M-1グランプリ2022 審査員について
今回、審査員についてもいろいろ考えてみた。オール巨人・上沼恵美子が勇退し、代わりに選出されたのが博多大吉と山田邦子だったわけだが、これは結構結果に影響を与えたと思う。おそらくオール巨人と上沼恵美子が続けて審査していれば、最終投票はさや香に入れたのではないか。まあどこまでいっても推測にすぎないのだが。
審査員の方向性
●山田邦子
最高点:95点(真空ジェシカ) 最低点84点(カベポスター)
審査員なのにこんな言い方は変だが、今回のダークホース。しょっぱなから明らかにいいウケを取っているカベポスターに84点という辛い採点で「全体的に低くつけるのか」と思いきや次の真空ジェシカには95点でわけわからん、となりかけたがその後は実は大きい変動のない採点だった。やや平均点は低めというところ。ただこの人の採点を除いたとしても結果は変わらないらしい。こういう計算早いね、みんな。
カベポスターにはマヂカルラブリーパターンでの捲土重来を期待するしかないが、ちょっとマヂラブと違うのが他の審査員はそれなりに高いところなんだよな。
ただ、コメントとして「審査基準」「評価ポイント」がもっとわかりやすいといいなと思った。真空ジェシカのネタが好みだというのはよくわかったのだが。
●博多大吉(華丸大吉)
最高点:96点(さや香) 最低点90点(キュウ・ダイヤモンド)
今回の良心枠。みんなにそれなりに高得点を出すが、点数を足す・引くに関しての基準がしっかり見えていたのが、ネット上で人気の高いところではないだろうか。「少し噛んだ」とか「後半の失速」とか「細かくボケを調整している」とか、聞く方に納得感がある。ただ、それぞれの良いところをなるべく拾おうとした結果、点数のばらつきが少なく「公平ではあるがその分大勢に影響しない」とも言える。まあでも審査員人気として一番高いような気がするし今後も務めるだろう。最後に一人だけさや香に入れたのも、勢いはともかく「構成力・演技力・技術力」などをトータルで審査したらこちらだ、という判断ではないだろうか。
●塙宣之(ナイツ)
最高点:96点(ヨネダ2000) 最低点88点(キュウ・ダイヤモンド)
いつもボケをかますのでそう見えないが、「言い訳」という本を出していて漫才の構造やM-1の傾向についてかなり深く考察していることがわかる。テクニカルな部分も含めてちゃんと解説できる感じだ。ただ普段は結構毒を含んだ時事ネタをやっているので、好みとしてもそういう方向にあるのではないだろうか。最後もウエストランドに入れてるし。でも最高点はヨネダ2000というところは謎だ。ちゃんと理屈を持ってるからこそ理屈をすっ飛ばしたところに惹かれるのかも。
●富澤たけし(サンドイッチマン)
最高点:97点(さや香) 最低点88点(ダイヤモンド)
コント漫才のお手本みたいな形でM-1チャンピオンになったので、好みとしてはそちらかと思っていたが、しゃべくりのさや香に一番高得点をつけている。情が厚いイメージなので下手に知り合いが出てると審査に苦労しそう。今回はランジャタイがいなくてホッとしたのではないだろうか。コメントもおおむね同意できる内容で安定していた。
●立川志らく
最高点:98点(ウエストランド) 最低点88点(ダイヤモンド)
ランジャタイファンとして知られるように、変化球タイプを好む傾向がある。落語という伝統芸能の世界に身を置きながら、既存の枠からはみ出したものをすくい上げている感じ。ヨネダ2000に97点をつけていることからもそのへんがわかる。ただ、実は意外と高得点をつける人でもある。今回明らかに沈んだキュウ・ダイヤモンドの2組とトップで高得点をつけにくいカベポスター以外は、全員94点以上。意外と審査は毒舌ではない。
●中川礼二(中川家)
最高点:97点(さや香) 最低点89点(ダイヤモンド)
兄弟だからというのもあるのだろうが、ほとんどネタ合わせをしない天性の漫才師。それだけにしゃべくりに対して思い入れがあるのだろうか、さや香が最高得点である。ただ、かなりの変化球であった男性ブランコにも96点を投じていて、最後もウエストランドに入れている辺り、「その日の勢い・雰囲気」を重視するタイプなのかもしれない。
●松本人志(ダウンタウン)
最高点:96点(男性ブランコ) 最低点86点(キュウ)
ほとんど審査委員長的な立ち位置ではあるが、他の審査員より多く点を持っているわけではない。ただ「松本人志の」最高点や最低点は結構意味があるあたりはカリスマ。出場者も出番後の松本との絡みで爪痕を残そうとする傾向がある。ちなみに審査は「どのコンビも同じ得点にしない」というこだわりがあるようだ。みんな91点、とかでは審査員の意味がないという考えだろうか。
ということで審査員についての感想をまとめてみた。
まああくまで素人が好き勝手に推測しているだけなのだが、M-1の影響力が昔に比べてとんでもないことになっているので、審査はホントに気を遣うと思う。大吉先生の胃に穴が開きませんように。
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