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アメリカの大学受験(4) 受験システム

アメリカの大学受験(1)点数について
アメリカの大学受験(2)エッセイについて
アメリカの大学受験(3)課外活動
の続きで、予告してたアメリカの受験システムそのもののことです。

1.アメリカの大学の選び方の基本

旺文社の教育情報センターによれば日本には774の大学があるようです。

ではアメリカはいくつくらいあると思いますか?

あるアメリカの教育ブログでは約5300と書いてます。情報ソースが分からないですが、まぁどこの高校のカレッジカウンセラー(大学受験のための専門職)も「4500くらい」とは言うでしょう。

え!!!どうやって選ぶの?!

そうなりますよね、だからこそのカレッジカウンセラーというお仕事(別校で書きます)があるのだ。ウチの子が行く学校では11年生の秋(だから、11年生=ジュニアになったばかり)に親子を対象に説明会が始まります。その後ジュニアでもシニアでも情報共有や個人面談や、各地を回る大学側の入試担当官(アドミッションオフィサー)の講演会への招待などが続きます。たしか日本人でカレッジカウンセラーをされている方が・・・あ、あったあった(ウチ、蔵書の7割はKindleですので検索すれば出てくる)

詳しいことはやっぱ、こういうプロのを読んでください(笑)日本から受ける場合のことも書かれてるから。

とにかく最初に私達が教わったのは
 1)まず場所を選ぶ(大陸なんで。東側、中部、南部、今私達が住んでるエリアにちかいところ、西部、その他の国・・・)
 2)その後カウンセラーと相談
 3)候補エリアの大学は早いうちに訪問してみる

で、ここが終わったら。

a) 興味ある分野の学校をいくつかピックアップ。自分の進みたい方向を決めて受験するのか、「リベラルアーツ」に進むのか
b) 学費の検討
c) (カウンセラーと)学力に照らして安全圏、チャレンジ校、本命を決める
d) 最終的に 早期(〜12月頭)で申し込むのを2ー3校、レギュラー(1月くらいまでに申し込み)を4ー5校、計5〜8校のアプリケーション(申し込み)を狙う。かならずスカラシップ(奨学金)の手続き検討を。

細かい違いは カウンセラーであると思います。ただ、この学校は私立で、自営のお仕事をされている方が多いこと(収入の大きい方はトンでも無く大きい)、いわゆる難関校には15〜20%位の子が進む(受験するのは半分以上だと思うけど)ことを前提に説明されてますので。

*リベラルアーツについては別に書きます

2.学費の問題

学校数も多いですが、学費も・・・いわゆる「公立」とされるものは、その州に住所があるひとならば$5000〜$8000(50万から80万)とか。学校や州によって違います。これが州外だと$15000(150万)以上とかに跳ね上がるので、公立も入るのはいろんな意味で易しいとは言いがたい。(各地にそれより安いコミュニティカレッジなどもあります)

で。何千校とある大学の多くが私立なわけですが、まぁピンキリながら私立の学費は3万ドル〜5万ドル越え(300万〜500万)とか。これに寮費や教科書代などを入れると大体1年で$75000(750万)とか考えてね、なんて大学の案内パンフレットに平気で書かれます。

払えるわけねぇだろうが!

と思うところで、「ウチの学校、スカラシップうける子供おおいですよ」と来るわけです(あたりまえだ、それなかったら大抵の子供は入れない)。

で、結構トリッキー(tricky 巧妙とか一筋縄ではいかない、みたいな意味ね)なのは

家庭の年収によっては、公立よりある程度名の通った私立の方が安く通える可能性がある、というか高いのです。

奨学金は日本人が思うより身近なものです。大学以外でも奨学金をだしてくれる団体とか、結構あります。また、「このくらいの年収だとまぁ、間違いなくneed baseはとれるよね」「meritもいけるだろう」という「統計」もちゃんとあって、これはカウンセラーの中にはある程度の確かな統計とか持ってる人も居ます。その情報をアップデートしながら奨学金中心の相談に乗ってくれる「会計士」とかもいらっしゃるのだ 大笑

今さらっと書きましたが、奨学金には大きく分けて2種あり、need base(年収が低い家庭からでも大学に行けるようになる)とmerit(いわゆる成績なんかを考慮するやつ)と呼ばれます。

お金に関してはいろんな事がシビアに関わるので一概には言えません。でも年間500万円もの学費を払い続けられる親なんてそうそう居ません。必ずそこには一生懸命勉強するなら手伝うよ、という何かの方法があるので、そういうところもカウンセラーの手腕というか情報収集能力が大きく響くのです。
カレッジカウンセラーはまぁ、選ぶことはなかなか出来ないけど(フリーランスのひともいるらしいが)、忘れちゃいけないのは「学費で可能性のある学校を狭めるのはもったいない」ってところかと思います。

