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【読書感想文】「継続捜査ゼミ」 日本の探偵モノ(?)を読んだのは数十年ぶり
最近、Kindle Unlimitedの出版社キャンペーンが多い。
「1000タイトル以上!講談社小説特集」とか「岩波書店 新書・文庫本特集」とか。
購入して電子棚ざらしの本も多いのだが、読んだことのない著者の本は気になる。
パッと見て軽く読めそうな本は、ライブラリに入れてパラパラと(Kindleでこの音使いが正しいの?)読み始める。
この本、設定は面白いが、読み始めると登場人物の紹介が長い。
警察・探偵モノは、以前記事にしたロバート・B・パーカーなどのハードボイルドが多く、それらの作風に慣れているためか、この本を読み始めた時「何故、登場人物たちが最初から色々な知識をひけらかすのか?」と思い、人物紹介のところは斜め読みに飛ばした。
読み終わった後、後付を見てようやく理由が分かる。
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著者のことを何も知らないまま読み終わり、そちら系(法学や警察)に関係のある方かと思ったら、小説家一本槍。
勉強されたのだと思う。
警察学校校長を退官して女子大の教授になった主人公の一人称で物語が進むのも、著者の年齢や今までの作品名をみると分かる気がする。
読書感想文
多くの小説を書かれているからなのか、文章は平易で読みやすい。
最初の導入部分、女子大生5人の長い自己紹介(ゼミ初回の顔合わせシーン)を斜め読みしたので、最後まで誰が誰なのか分からないまま(覚えないまま)だったが、読んでいく上で差し支えることはない。
5人それぞれに個性を持たせたのかもしれないが(5人の身長や外観が具体的に書かれており、それぞれ歴女、法律オタク、薬に詳しい人、武道家、等々の設定)、小説の中で5人はいつも一緒に行動しているので、物語を読み進める上で覚えておかなければならない特定のキャラクターはない。
小説の中で5人を苗字で呼んだり、名前で呼んだりするので、ますます誰が何を言っているのか分からなくなる。
長編小説であれば、それもありだが、文庫本一冊に同じゼミの女子大生5人は人数が多かったのではないか?
警察OBが教授の設定なので、ゼミに「継続捜査」の資料を持ってくる現役の警察官が1名登場するのは許せるとしても、そのあと警視庁からも2名が毎週ゼミに現れるのは、ファンタジー。
それらの警察官たちと女子大生たちが、ゾロゾロと関係者に聞き込みに行くのは、都合の良すぎる設定。
この小説はローファンタジーなのかもしれない。
物語のメインはゼミに持ち込まれた「継続捜査」。
迷宮入りした15年前の老夫婦殺害事件の解明だが、途中から大学内のサークルで発生した靴の紛失事件、アイコラ盗撮事件といった事件にならない事件の解決に多くのページが割かれている。
どちらのエピソードも登場人物の説明に厚みを持たせてはいるが、面白いのかどうかは分からない。
終わりに近づいてようやく「継続捜査」の話に戻るが、結末はあっさり。
おそらく推理小説の範疇からは外れていると思う。
続編もあるらしいが…
MOH