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【受験体験記】育休中にシステムアーキテクト試験を受験した話

第一子育休中に高度情報処理技術者試験のシステムアーキテクト試験を受験しました。
本記事では、勉強方法や試験勉強を通じて得たことなどをまとめます。
(本記事執筆時点の2024年4月ではまだ合否発表されていないため、結果を踏まえた振り返りは合否発表後に追記する予定です。)
育休中でなくて当てはまる内容もあると思うため、育休中かどうかに限らず広くシステムアーキテクト試験に興味がある方々の参考になれば嬉しいです。


筆者のスペック

  • 30代システムエンジニア

  • 第一子育休中

  • 約十年前に以下の試験に合格済み

    • 基本情報技術者試験

    • 応用情報技術者試験

    • 情報セキュリティスペシャリスト試験

なぜシステムアーキテクト試験を選んだか

自分の知識や経験がシステムアーキテクトに求められる水準に相当するかどうか試したかったためです。

育休に入る前、業務経験のブランクが出来ることに対して漠然とした不安を感じていたため、育休期間中はインプットに専念することに決めていました。
育休に入ってから日商簿記やAWS認定資格の勉強をしたことですっかり勉強の習慣が出来て、空いた時間に勉強をしてないとソワソワしてくるようになりました(笑)

なお、日商簿記とAWS認定資格の合格体験記は別記事にまとめていますのでご興味あればご覧ください。


残りの育休期間をどのように過ごすか考えた結果、日商簿記やAWS認定資格では業務とは直接関係のない新しい知識を得られたので、今度は今までの業務経験や知識の力試しとして、久しぶりに情報処理試験を受けてみることに決めました。
春期の試験区分の中で一番経験と紐づけられそうだったのがシステムアーキテクトでした。
論述形式の試験を一度は経験してみたかったということも決め手でした。

余談:
本当はデータベーススペシャリスト試験にも興味があったのですが、知らぬ間に秋期に変更していたようですね。
また、知らぬ間に基本情報がCBT形式に変わっていて驚きました。

勉強データのサマリ

勉強時間

勉強時間約44時間でした。
期間は約3ヶ月で、試験の申し込み後からマイペースに勉強していました。
時間区分別の内訳は以下です。(カッコは全体の勉強時間に対する割合)

  • 午前I :14時間(32%)

  • 午前II:5時間  (11%)

  • 午後I :4時間  (10%)

  • 午後II:21時間(47%)


午前I対策:基礎を理解した上で過去問道場で鍛える


午前I対策は応用情報技術者試験ドットコムの過去問道場をひたすら解きました。

情報処理技術者試験を受けるなら必須のWEBサイトだと思います。
一回につき30問解いてコンスタントに6割以上正解できるかどうか確認していました。
過去の問題から再出題されることが多いので、なるべく多くの問題と出会えるように繰り返し解きました。


また、直接的な試験対策本ではないですが「コンピュータはなぜ動くのか」「プログラムはなぜ動くのか」という書籍も読みました。


過去問道場の問題を解いていて、コンピュータ構成要素に関する知識(レジスタの種類など)が抜け落ちていたため、数年ぶりに読み返しました。
コンピュータがどう構成されているかなどが丁寧に解説されています。
試験に合格するだけなら過去問道場の問題演習だけで十分だと思いますが、改めて基礎を丁寧に理解することで初見の問題にも対応できるようになると思うので読んでよかったです。
なお「プログラムはなぜ動くのか」には、過去に読んだ時には無かった機械学習の章が追加されていて、時代の流れを感じました。

午前II対策:自分の知識・経験を信じる

午前II対策は「情報処理教科書 システムアーキテクト」というテキストの問題を解きました。

一度全ての問題を解いて、間違えた問題だけ時間を空けて解き直しました。
一周目で8割程度正解したので、エンジニアとしてある程度の経験があれば大丈夫そうだと判断して、このテキスト以外の対策はせずに他の時間区分の対策を優先していました。


午後I対策:時間内に問題文から解答を見つけ出すコツを掴む

午後I対策は「情報処理教科書 システムアーキテクト」のテキストと最新の過去問を解きました。
午後Iは問題文の中に必ず解答となるフレーズや文章が含まれているため、時間内に効率よく答えを探し出すテクニックが必要だと思いました。
テキストの演習問題を数問解いたところで感覚を掴めたので、残りの演習問題はやらずに対策を切り上げました。
試験日が近づいてきてから、本番を想定して90分で2問選択して解くことに慣れるために、テキストに掲載されていない最新の過去問を入手して解きました。

午後II対策:論述内容のレビューと経験の棚卸しをしっかり行う

午後II対策でやったことは以下の4つです。

  1. 論文の構成方法を学ぶ

  2. 納得のいく論文を書き上げる

  3. 文字を書くスピードを知る

  4. 過去の経験を棚卸しする


1. 論文の構成方法を学ぶ

先述の「情報処理教科書 システムアーキテクト」だけでなく、「システムアーキテクト 合格論文の書き方・事例集」というテキストも一通り読んで論文の構成方法を学びました。

