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我が家の小咄シリーズ「隠し事」

「(俺)さん、何か私たちに隠してることない?」

家族で囲んだ食卓にて、いきなり爆弾が投げ込まれた。妻と娘と息子が、笑いをこらえているかのような微妙な表情でこちらを見ている。

先日、娘の友達が遊びに来る際に、普段自分が寝ている和室を使うということで掃除をしていたが、その際に何かマズいものでも見つかったのだろうか、と頭がフル回転した。しかし、本当に寝ているだけの部屋なので、特に思い浮かぶものがない。ヘソクリもないし、エロいものも置いてない。置いてある五月人形を壊してこっそり修復、もしていない。モノを置きっぱなしにはよくするので、なにか食べ物でも腐らせてたのだろうか?と思いそれを口にする。

「いや…全然わからんけど、なんかパンでも腐らせてたりとかしてた?」

顔を見合わせる妻子たち。
「どう思う?」
「これはマジで知らんのんじゃない」
「なんかウソをついてる感じじゃない」
「えー、でもあれを気づかないとかある?」

目の前で行われる会談。なんだ?気づいてないやらかしがあるのか?ビクビクしていると妻が口を開く。

「あの、クルマに傷がついてるんよ」
えっ!?
「最近こすった感覚なかった?」
「えー?いや…あ、あれか、図書館の駐車場が結構段差があるから底をやってしまったか」
「いや、側面の下のほうよ。家の駐車場で」
えっ!?

自慢ではないが自分は車幅感覚が悪い。去年車が変わり、気を付けていたつもりだったが慣れてきてちょっと弛んでいたのだろう。

「あー…そういえば最近ちょっと車を深く入れた時があったがアレか」
「それよ!あれで車がめちゃくちゃ出しづらくなってて、(息子)と(娘)に見てもらいながら何回も切り返して、駐車場から出すのに20分くらいかかったからね」
「それはスマン」
「まあでも結構わかるくらいついてるよ、傷」
「うーん、カー用品店で塗るやつでも買ってくるか」

「にしてもこれで他の隠し事が出てきたらどうする?って子どもたちと話してたのに何もなかったね」
「あー、浮気とか?」
「ま、それはないだろうと思ったけど、(息子)なんか「浮気はこのお母さんじゃけ仕方ないよ」て言ってた」
「理解があるなぁw」
「むしろ隠し子がほかにいたら会ってみたかった」
「あ~、まあ愛人は3人いるけどね」

笑う子どもたち。

「まあうちの(息子)だって本当は(俺)さんの子供じゃないからね」
「んなわけないだろ」

息子と俺はめちゃくちゃ顔が似ているのでこの手の冗談はもはや鉄板ネタと化している。

ちなみに車の傷は後日確認するとほんとうにまあまあついていて、これに気づかない自分も相当だなと思ったが、まだ補修はしてない。コンパウンドみたいなものでどうにかできるだろうか…?


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かわさき(土竜)
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