モサドとヒズボラ

Prisoner Xというオーストラリアのドキュメンタリー番組を知っている日本人は少ないだろう。イスラエルを中心に中東情勢を追いかけている私は公開されるとすぐにこのドキュメンタリーを観た。

今回、ヒズボラの指導部の動静がイスラエル諜報機関に握られていたことで10年以上前のこのドキュメンタリーを思い出した。

内容はオーストラリア生まれ、オーストラリア国籍のユダヤ人が、モサド職員となり、そして、イスラエルの刑務所で自殺するというは内容だ。詳しい内容はこのドキュメンタリーを観て欲しい(私は10年以上前に何度も観たので今回はみていない)。

彼がなにをしてイスラエル側に拘束されたのかはっきりはしないが、この番組内だったか、他の記事で読んだのかはっきり覚えていないが、自分の出世と組織内での評価を上げるためにモサドには秘密に、ヒズボラとこっそり取引をしようとし、それがモサド側に発覚し、刑務所に拘束されたのではないかということだった(イスラエルの刑務所職員にも彼が何者なのか、何をしたのかしらされていない)。

この説が正しい場合、私が当時感じたのは、普通は、普通は、こういうことは露見しにくいものなのです。。例えば、愛知県警捜査4課(今は組織犯罪対策局になっているのか、、)の警官が山口組弘道会に警察内部の情報を流していたとして、警視庁公安部の警官が朝鮮総連に情報を流していたとして(いや、間違いなく流している者がいるのですが)、敵と内通する人間が誰なのかを警察側が特定することはほぼ無理です。これは非常に難しい。
しかし、モサドは組織の承認を得ずにヒズボラと接触したモサド職員を特定した。普通に考えれば、ヒズボラ内部にモサドの協力者が一人二人じゃなく多数いて、かつイスラエル諜報機関はヒズボラ内部の通信やデータにアクセスできるということになるのだが、あのイスラエル国防軍不敗神話を打ち砕いて見せたヒズボラに、そんなことはあり得るのだろうか、、、まさかそんなことはあり得ないだろうと思っていた。。

しかし、ヒズボラのトップであるナスララ師を筆頭に主要幹部が殺害され続けているところを見ると、もうイスラエル側はヒズボラの中枢に近いところに協力者を抱えているし、ヒズボラの電子的防御も完全に破られ、イスラエル側には大量の情報が渡っていると結論せざる得ないな。。

ヒズボラの組織再編は大変だ。ただイスラムは屈しないだろう。戦いは続く。

ブリンケンだかバイデンがナスララが死んでも悲しむ人がいないと言っていたが、ナスララが殺され泣いているものは多数いる。ブリンケン、バイデンが死んでもないてくれるのは家族だけだろう。


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