自装と他装

着物関連の本を読んでいて、自装と他装という言葉を知った。
自分で着るのが自装。
着せてもらうのが他装。
 
自装は簡単である。
浴衣なら30分、着物で半幅帯なら2時間あれば着られるようになる。
着物が難易度が高いわけではなく、単にパーツが増える。
しかし、着付け士とか「他装」のプロを目指すといきなり超大変になる。
 
で、また別の本を読んでいて「自分で着られる」と「自分できれいに着られる」は違うと書いてあって、膝を打った。
 
私は、祖母はほぼ着物、母も着る人だったので、私も普通に着せてもらって、構造とか何が必要なのかは理解していた。
祖母は自分の着物は自分で縫っていたし、カレンダーを丸めて衿芯をつくるお手伝いとかもしていたので、身の回りに普通にあったので、まあ自分で着られる。
 
ところが、私はどうも格好悪いな、と感じるときがあって、諸々見直し。
まさに「自分で着られる」と「自分できれいに着られる」は違う、というやつだった。
 
また、別の本を読んでいて、お太鼓を前結びする方法を知る。
前で結んでくるりと回す。
練習してみたらできるようになったので、後ろに手が回らない私もお太鼓結びができるようになった。
 
本日は、メルカリで買った更紗の着物を、誰に見せるともなく超きれいに着て仕事している。
肌触りがよくてうっとりする。
袷の季節バンザイ。
 
母語を習得するときのようには、現在は着物の着方を習得することができない。
着たくなったら絶対にある程度の勉強と練習が必要になる。
これは例えば、バイク、自転車、キャンプ、サウナ、中国武術、短歌なんかの、手間がかかるタイプの趣味の人と被るのではないかとかねがね思っていたのだが、私も時々見ているきもの関連Youtube「すなおチャンネル」のすなおさん、バイク乗りだったそうで、やはり。
 
某歌人集団で浴衣水族館吟行をやったときの、浴衣を自力で着てみたい皆さんの前のめりな情熱と、習得の速さ、テキスト摂取量に感動したものだった。
勉強できる人は着られるようになるまでの道のりが超プラクティカルだった。
 
着物を着るようになって、洋服もまた新しく買ったら一日家の中で着てみて、まずこの子はどんな子なのかな、とお付き合いするようになった。
服に関して愛が深まっている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?