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【短編】 リテラシー将軍
少佐「おい、貴様ら。早くしろ」
「は、はい。では、これなどはいかがでしょう」
上官に催促され私が提出したのは、 「第二航空隊 入隊試験成績一覧」だ。
「これを、Excelの関数を用いて出身県別の平均点がが分かるようにする、というものですが・・」
少佐はそれをひったくるように受け取ると、少し待機するよう命じて立ち去った。
どこへ向かったのかは分かってる。将軍のところだ。
2ヶ月前、新たに軍のトップに据わったA将軍は、
かなり風変わりな人物だった。
巨大な軍組織を束ねる統率力やカリスマ性はもちろん兼ね備えているのだが、何よりA将軍がこだわっているのは「社会人基礎力」だ。軍は我が国の防衛力として機能するために、厳しい規律の元日々活動しているが、国民生活と大きな乖離があってはならない。軍人である前に社会人であれ、というのがA将軍の思想なのだ。
着任以来、こうして度々各部隊を訪れ、「抜き打ち社会人基礎力テスト」を行なっている。
「リテラシー将軍」
誰かが言い出したそのあだ名は、密かに我々の内々では広まっていた。
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