多能工はつらいよ
前回、建築業界で耳にする「多能工・万能工」という呼称は、元々買い手側が頭数の減っている職人に他業種の領域の仕事もやってもらうために使い始めた言葉だよって話をしました。あけすけに言っちまえば「雑用」に近しい。職人の「多能工化」を求められたら然るべき金額請求でキッチリお返事しましょう。
しかしだよ、よくよく考えたら「雑用」をハッキリ「多能工」と呼んで雇用している業者が結構いるのであ~る。
求人サイトで「雑用」と検索した場合と「多能工」で検索した場合を比べてみると前者は事務作業やデータ入力など、明白に庶務・雑用として様々な企業が募集しているのに対し、後者はほぼ建設・建築の業者が募集しています。
「多能工・大工募集」「多能工的お仕事」「多能工スタッフ」「多能工育成」「多能工職人」などなど。
あ~面白い。多能工的お仕事ってなんだよ! 多能工育成ってのもどうかと思うよ! これら、ハッキリ言って「雑用募集」です。間違いない。
リフォーム屋でもマンションリノベ屋でも工務店でも現場数が増えてくると管理側のやることが増えてきます。近隣挨拶や工事のお知らせ配布、養生作業や養生の片づけ、現場周りの掃除、この辺までは営業担当や管理でもなんとかなる。
一番問題なのは、職人に頼むとお金が発生しちゃう頑張ればシロートでも出来そうだけどやっぱりやりたくない作業の残工事や是正工事。これであります!
こういった雑務を処理してくれる人を建築業では喉から手が出るほど必要としています。どんな会社も一人はこういった「多能工」を抱えていることが多いです。
僕も何人もの多能工さんと会ってきました。彼らの特徴は元大工を始めに元サッシ屋、元軽天屋、元ユニットバス屋などなど、元々何らかの職人だった人が圧倒的多数。
彼らの仕事は残材の運搬や解体作業などの力仕事から網戸の張替えやフローリングの傷リペアなどの技術仕事まで多岐に亘り、正直ハードです。
だもんで「雑用」だなんて呼びづらい気持ちはわかる・・・。どこの会社も彼らに無理させてるもん。
現場管理も出入りの激しい業界ですが、この「多能工」も出入りが激しいのが現状です。
彼らが口を開けば一様に言うのが「こんな仕事内容だったなんて聞いてなかった」とか「カーテンレールの取り付けとか〇〇さんだったら簡単な作業ばっかです~って聞いていた」とかね、こんな愚痴ばっかり。
もうね。最初からハッキリ「雑用」ですって教えてあげてください。事実なんだし。
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