特に「システムアーキテクト 合格論文の書き方・事例集」の方は、さまざまな筆者による論文が載っており参考になりました。
採点者も人間なので、採点者の気持ちを考えて読みやすい文章にすることが大事だと学びました。


2. 納得のいく論文を書き上げる

論述しやすそうな過去問を選び、実際に手書きで論述作成に取り組みました。
ですが自分の想像以上に筆が進まず、一本目を書き上げるまでに合計8時間程度かかりました・・・。

書き上げた論述の見直しは、セルフレビューだけでなく先輩にレビューを依頼しました。
第三者にレビューしてもらうことでセルフレビューでは気が付かなかった問題点が明確になりました。
(レビューを快諾していただけて大感謝です!)
論述対象の業務やシステムに関する前提知識を持っていない人にも伝わるような文章になっているかどうかや、説得力のある文章になっているかどうかを判断するために、可能な限り客観的な視点でレビューすることをオススメします。
レビューの指摘事項を踏まえて論文をブラッシュアップして、納得のいく論文を仕上げました。

3. 文字を書くスピードを知る

自分が文字を書く純粋なスピードを知るために、何も考えずに論文を丸写ししたときの時間を計りました。
400文字書くのに8分ほどかかることが分かり、各設問の文字数を書くのにかかる時間を計算すると、設問ア(800文字)+設問イ(800~1600文字)+設問ウ(600~1200文字)=44~72分となり、ただ書いているだけでもこんなに時間がかかってしまうのか・・・と思いました。
文字を書き出すまでに出来る限り緻密なストーリーを考えておくことが大事だと思いました。


4. 過去の経験を棚卸しする

さまざまなテーマに対応できるように過去の経験の棚卸しをしました。
過去に担当したプロジェクトに対して、質問票に記載する内容(開発期間や予算など)を思い出しておきました。
設問ア用の文章(業務概要とシステム概要)は、400字パターンと800字パターンを想定して迷わずスラスラと書けるように練習しました。
設問イ、ウ用の文章は、工程とプロジェクトに関する表を作って、各工程での概要・課題・検討・工夫を洗い出し、思い出しながら埋められるだけ埋めました。

設問イ、ウ用の棚卸しで使った表のイメージ。


育休中ならではの勉強の工夫

ここでは育休中ならではの工夫について記載します。
(が、育休中でなくても毎日忙しい社会人が勉強する上での参考になるかもしれません。)

いざ受験、そして自己採点

試験前日に子供が体調を崩すというハプニングがありましたが😭、当日は夫に子供を預けて無事に受験できました。

自己採点の結果は以下の通りです。
合格しているかどうかはちょっと自信がないですね…。

  • 午前I、II

    • マークミスが無ければ合格点に達していそう

  • 午後I

    • 手応えはあったが、他の体験記を読んでいると手応えがあっても意外と点数が低いケースもあるようなのでなんとも言えない

  • 午後II

    • 構成したストーリー通りになんとか書き切れたが、内容が充実しているかは怪しい

    • 設問イとウの文字数が下限ギリギリになってしまった

合否発表がされたら結果を追記予定です。

システムアーキテクトを受験して良かった点

受験直後で記憶がフレッシュなうちに、システムアーキテクトの勉強を終えてみて自分なりに感じたメリットをまとめます。

ITエンジニアに必要な知識を復習できた

午前I・IIの対策を通じてITエンジニアに求められる知識の復習ができました。
情報処理技術者試験ではテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系と幅広い領域の知識が必要ですが、忘れてしまった知識も多かったため、今回の勉強で復習することができてよかったです。
特にコンピュータやプログラムの仕組みなどを改めて理解することで、情報科学分野に初めて触れたときのワクワク感を思い出すことができました。
また、ストラテジ系の会計・財務の問題では簿記の知識が活かせたので、育休中の努力が少し報われた気がして嬉しかったです!

情報処理技術者の資格を持っている"だけ"では意味はないと言われることも多いですが、このような幅広い知識を学び直すきっかけとして定期的に色々な区分の情報処理試験を受けてみるのはアリかも、と思いました。

システムアーキテクトとしての経験の棚卸しが出来た


午後II対策の中で経験の棚卸しをすることで、自分が一般的に「システムアーキテクト」と呼ばれる立場で立ち回れていたかどうかを整理できました。

というのも私の場合、今まで関わったプロジェクトで明示的に「システムアーキテクト」という名前が付いたケースは少なく、主にアジャイル開発の中でいちエンジニアとして上流から下流まで幅広く立ち回ることを要求されるケースが多かったためです。
各プロジェクトの各工程で、課題に対して自分がどんな検討・工夫をしてプロジェクトを推進してきたかを整理することができました。
こういった経験の棚卸しは、エンジニアとしての市場価値の評価のためにも定期的にしておいたほうがいいと思いました。
働きながらだと業務に忙殺されて棚卸しの労力を割けないこともあるため、今回は一歩立ち止まっている育休中に実施できて良かったでした。

おわりに

本記事ではシステムアーキテクト試験の勉強方法や勉強を通じて得たものについてまとめました。
一つの受験体験記として参考になれば嬉しいです。

お読みいただきありがとうございました!


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