3.カレッジカウンセラー

日本の方はご存知ないかもだけど、去年は有名大学入学について 芸能人の子供がすごくイイ学校にはいったのを調べたら大学のみならず入試担当官に巨額な報酬が支払われてた、というので アメリカでは大スキャンダルとなりました。まぁ、昔から有名大学に親が巨額な寄付をしている、とか、いろいろありますけど・・・人間として「寄付くれるならご子息いれます」は、わかりやすいよね。
で、各大学もアクセプト(入学許可)の方向を変えざるを得なかったのか、今年は早期出願のアクセプタント率が平均で例年の11%減となり、うちのカウンセラーもアタマを抱えているそうです。

ま、それはいいとして。カレッジカウンセラーは大体どの高校も一人はいますが、スキル・情報量は様々。担当人数も様々。当然公立では何百人に対してひとり、とかなので1人1人の細かい相談にはのれません。もしかしたら会うことも殆ど無く卒業するひともいるんじゃないかな。

学校と関係無くカウンセラーとして働く個人・会社もあります。むちゃくちゃ高いらしいです。まぁ、こういう人達は学校選びのみならずお金のこと、成績や課外活動のどの部分をどう伸ばすかの戦略をたてるところからエッセイの添削までするらしいからね。

大学数も、選び方も、そのコツも、果てはお金のことまで、学生が1人では集めきれない(調べきれない)ことを知ってる、そのひとのヘルプの意味はやっぱり大きいと思います。力を借りなくても入れるけど、ちゃんと話すといろんな可能性が見えてきます。

ウチの子供も、学校にいるカウンセラーに(その辺、私立なので40人に1人+アシスタントのカウンセラーも一名いるので、アクセスはいい)何度か面接してもらって話すウチにアメリカの大学もいいかな、とか、この方向性の大学もいいかな、という発見があったらしい。東海岸の学校に数校、願書をだしてます。その相談の時間がなかったら「地元の公立もしくはカリフォルニア、もし出来たら日本の大学」という3つくらいの選択肢しかなかったからな。ちなみに、子供達が学校でお世話になってるカウンセラーは東海岸の有名私立大を卒業してて、大学時代はその地方の古い大学同志の連携する活動とかも関わっていたそうで、個人的な知識もあるというのが明らかに子供には届いているかんじです。

余談ですが、我が子が高校の年齢を直前にしたときウチでは子供達を今の私立にいれたんですけど、一番の理由は子供2人が同じ学校にいけば年間スケジュールが分かり易くなる、であったけれどその次は「学校で取れる難易度の高い授業数」「カウンセラーが30人から40人に対して1人」というところ。一般カウンセラーに支払う相場を知らないけど、まぁ、高校に払ってる学費の一部はペイしてる(きちんと使われている)と思いたいです。

4.大学受験のシステム

日本では今でも「顔写真」と照らすためか、願書という「ハードコピー」提出をほぼ100%要求していると思います。帰国子女受験ですら「オンライン申し込みののち、規定の日時内に郵送」という形を取ってますね。

アメリカは殆どの過程が「オンライン」で終わります。
まずは大学に関係無く 子供の基本情報を入れられるシステムがあって、願書を出した大学はその子の情報にアクセス出来る、という形なのか、あるいは願書を出すときその規定の情報が添付出来るようになってるのかは知りませんが、とにかく「何度も名前、住所、国籍、生年月日、どの学校を卒業見込みか」みたいな何度も何度も書くであろう情報は一度の入力で済むようになっています。
ある程度の「各大学で要求するかどうかが別れるけれど」というサプリメント(補助)情報は 大学側が事前に選ぶようになっているらしいです。たとえばA大学、B大学、C大学、D大学、E大学に願書を出そうとしているとき、オンラインで入力を進めていくと「B大学とC大学にこの情報は共有されます」みたいなページが出てきます。でも、記入漏れは少なくなるし、二度も三度も同じ事を書かなくていいのはココもおなじ。

システムをつくるのは面倒かもしれないけれど、大きく大学・各生徒の労力を減らすと思うんだけどなぁ。なんで日本ではやってみようとか そういうウェブ上のシステム売ってみようって会社がでないのかなぁ・・・

ま、それはいいとして。

学校や統一試験の成績は当然 各施設から直接送ることが出来る(不正が出来ない)ような形になってるし、芸術系の学科なら「ポートフォリオ」なる自分の作品集をオンラインで提出出来る。ついでにポートフォリオを元にしたスカラシップへの応募もできちゃったり。エッセイはもちろんオンラインで「出来上がったら」出せばいいし(締め切り以外時間の制限ないし、書きながら調べ物はしてもOKだし、なんだったら友達や先生から添削受けた後で提出もできる)、推薦書もオンラインで届けられるらしい(ここは良く知らない、そう聞いてる)です。

こう書いてると、「なんで今どき、紙の願書でなければいけないのか」とやっぱり思っちゃうね。資源の無駄でもある・・・

すごく長くなったので、大学のほうの受験スケジュールとかリベラルアーツについては、また別記事で。

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