我慢に代わる私の至福脳
このエッセイは
ツムラ #OneMoreChoice プロジェクト×note投稿コンテスト
「#我慢に代わる私の選択肢」
への応募作品になります。
嫌な人や出来事に出会った時、咄嗟にやっていることがある。
それは『勝手にストーリー』
言葉の通り、自分だけの勝手なストーリーを作って面白おかしくするもの。
先日、お弁当屋の店員さんがものすごく嫌な態度で
何これ!絶対苦情を言う!とスマホを片手に店のホームページを開いて
「いや、待てよ」
と頭の中で考え始めた。
ぶっきらぼうに接客するその店員さん
きっとコンテンポラリーダンスのプロを目指しているんだ。
この状況下で、海外で勉強することもできず
バイトをしながら休憩時間にダンスを練習している。
だって、この店結構広さあるもん。
きっと新しい振付を思いついてメモをしようと思ったところに
私が来て7人家族分色々頼むもんだから
「思いついた振付忘れちゃう!」
とイライラしたんだ。
嗚呼、申し訳ない!
コンテンポラリーダンスは奥が深いわよね…
そう思ってスマホをカバンにしまった。
別の日は、ガソリンスタンドで
無理矢理列に入ってくる嫌なおじさんがいた。
危うく接触しそうになって、咄嗟にクラクションを鳴らした私を睨み付ける。
それは車道に出てからも睨んでいた。
唖然としながら、強烈な怒りが込み上げる。
ここで「いや、ちょっと待てよ」が発動。
きっとあのおじさんはアレだ
婚活パーティーに行くんだ。
親や親戚からも結婚しろと言われていて
仕事場でも出会いはないどころか皆からソーシャルディスタンスされている(ここに悪意を感じる)
意を決して高い金払って婚活サイトに登録。
今日が初めてのパーティーの日なんだ。
遅刻するような男は結婚相手から除外されてしまう。
絶対に遅れるわけにいかない。でもガソリンはない。
だから誰を押し退けても行かなくてはいけなかったんだ。
嗚呼!!どうかあのおじさんの婚活がうまくいきますように!!
こうゆう勝手にストーリーは、癖みたいにずっと続けている。
この癖のお陰で無駄なトラブルやストレスから救われて
『嫌なことを我慢する』
という感覚がなくなった。
夫と喧嘩した夜は
『もし10億円が当たったら』
と考えて、夫にどうやって土下座させるかを考えてニヤニヤする。
まずは好きな車を買ってあげよう。
そこで1土下座。
そして、夫の趣味を盛り込んだ部屋を設けた家を建てよう。
ここで2土下座。
念願の顔面永久脱毛を叶えてやろう。
ハイ3土下座ー!
夫に土下座させるために10億全部使う気です。
目的は土下座させることではなく
そこまでのストーリーを想像すること。
現実味がないからいい。
夫婦喧嘩を我慢で乗り切らない私の作戦だ。
嫌なことに向き合った時
どうやったらより面白おかしくできるかを考えて
自分の怒りや悲しみをの感情を分散する。
ドラマチックで面白い想像は心の安定をもたらしている。
布団の中で、寝る間際まで面白いことを想像して、いつの間にか寝て、気が付けば朝。
昨日会った嫌な人も
どうしようもなかった嫌な出来事も
私の頭の中に入れば、面白い人になってきた。
コンテンポラリーダンスの店員さんも
婚活中のおじさんも
今日は笑っていてくれたらいいな。
今年はどんな面白い人に出会えるかな。
どんな面白いことを考えられるかな。
そう考えると、毎日がワクワクしてきた。