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ふりかえり日記(7月後半)
7月30日土曜日
ヒトにもそれぞれ「取り扱い説明書」があるとしたなら、どうやら寒冷地仕様につくられているらしい僕のそれにはこう書かれているのではないか。「夏季は一日六時間以上の活動は避けてください。また、活動は午前あるいは夜間など気温の低めの時間帯を選んでおこなってください」と。
朝、いつも仕事に行くのとおなじ時間に家を出て上野の東京都美術館まで足をはこんだのは、そんな自分のトリセツに忠実に従ったためである。結果、開館よりもずいぶん早く到着してしまったので、近所のカフェで瀬尾まいこ『幸福な食卓』を読んで時間をつぶしていた。物語全体を通してさまざまな「食べること」が描かれるが、シュークリームのくだりを読んでなぜ友人がこの本を貸してくれたのか、その理由がなんとなくわかる。
文庫本を読み終えたところで美術館へ移動。観ようと思っていたフィン・ユール展の招待券を、タイミングよく職場でもらったのだ。デンマークの椅子やデザインを扱った展覧会はこれまでにもずいぶん観たけれど、フィン・ユールに焦点をあてた展示は初めてかもしれない。彼がデザインした「45番」の椅子は、北欧に興味を抱きはじめたころからのあこがれのひとつではあるけれど、家具のみならず建築から内装デザインまで多岐にわたる彼の仕事の全貌を見渡した上で「では、フィン・ユールのスタイルとは?」とあらためて考えるとどうもいまひとつピンとこない。洗練された趣味の良さや細部へのこだわりなどは伝わるのだが、アアルトのようなドアノブひとつからも感じられる「らしさ」のようなものがみられない。それがなんだか意外なように思われた。
帰り道、パスタが切れてしまっていたのを思い出し、「ビオセボン」に寄ってパスタといつも使っているトマトソースを購入する。帰宅して汗を流してから、チキンサンドをつくってアルコール度数0.5%の缶ビールとともに昼食。これでだいたい六時間と少しといったところ。自分の経験値から得た真夏の活動量としてはこれくらいでほぼ目いっぱい。まだ七月、先は長い。
夜、NHKの音楽番組「Venue101」でフィロソフィーのダンス。先週TWICEが出演していた番組にフィロのスが出ている現実をわりとフツーに受け止めている自分に気づき、気づいたとたんあたふたする。いや。これはほんとすごいことだよ。伝統の「101スタジオ」だし。
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7月28日木曜日
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