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メイクボックスの中から見えてくるもの


その昔、自分の肌が大嫌いだった頃
わたしはコスメおたくでした。

コスメ雑誌を毎月のように買い、
コフレの時期には毎日のようにデパートに足を運び
限定商品をゲットしては達成感を感じ
どうしても欲しいと思ったものは
他県まで足を運んだり。

それはそれはかなりの熱量でした、
そして当然ながらわたしのメイクボックスは
ものすごい量の化粧品であふれていた。

お顔はひとつ、目は一対、唇もひとつしかないのに。

色物と共に、いくつもの種類を
次から次へと買い求めていたのは
ファンデーションとコンシーラー、でした。

父譲りの脂性の肌の上で、よれずに
ニキビや吹き出物を完璧に隠してくれる
ファンデーションとコンシーラーを
どれだけ探し求めたかわかりません、
正にわたしはジプシーでした。

雑誌を読み、ネットでクチコミを読み
店頭に足を運び、買い求め
あー、これもわたしの肌を決して
綺麗にはみせてくれないとがっかりし、
まだ出会えぬ
理想のファンデーションとコンシーラーを求めに
ドラッグストアとデパートの化粧品フロアを
彷徨った日々。

その頃のメイクボックスの中で
大幅に場所を取っていたものが2つあります。

1つはアイシャドウ、アイライン等の
目元を飾る色物やメイク用品。

今は年を重ねてまぶたが下がったのか、
両目ともはっきりした二重ですが
生まれた時から40を過ぎるまで、
ばっちり一重だったのが
わたしのコンプレックスのひとつでした。
(整形等は一切しておりません)

お人形さんのような、二重の大きく愛らしい瞳に
とても憧れていたわたしは
当然お付き合いするボーイフレンドも
二重のくっきりした、バタ臭い(古い表現だなー笑)
お顔の方ばかりでしたし、
少しでも目を大きく、ぱっちり見せたいあまりに
目を見開くクセがあったために
中学生の時から
おでこには大きな横ジワがありました。

そして当然メイクボックスの中には
陰影をつけて彫り深く、目を大きく見せるための
アイシャドウや
目を少しでも際立たせるためのアイラインばかりが
増えていったのです。

もう1つは、言う間でもなく、
コンシーラーとファンデーション、お粉の数々。

今すっきりとした、アイテム数も少ない
自分のメイクボックスを見て
改めて思うんです、
「あの頃は綺麗に見せるため、ではなく
コンプレックスを覆い隠すために化粧していたんだな」って。

あの頃はコスメ、お化粧品が
自分の嫌いな部分を隠すために
人目に晒さないために、人目につかないように
武装するためのツールになっていたんだなって。

ちっともお化粧を楽しんでなんかいなかった、
表面だけを取り繕う為の、明らかに
コスメ、お化粧品への「依存」でした。

30年の肌のコンプレックスから解放され
目も加齢からか二重となった今、
コスメジプシーからも解放され
コフレの時期に踊ることもなくなりました。

メイクボックスの中をのぞくと。

お顔の中のどこに今
自分がフォーカスしているのか、
今どんな願望があるのか
今どんな自分になりたいのか
見えてくるかもしれませんね。

華やかなコフレや限定品、色物は全くなくなり
アイテム数も激減しましたが、
わたしは今の自分のメイクボックスが好きだし、
今はとてもお化粧を楽しんでいます。

昔はお化粧に1時間以上掛かっていましたが
今は15分もあれば十分。

なんであの頃は1時間以上掛かっていたのかしら(笑)
でも、あの頃のわたしには
武装するのに必要な時間だったのだ、と思います。







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