岸辺の旅感想(ネタバレ注意)

黒沢清監督の、「岸辺の旅」を観た。主演は深津絵里さん、浅野忠信さん。事前にあらすじなど読まずに観たので、ラブストーリーかと思っており、小松政夫さん演ずる島影さんが突如成仏し、ホラーテイストな場面は音楽も相まって怖かった。全体的に薄暗い画面の中で、光の取り入れ方が仏映画のようでもあり…壁一面の花が、一夜にして枯れ果てていた場面は、生死の象徴だと思った。

夫婦の旅を通して、生者と死者が入り交じる。夢と現実も混在しているが、この世は実際そういうものなのかもしれない。蒼井優の出演は短かったが、印象的だった。(「悪人」に出ていた満島ひかりのように、蠱惑的な忘れられない表情)

映画の中で、全てはゼロ(無)の中に在り、生も死も、喜怒哀楽も自然に共存していた。

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