おうち映画館」っていう、映画館がやってない中で新作映画を楽しめるように、わりと公開から日が浅いものがレンタルで出てるんですね。その中にこの『ジュディ 虹の彼方に』もありまして。他には『ハスラー』とか『スキャンダル』とか。ホントにアカデミー賞でも名前が出てきたような作品もあって…。この『ジュディ』はもう獲ってましたよね?

まお えっと、主演女優賞ね

千晴 そっかそっか

まお たしかね。

千晴 そう。観たいなと思ってたんですけど、まだ観れてなかったので。これを機に観たいなと思いますので。是非、Amazonプライムビデオ入ってる方、これって?

まお えっと…、追加料金みたいな感じですよね

千晴 あ、レンタルなので…、この作品は1,000円だったかな?

まお はい

千晴  なので、アマプラ・レンタルにしてはチョッと高いんですけど、新作をおうちで観れるってことで。感想を送って欲しいなと思います。この番組ではあなたからの感想ご意見お待ちしています。あとは「この作品扱ってほしい」などのリクエストも大歓迎です。メールアドレスはfutarinobanashi@gmail.com。「ふ」は 「fu」 ですね。「し」は「shi」 というふうになってます

まお はい。PodcastとYouTube でこの番組を聴けます。お好きな聴き方でどうぞ。 YouTube の方はコメントやチャンネル登録、グッドボタンの方をお願いします。そして Twitter アカウントもやってますのでフォローをお願いします。また感想やご意見は「#ふたりのばなし」で是非、どんどん呟いてください

千晴 はぁい。 Twitter、そう言えば100人超えましたね。

まお あ、超えた!

千晴 

まお 超えましたね、フォロワーね。是非ねYouTube のチャンネル登録もね

千晴 そうですね。 YouTube の方も是非

まお 聴いて頂けると何か色々できるようになるっていう話でしたっけ?

千晴 あ、数がね。増えるとそのうち収益化ができたりとか。まぁ、1,000人はだいぶチョッと遠いけど。だけどアレか、100人になるとスマホから配信ができるみたいな。あとは我々のモチベーションが上がる

まお そうですね、めちゃめちゃガン上がりしますね、それは

千晴 そうですよ

まお はい。

千晴 よろしくお願いします。

まお 願いしまぁす!

千晴 はい。告知事項は私はですね、オープニングでも言ったんですけど(2020年)5月17日。今週の日曜日の夜8時からツイキャスのプレミア配信を使って、見田村千晴オンライン・ライブ『全員最前 ~生誕祭を添えて~』というタイトルのソロセット弾き語りのワンマン・ライブをやります。渋谷Gee-geから生配信なんですが、是非観てほしいなと思います。ツイキャスのとこから有料チケットが買えますので、是非行って見てみてください。よろしくお願いします

まお  私は…、何かありましたっけ?w ラジオをやってるんで、茨城放送で radiko のエリアフリー聴ける人はね、よかったら火曜日の夜9時にやってるんで聴いてください。あとは 、YouTube でワンマン・ライブの映像を5月いっぱい公開してるんで

千晴 あ、そうだ

まお フルバンドのやつなんで、是非観てください。で、あとは宇宙まおは一応 CD も何枚か出してるので、最新作『永遠のロストモーメント』、改めて CD 買って頂くなり、サブスクで聴いて頂くなり、してもらえると嬉しいなと思います。そんな感じです

千晴 はい。じゃあ終わっていいですか。そんな感じでね、一歩一歩前進していきたいですね

まお そうですねw

千晴 はいw ここまでのお相手は見田村千晴と

まお 宇宙まおでした

千晴 さようならぁ

まお バイバぁ~イ、お休みなさぁい


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?