天然パーマ奮闘記
いまでこそ、「オシャレなパーマですね」とか「パーマ羨ましいです」とか言ってもらえるようになったのだが、昔は天然パーマがコンプレックスだった。
高校3年生になって、野球部を引退してから髪を伸ばした。小学3年生から野球をやっていたので、それまでは髪型になんて気を使ったことがなかった。なので、髪を伸ばすことにいささかの抵抗感がありつつも、どんな髪型になるのかワクワクしている自分もいた。
その期待を裏切るかのように、髪はとにかくもじゃもじゃと伸びやがった。櫛でいくらとかそうが、ヘアアイロンでいくら伸ばそうが、もじゃもじゃは残ったままだ。寝癖と見分けがつかないぐらい、いつも爆発していた。周りからもイジりという形で馬鹿にされ、自分の髪型に自信が持てなくなり、いつも気にしていた。
大学生になってから、一念発起して、ストレートパーマをかけた。ようやくこのもじゃもじゃからおさらばできると、これまた期待で胸がいっぱいだった。2時間ぐらいかけてようやく出来上がった髪型は、違和感だらけだった。確かにまっすぐではある。でもまっすぐすぎる。不自然だ。なんだこれは。美容師さんの腕を疑い、何軒かの美容室を渡り歩いたものの、結果は変わらなかった。縮毛矯正を試したこともあるが、納得できる髪型に仕上がることはなかった。
2年生になって、ここで転機が訪れる。天然パーマにパーマをあてたのだ。パーマを重ねたのだ。世紀の大発見である。美容師さんが言うには、パーマをいかすというらしい。なんだか、かっこいいし、おしゃれだ。いままでの美容師さんと違う気がする。よし、いかしてくれ、俺の天然パーマを。もじゃもじゃよ、もっと暴れろ。
こうして出来上がった髪型が、今の髪型の原型である。そこからパーマをあて続けたことにより、徐々に髪質が変わり、いまではパーマをあてなくてもそれなりに満足のいく髪型になった。もじゃもじゃがいい感じになってくれた。
とはいえ、ストレートヘアへの憧れは尽きない。櫛でとかしても一度もひっかからず、ものすごい寝相で眠ったのに手でささっとするだけで整うような、そんな髪型をいつか手に入れたい。