大工、建物解体!
さあ、Kさんに瞬殺でマウントをとられてしまった僕は子分の運転手よろしくいよいよ建物解体現場に到着。さっそくアニキに買ってもらった靴に履き替えてと・・・。
「Kさん、お疲れ様です!」
と、元気よく声を掛けてきたのは先に現場で待っていた森さんという、小柄で笑顔が素敵な人物。そうです。この人は解体屋さんです。
「おう、おつかれさん」
Kさん態度が随分と偉そう・・・。森さん曰く、森さんは建物解体の見積もりにおける積算方法や注意すべき点などをKさんから教わったらしく、師弟関係にあるとのこと。へ~Kさん、外ではちゃんと仕事してたんだね。
その現場は横浜市内にある古い一戸建て。僕の会社はお客から建物解体を依頼されると、役所への届け出や看板掲示、現場管理等を行い、解体作業そのものは森さんひきいる解体屋さんが行うという図式だったのです。
で、その番頭がKさんだったのだ。いやいやKさん、僕は見直しましたよ。ちゃんとお仕事されていたんじゃないですか~。うたがってメンゴメンゴ。
「おい! 今度からお前がやるんだから、ちゃんと覚えろよ」
へ?
あたす?
いや、聞いてないよぉおお!! なになにいきなり!?
会社からはただ解体現場を見てこい、と言われたのみ。ところが、Kさんとのドライブデートの実態は、Kさんが担当していた建物解体の仕事を僕が引き継ぐというものだったのだ。いやいや、ほんとに聞いてないし、僕、建物解体の見積もりなんてできないっスよ!
しっか~も! その引継ぎの理由が、Kさんの仕事量が多くて手が回らないから・・・ってマジ?
えっと・・・Kさんってそんなに忙しくしてる様子ないんですけど。
確かにYさんは会社に届く問い合わせの電話も全部受けてるし、お客への挨拶廻りも忙しそう、新規現場の見積もりだってほぼ毎日してる。それに新しい取引先の名刺もじゃんじゃん持って帰ってくるのよ。有能感ありあり。
けどKさんが持って帰ってくるものといえば牛丼チェーン店の割引券とかスクラッチくじとか馬券。だいたいそれらを机に並べて、僕とYさんに競馬の面白さや、どこの牛丼屋がうまいかなどの話をクドクドするのだ。いや面白いけども。
それに、月イチの営業会議には毎回必ず遅刻して登場。会社役員がそろってる所に「う~、さみ~な~チキショ~」とか言いながらミノムシみたいなロングダウン姿で入ってくるんですよ。そして、いつもお咎めなし。
う~ん、マジ何者? マジ謎。
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