ウマ娘プリティーダービー新時代の扉 感想

 やっと観に行けました。
 仕事とか日本ダービー(この週3500円負け)とか仕事とか安田記念(この週3000円負け)とか体調不良で一週間ダウンしてたりとかで全然観に行けるタイミングがなく、今日を逃すともう見れないと悟ったので、病み上がりの身体を無理に動かして行ってきました。

 本当は何回か繰り返し見てブラッシュアップしたいのだけど、そうも言ってられないので、覚えてるうちに。


ストーリー・構成

 劇場版でそんなに長尺使えないというのもあってか、かなりサクサク進んでいった印象。
 かなり詰め込んでたなーと。

 主人公ジャングルポケット(以下ポッケ)は当然のごとく出番も心情描写も多かったけど、実質的な第二の主人公にあたる(というかうまい表現が見つけづらいけど掘り下げが多かった)のは多分アグネスタキオンかフジキセキ。
 どっちも史実だと早期引退を余儀なくされている競走馬で、アプリ内でも若干掘り下げが難しく持て余していた感が個人的にはあったので、こういう形で掬ってくれるのは喜ばしい。
 タキオンはちょろっとキャラガチャ回せば星1でぽこぽこ出てくるからまだいいけどフジに至ってはイベントもドロワの一回きりだしキャラ引かなきゃ何故か勝負服で谷間曝け出してるやべーお姉さんとしか思えねえよ。実際急にあの格好してくるのビビるわ。あの勝負服の一点で映倫R15+とかにされても文句言えねえよまじで。

 映画公開されたあたりからダンツフレームと謎の食べ物オッチャホイが悪魔合体してよくわからんことになってたけど、まじで劇場版見てもオッチャホイが何なのかよく分からないとは……。

 同期ってこと以外にそこまで大きく取り上げる材料の乏しかったマンハッタンカフェは影薄かった。クラシックの時点だと最大の見せ場になる菊花賞も半分ダイジェストみたいな感じだったし。
 とはいえこの辺ダラダラやってると間延びするし取っ散らかるから仕方ないかな。

 いわゆるオリキャラはトレーナーとポッケの友達三人衆だけ。ペリースチーム?あいつクロフネだべ?
 ここを絞ったのが好判断で、やっぱりこういうキャラが多く出てくるタイトルだとネームド同士のやり取りが見たいと思うのが心情なわけで。
 三人衆はあんまり尺を使わずポッケのキャラクターを深めるっていう役割をちゃんと担えてたし、逆にトレーナーはキーパーソンとして話に起伏を作ってくれる存在……つまりは立ち止まってしまったポッケに対して再び前に進むためのきっかけを与えてくれる存在となってくれていた。
 それだけで必要十分だったし、あとはタキオン・フジ・ダンツ・カフェなどネームドで話の組み立ては問題なくできるしできていた。

 あと、個人的にはちゃんと強いオペラオーを描いてくれたのが感無量。
 RTTTの時間軸でもオペラオーだけなんとなく未来が視えているような強者になっていたけど、『世紀末覇王』として君臨する前段階の話であくまで絶対的ではなかったのに対して、新時代の扉の時間軸だと既に『世紀末覇王』として君臨した後で、おそらく作中でタキオンと並んで「こいつはやべぇ……」感を容赦なく出していたキャラクターだと思う。
 本筋からは微妙にずれるから有馬記念もジャパンカップも若干尺が手狭な印象は受けたけど、それでも実馬を見てきた、あるいは当時の映像などで追体験したもの(私はこっち)からすれば「ああ、これが俺達の知るあのテイエムオペラオーなんだ」という思いになった。

映像・演出

 見終わった後情報量の大洪水で酷い頭痛に襲われるくらいすごかった。
 どちらかというと視覚的に1期とRTTTはレースシーンが(アヤベさん関連以外)明るくて、3期が重たいイメージ(2期はレースシーンはともかくそれ以外で容赦なく重たくしてくる)で、当時の気候的に新時代の扉も若干暗いカラーリングが多かった印象だけど、その分勝負所でギラッギラに色盛ってド派手にキメてた。

 結局のところスポーツ系のアニメは競技シーンが見せ場なんだし、見せ場では多少盛りすぎなくらいでちょうどいいのかもしれない。

 3期の悪癖だった「はああああああ」とか「やああああああ」みたいなやつの連打がところどころ抜けてない印象はあったけど、3期よりは自然だったかな?

 ところで。
 これは感想・評価とは全く関係ない余談ですが、背景にたくさん紛れてたモブの中から推しを見つけることはできませんでした。
 なんかTwitterとか見る限りいたらしいんだけどね、残念ながらわからなかったよ。

 これもしかしたら座席とかシアターとの相性問題、いわゆる広義でのおま環なのかもしれないけど、OPとか劇中歌のボーカルがあんまり聞こえなかったのは明確に残念。うまぴょいしか聞こえなかったまである。
 伴奏が大きすぎた……

 ただそれ以外の部分では迫力を感じるものになっていた。

 個人的に、音はただ鳴らせばいいってもんでもないと思ってて、静があるから動が一層引き立つと思っているんですが。
 ダービーかジャパンCか(ちょっと失念してしまった)のスタート直前に1,2秒くらい何も音が鳴らない、ブレイクに近いような静寂が入るのが本当に良かった。

 あの一瞬があることで、そのあとが本当に締まる。
 あの一瞬があることで、実際にゲートの中で待機しているウマ娘たちが、ゲートの開くその瞬間を今か今かと待ち焦がれるのを疑似的に体験できる。

 アニメーションとしての構成的にも、聴覚的な演出的にも、一歩間違えれば窮屈にすら感じうるほど重厚なものの中に、明確にああやって時を止める一瞬が挿入されるのは実に素晴らしいと思わざるを得なかった。


総合的に

 実は今年に入ってからアニメを全然観れてなくて、冬アニメで『僕の心のヤバいやつ』『弱キャラ友崎くん』(共に2期)をそれぞれ観ただけで、どちらも動きに強みのある作品ではなかったので、実質的にメリハリのある動きをするアニメーション自体ウマ娘3期以来の視聴になるわけで。

 どうしても1話20分強の間に見せ場を作らなければいけないTVアニメと違って、全体的な時間の制約こそ強いがその範囲内であれば起承転結の尺調整に融通が利くという劇場アニメの強みがよく出ていたと思う。

 惜しむらくはこれを観た私自身の体調が万全ではなかったということだけ。


 ここまで見ていただきありがとうございました。

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