愛した人・愛する人が重なる曲
私の癒しnoter、のばらさんがまた素敵な企画を紹介してくれました!
たぬきの親子さん、素敵なnoterさんです。
これは参加せずにはいられず、自分の思い出を書かせてもらいたいと思います。
この話は、大好きなnoterさんであるみおいちさんの『#恋の思い出企画 』にも同時に投稿させていただきます。
素敵な企画をしてくださったお二人に感謝します。
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もう何だかんだで5年以上一緒にいた人と別れることにした。
理由は色々あるんだけど、結局のところ結婚とか将来的なことまで思い描けなかったのだと思う。
もともと遠距離で月1回会えればいい方だったので、相手の家に置いていた荷物を中間地点で待ち合わせして受け取ることにしていた。
いつものように待ち合わせをして。普通に食事をして、一緒に行こうと約束していた店に行って…このまま有耶無耶にしながら付き合い続けるんじゃないかと思うくらいだった。
最後の最後まで感傷的になることもなく、駅の近くにあったカフェでコーヒーを飲みながらくだらない話をした。
「こないだ一緒に飲んだアイツがさー」
共通の友達も増えていて、私達が喧嘩して別れ話になってもみんなが仲介してくれて仲直りしたことも数えきれないくらいあった。
だからこそ、この別れ話は2人でじっくり話し合って2人で決めた。自分たち以外の人間に繋いでもらっている関係はいつか破綻する。
気が付けば外はすっかり暗くなっていて、月がぼんやりと浮かんでいた。
不意に彼が
「楽しかったよ。お前は嫌な奴だけどお前と一緒にいると楽しくてさ」
と月に目線を向けたまま話した。
嫌な奴だと思っていたのは私も同感だ。
それは、知りすぎたからなんだと今となっては思う。
「好きかどうかも確認しないままだったねぇ」
私が言うと、彼はハハハと笑って
「好きだったよ。簡単に切り替えできないくらい、今も好きだと思う」
と言った。
私もハハハと笑って
「私も、今思えば大好きだった。今も変わらない」
と言った。
改札まで送ってもらい、いざ切符を改札機に入れようとした時いきなり感情が溢れてきた。
色んな後悔が浮かんできてしまう。
彼が、私のバッグを引っ張って引き戻す。
「ずっとずっと好きでいる。お前はきっと俺のことを忘れて誰かを好きになるけど、俺はずっとずっと好きでいる」
嘘だと思ったけれど、その言葉に少し救われた気がした。私は自分がとことんずるい人間だったなと思う。
私は改札を越えて、手を振った。
彼も手を振っていた。
帰り道、預かった荷物にiPodが入っていて付箋が貼ってある。
『この曲、聴いたら絶対泣くよ』
見慣れた字を眺めながらヘッドフォンをする。
流れてきたのは
GOING UNDER GROUNDの『同じ月を見てた』
君のいない風景は
君のいない生活は
白黒の映画で…もう
君といる世界を僕は歌うよ
出会ってしまった僕達へ
「どんな未来を描く?」
出会ってくれてありがとう
君に会えてよかった
「この曲みたいな別れがあったらいいよね」
幸せなラブソングだと思っていた私に彼が言った言葉を思い出す。
もちろん、号泣。
新幹線の窓から、さっき2人で見た月が変わらずに浮かんでいた。
彼の言った通り、私は彼のことを忘れて夫と結婚した。
彼は、今もひとりだ。
私のことを想っているとかそうゆうことじゃない。ただ単にひとりが良かっただけ。
そうゆう人だってことも分かっていた。
それでも月を見ると心の何処かがギューっとなる。
あの曲を聴くと自然と涙が出そうになる。
あの別れは、私にとってこれからも特別切ないものだ。
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久しぶりにこの曲を聴きながら、書きました。
この曲が別れの曲なのか、幸せな曲なのか、それは分かりません。
ただ、私にとってこの曲はこれからもあの思い出とセットで特別なものです。