Osaka Shion Wind Orchestra 第138回定期演奏会【雑感】
日時:2021年9月26日(日) 13:00開場/14:00開演
指揮:齊藤一郎
トロンボーン:玉木 優
会場:ザ・シンフォニーホール
ダグラス・ボストック氏が指揮の予定でしたが、昨今の状況を受けて、齊藤一郎氏に変更での開催となりました。
無事に執り行われた事を、なにより喜びたいと思います。
毎度の事ですが、雑感は果てしなく打楽器寄りです。
今回の定期演奏会、前半は伊藤康英氏、後半は真島俊夫氏の各3曲、日本人作曲家のプログラムとなっています。
■煌夜 -祭の幻想(伊藤康英)
青森の海上自衛隊大湊音楽隊の委嘱作品で、青森の民謡、俗謡が盛り込まれた、懐かしくきらびやかな曲。
打楽器パート、楽器も奏者もてんこ盛り!(笑)
大きなねぶた太鼓、カバサの使い方、フレクサトーンの不思議な響き、もうどこを見たものやらで楽しかったのです。
最後のホルンのトリル&ベルアップに、ホルン吹きの次嬢が目を剥いてました(笑)
■トロンボーンと吹奏楽のためのソナタ(伊藤康英)
トロンボーン独奏は玉木優氏。
吹奏楽版は本日初演との事。
伸びやかでまろやか、ホールに響くトロンボーンの音色は本当に素敵でした
ソリストアンコールは、足でビートを刻みつつの「ミッピー2世の為のエレジー(レナード・バーンスタイン)」
カッコよかったのです
■吹奏楽のための交響詩「ぐるりよざ」(伊藤康英)
主題の提示は力強いトロンボーンの唄で。
CDで聞き慣れた曲でも、やはりライブでは見るところがたくさんあって、忙しくも楽しい。
魚板ではない木の板でしたが、大切なのは音色。
スコアにも「少々甲高い音」という指示が。
第二楽章の龍笛の中原詳人氏。
狩衣姿も凛々しく、時に鋭く、時に柔らかい呼吸を感じる笛の音。
attacca気味に第3楽章、スコアにあるとおり、早くなり過ぎないテンポの中に力強さを感じました。
前半終了。
もー、めちゃくちゃカッコいいんですが!
打楽器が多過ぎて、一般バンドでは難易度も含めなかなかハードル高そうですが、やってみたいなぁ…
そして後半は真島俊夫氏の3曲、前半に引き続き全てメインディッシュの勢い(笑)
■鳳凰が舞う〜印象、京都 石庭 金閣寺(真島俊夫)
プログラムの楽器編成の「鹿威し(Bamboo Block)」、吊った竹を叩くことで音を再現していました。
あちらこちらと雄大に羽ばたくように、真島氏らしいフレーズがちりばめられた幻想的な一曲。
■富士山 -北斎の版画に触発されて-(真島俊夫)
「ジャポニスム」シリーズの3作目。
フランスから見た日本として富士山を題材に取った一曲。
楽器編成には「スレイベル」とありますが、やはり「神楽鈴」が似合うと感じました。
スレイベルでのバージョンも聞いてみたいものです。
「富嶽三十六景」からの着想、音のうねりに波が感じられて素敵でした。
ソロの皆さまも、アンサンブルもとっても素敵でした。
■三つのジャポニスム(真島俊夫)
いつかやってみたい一曲。
一楽章の「鳥の羽音」、この音の工夫が楽団それぞれで見ているのも楽しい。
今回は箱を団扇で叩いてらしたようですが、是非近くで見てみたいです。
「急-緩-急」は第一楽章の流れでもあり、全体の流れでもあり。
音で紡がれる美しい風景に心が踊ります。
打楽器パートは一気に人数が減りましたが(笑)、忙しいのは相変わらず、迫力はそのままに。
「祭り」はいつ聞いてもワクワクします。
今回のプログラム、全曲を通してホルンは大活躍、カッコよかったですが、お疲れ様でした。
打楽器は大物はねぶた太鼓から、様々沢山な小物、こちらも大変だったかと思いますが、コンサートでの見る楽しさを堪能できました。
ありがとうございます!
オオサカシオンの定期演奏会のプログラムはとても丁寧な解説が毎回素晴らしく、読み応えも抜群。
今回のプログラムは、指揮者に予定されていたダグラス・ボストック氏の提案だった事。
ご本人もとても楽しみにされておられた事。
「ぐるりよざ」の追加パートの事なども書いてありました。
読み物としても、資料としても秀逸で、定期演奏会時の楽しみの一つでもあります。
オオサカシオンの3月までのシーズンの定期演奏会は、全て左右の座席を空けて販売されています。
今回はチケット完売となりましたが、それも実際の収容人数の半分でしかありません。
そんな中でも良いものをと届けて下さる楽団員はもちろん、演奏会を支えるスタッフの皆さまにも心からの感謝を!
次回の第139回定期演奏会は11月28日㈰。
オオサカシオンの芸術顧問でもある秋山和慶氏のタクトによる、オール「アルフレッド・リード」プログラム!
こちらも素晴らしい演奏会になる事でしょうし、なによりプログラムの熱さで完売必死かと思われますので、チケットの確保はくれぐれもお早めに!