ガチャガチャで取った下衆(ゲス)なおもちゃについての考察
この間、近所の本屋さんにふらりと立ち寄った時の話。
その本屋さんの入口の脇にガチャガチャが数台置かれており、その中に『ゲスなおもちゃガチャ』があった。
何が出るかは分からないがゲスな商品が出てくると謳っており、ゲスについての知識が不足していた僕はその知識を補完したかったのか、とても惹かれてしまい、気付いた時にはゲスを求めて100円を入れていた。
そして出て来たゲスな商品がこちら。
林檎だ。
白い林檎だ。
はて、僕の頭では白い林檎とゲスの整合性が取れない。
検索をかけてみてもゲスの極み乙女さんのアルバムしかヒットしなかった。
このままだと埒があかないので、そもそもゲスとは何なのか理解する必要があると思い、辞書を引いてみた。
ゲスとは
ゲス(下衆)とは、下劣な性格の、いやらしい人、といった意味合いで用いられることの多い表現。
基本的には、身分の低い者や、品性の下劣な者、つまり「卑しい者」という意味合いがある。漢字では「下種」「下衆」のように表記するが、今日ではカタカナで「ゲス」と表記される場合が多い。
との事。
ゲスの意味は理解出来たがこれだけでは林檎とゲスの繋がりは分からない。
では次はこの林檎についてもう少し調べてみる。
林檎の裏を見てみるとスイッチがあった。
林檎にスイッチが付いているとは何とも奇妙な話である。
しかしこのスイッチにきっとゲスたる所以があるのだとスイッチを入れてみる。
光った。
ふむ、最近の林檎は発光するのか。
いやいや、そんな訳がない、そんな果物があってたまるものか。
これは林檎ではない可能性が出てきた。
しかし中々神秘的である。
あまりにもゲスとは程遠いように見える。
もう手詰まりだと思いかけたその時、その神秘的な見かけからある一つの話を思い出した。
旧約聖書に記されているアダムとイヴの禁断の果実の話である。
簡単に内容を説明すると。
エデンの園にアダムとイヴという人間がおり、神に「善悪の知識の木」の実だけは決して食べてはならないと命令を下されていたが、悪い蛇に唆されて「善悪の知識の木」の実を食べてしまい、エデンの園を追放されてしまう。
というお話。
宗派によってこの木の実はイチジクだったりブドウだったり意見が分かれたりしているみたいなのだが、『禁断の果実=林檎』とされている事が多い。
まさに神秘的な林檎である。
ではこの神話からゲスなポイントを割り出せれば答えが見つかりそうな気がする。
「禁断の果実を食べるように唆した蛇」
「蛇に唆されてとは言え神に言われた命令を破り禁断の果実を食べてしまった人間」
「そもそもの原因である禁断の果実」
この神話におけるゲスの候補になり得るポイントはこのあたりだろうか。
そこでもう一度ゲスの意味をおさらいしてみよう。
ゲス(下衆)とは、下劣な性格の、いやらしい人、といった意味合いで用いられることの多い表現。
ん?
下劣な性格 = 林檎を食べるように唆した蛇
いやらしい人 = 禁断の果実を食べてしまった人間
と当てはまらないだろうか。
だとするとつまりこの状況そのものが総じてゲスという事になる。
なるほど、かなり紐が解けてきた、
しかしガチャガチャから出てきた白い林檎が禁断の果実というにはまだ少し苦しい。
禁断の果実だけではゲスにはなれない、蛇と人間がいて初めてその果実はゲスの輪の中に入れるのだから。
まだどこかに何かヒントがあるはずだ。
…ん?待てよ?
商品ばかりに気を取られていて忘れていたがゲスな商品が入ってるよと唆してきた蛇がいるではないか。
そう、ガチャガチャ台その物だ。
そして好奇心に負けその誘いにまんまと乗せられた人間がいた。
紛れもなく僕である。
ではそれを纏めて考えてみるとどうなる?
ゲスなおもちゃが出てくると謳っているガチャガチャ = 蛇
ゲスという言葉に惹かれてガチャガチャを回す僕 = 人間
そこから出てくる林檎 = 禁断の果実
と当てはめる事は出来ないだろうか。
なるほど、やっと答えが分かった。
ガチャガチャから出てくる商品がゲスという訳では無い。
ゲスなおもちゃガチャを回しているその状況が総じてゲスだったのだ。
終わり