”顔がいい”という理由
職場で「今まで生きてきてラッキー!って思ったことは?」と聞かれたので
「顔がいい人と結婚したいと思ってすぐに今の夫と付き合ったことです」
と堂々と答えた。
先日放送された金スマにSnowManが出ていたのを見た上司が
「そういえば、タカチセちゃんが好きな渡辺翔太くんって旦那さんに似てるよね」
と言ったので
「そこが夫の良い所です」
と更に堂々と答えた。
ただのイケメン好きと思われているかもしれないので、私が“顔の良い人としか付き合いたくない”と思ったのには、ちゃんとワケがあるということをここで話そうと思う。
そもそもは付き合う相手は“性格がいい人”や“優しい人”を掲げていた。
顔は二の次。一緒にいて落ち着けて、心穏やかに過ごせる人と出会い合いを育むことを夢見て恋愛街道をひた走ってきた。
…が、それはなかなか叶わない。
付き合ってきた男性は
① 自分の家族に暴言を吐く泣き虫男
② キャッシュカードを奪い、人の金で豪遊する暴力男
③ 「俺はみんなの俺でいたい」と豪語する浮気男
④ 「俺の夢についてこられない女はいらないぜ」と言うアマチュアバンドマン
等々、ここに書くと眩暈がしてくるようなラインナップ。
私の男運が悪いことは間違いないのだけど、この強烈な男性達はこぞって自分のルックスに自信満々だった。
「え…顔で…選んでないのに…」
自分の身の程を知っていた私は、自分と付き合ってくれるのだからルックスに文句は言えないと思ってきた。
彼らが「俺の顔が好きでしょ?」とか宇宙の真理くらい訳の分からない質問を投げかけてきても「そうだねぇ…」と曖昧な返事をしてきた。
曖昧さは想像力を搔き立てるので「だよな!」と更に変な方向に自分を高評価していく。
私は男運がないうえに、男の人を調子に乗らせる天才なのかもしれない。
夫と付き合う前に別れた彼氏から
「俺、お前みたいなレベルの女と付き合うような人間じゃないんだよね」
と凄まじい一言をもらって、呆然とした後心に決めた。
私、自分が納得する顔の男以外とは絶対付き合わない。
どんなに性格が良いと思っていても、その先のことは分からない。
望むのは“これがあればもう何も望まない”というもの。
それが私には顔。顔が良ければ全てよしとした。
もし、自分の好きな顔の男性と出会えず付き合えなかったとしたら、一生一人でもいい。
それくらい私の決意は固かった。
自分の身の程も分かっていたし、磨くにしてもたかが知れている、
ただ、一応身なりはそれなりにして出会いを待った。
そして出会ったのが夫である。
「これぞ!!」と喜び、結果付き合い結婚となった。
付き合い始め、優しくて今じゃ想像もできないような嬉しい言葉をもらったけれど、私的には
「別に顔が良かったらそれ以上はないんで」
と思いながら、いつか来る”タカチセ男運なかったシーズン“を待った。
案の定、同棲→結婚と過程を経て見事モラハラ夫に仕上がる。
(夫の酷い言動についてはマガジン『夫観察日記』をご覧いただければビッシリ書いてあります)
確かに嫌なことを言われて傷ついているけれど、結構想定内なのだ。
私は夫の顔しか判断基準にせず付き合っているのだから、それ以上の望みがない。
優しくしてほしいとか、変わらず愛されたいとか…
は?
大丈夫。私が選ぶ男性にそんなもんないことは過去の経験で身に染みている。
どうせモラハラされることが決まっているなら、イケメンにされた方がいいじゃないか。
夫へのハードルは高いようで低い。
そのままでいてさえくれたら、後は全てオプション。
「えぇっ?!イケメンなのに生活費も暮れるんすか!」
「えぇっ?!イケメンなのに皿も洗ってくれるんすか!」
何もしなくても大して気にもならない置物のような存在が、稼いでくれて皿も洗ってくれるのだから神様に感謝しなくてはいけない。
しかも、夫のモラハラ言動は私のエッセイ生活にとって欠かせないモノになっている。
夫が普通の人なら、私は夫のエッセイをマガジンにすることはできなかっただろう。
夫への不満やツッコミは私がエッセイを書く上での活力だ。
私は、あの時自分が決めたことを後悔していない。
顔がいい男と一緒にいることだけを目標にしたら、他人と暮らすうえでのストレスが減った。
”仕方ない“で済ませ、自分が穏やかに暮らすために努力を自分ですることを覚えた。
相変わらず自分の機嫌は自分でとっている。
結婚してすぐの頃、夫に
「私、貴方の一番いい所は顔だと思ってるから」
と打ち明けたことがある。
夫は趣旨ニヤニヤしながら「もっとあるだろぉ~」と言っていたけれど…それしか見つからない。
結婚生活が長くなるほど、その気持ちは強くなる。
そして、これからも変わることはないだろう。
私がSnowManを見ていた時
「渡辺翔太くん、態度悪いって言われてるね」と夫が言ったので
「大丈夫、彼はそれでもカッコイイから問題ないの」と答えた。
夫は「それじゃ俺みたいじゃんか」とニヤニヤしていた。
…一緒にすんな。
心の中では石を投げるくらいの気持ちだったけれど、静かに微笑んでごまかしておいた。