田渕由美子さん 雪やこんこん
先日本棚の一角の田渕由美子さんの単行本を久しぶりに取り出し、また読んで懐かしくなりました。そこで、田渕由美子さんの作品について、以前まとめた資料も使って、noteでぼちぼちと感想を書いていきたいと思います(あらすじはネタバレなので一番下に置いときます)。ちなみに順不同(けっこう好きな順だったり)。
今回は 雪やこんこん
これぞ乙女ちっくの王道というストーリー。彼との出会いは偶然のパターンと幼なじみのパターンのうち、これは幼なじみパターン。
「かわいくないわたしでもあこがれのかっこいい先輩に告白され心が動いたけど、私のことを思ってくれる大切な人は私の身近にいました」
というのはどちらも変わらない定番のパターン。そんななかでも唯ちゃんと昌平くんの
「気になる、昌平?」
「別に。気にして欲しけりゃ気にするけど。」
といったやりとりや、
「 唯や、こうして気にならないふりをするのもけっこうつかれるってこと、そろそろ気づけよな。」
となんてせりふは、気がきいていて素敵です。
でも、昌平くんのせりふに答えておしゃれに変身した唯ちゃん、さらに、それに気づかない昌平くんに怒ってスカートを持ち上げてずんずん歩く唯ちゃんはもっと素敵です。
しかし、ふたりがドタキャンしちゃった学祭はどうなったんでしょうね。公園でチケットも売っちゃったのに。
ちなみにこの作品は乙女ちっくの路線ですが1975年の掲載で、これだけちょっと早い気がします。この前後の1975年の作品はまだ古い少女マンガのパターンで、他の乙女ちっくの作品は1976年11月号の「クロッカス咲いたら」までちょっと間があいています。ひょっとしたら執筆時期と掲載時期とにずれがあって、他の作品は比較的前の執筆なのか、それともこの作品は乙女チック路線のテスト的なものなのかもしれません(増刊号だし)。
初出 1975年お正月大増刊号
収録
雪やこんこん(RMC)
フランス窓便り(SG)
全作品集Ⅰ
フランス窓便り(文庫)
あらすじ
唯ちゃんと昌平くんは幼稚園からずっと一緒の幼なじみで、大学のフォークソング部でもペアを組んでいる、友達以上恋人未満の間柄。そんな唯ちゃんがあこがれの香椎先輩から告白され、学祭の当日に事件が・・・
田渕由美子さんの作品リスト
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