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バーチャルエンタメメディア「MoguLive」を続けていくことの楽しみと苦しみ

「MoguLive」副編集長のゆりいかと申します。株式会社Moguraに所属して、およそ半年が経ちました。正社員以前から(2019年頃から)MoguLiveにはライター、編集者として参加していましたが、あらためて、自分の仕事について振り返ってみます。

「MoguLive」副編集長のゆりいか

MoguLiveのお仕事って何?

そもそもMoguLiveをご存知でしょうか? 簡潔に言えば、株式会社Moguraの運営するバーチャルエンタメメディアです。VRゲームやVTuber、メタバース、ARアプリなど、“バーチャル”にまつわる様々な情報を、ニュースとして多くの人たちに届けるというのがメディアの役割になります。

姉妹サイトにあたるMogura VR Newsは、テックやビジネスの話題をメインとしていますが、「MoguLive」は多くの人が遊び楽しむエンタメに主眼を置いています。そのため「VRゲームで面白い作品ってどれ?」「VTuberって今どんな話題があるの?」「VRChatでおすすめのワールドは?」などの気になる情報を、初心者の方でも分かるように丁寧に伝えることが使命です。

MoguLiveに参加してくださっているライターさんは、バーチャル空間を取材したり、VTuberさんに直接インタビューしたりと、シンプルな情報だけではなく「現場の熱、盛り上がり具合」といったものも含めて記事化してくれます。

編集者は(自分を含めて)、記事の企画アイデアを考え、取材のためのスケジュールを調整し、あがってきた原稿を確認、より良いものにブラッシュアップできないかを考える……といったことを担当します。副編集長としては、記事依頼〜公開までの進行がスムーズに行われているかや、メディア全体を盛り上げるためにどんな施策を打ち立てられるのか、といったことを受け持つことになります。後述しますが、正直結構大変です。ただ(最近はこの言葉自体にマイナスイメージがあって使いづらいのですが)「仕事のやりがい」といったものは非常に感じられると思います。

リストラ決定の夜、はじめて触れたVTuber文化

僕がなぜ今の仕事に従事するようになったのかも、少し話します。大学卒業後、とある出版社でアルバイトしたり、アイドル系のWEBメディアで取材記事を書いたりと、いわゆるフリーライターとして活動していました(当時は、本当に「駆け出し」という言葉がぴったりの状態で、右も左も分からないままに仕事をしていました。上司や先輩方には大変ご迷惑をおかけしました……)。

27歳の頃に、某エンタメ企業に新設されたメディア部門に所属(全国の観光マップを作成するような仕事でした)。編集やライターの仕事について初歩から改めて叩き込まれて、辛いことも多かったのですが「これで、ようやく文章で食べていく道が開ける……」と、差し込んだわずかな光に希望を見出してもいました。

しかし、わずか1年ほどでプロジェクトごと崩壊。メディア部門は全員リストラ通知を受け、これまで書き溜めた記事もすべて消去という流れになりました。

リストラ通知を受けた日のことは忘れもしません。上司も同僚も皆気まずい顔で不安や愚痴を語り合っていました。1人ずつ人事部の担当者に呼び出され、退職の手続きを淡々と済ませる光景も覚えています。

僕は「自分の仕事全てが読者に正しく届くこと無く終わる」といったことが何より辛かったと思います。その夜、会社の休憩所でPCを立ち上げて、何をするでも無くYouTubeをただダラっと見ていたのですが、そのときにたまたま目に止まったのが、VTuber(※当時はバーチャルYouTuberという呼び名が主流)電脳少女シロさんの動画でした。

それ以前にも「VTuberが活躍している」という話自体は耳にしていて、キズナアイさんやミライアカリさん等の動画は見ていたのですが、電脳少女シロさんの動画をきっかけに、VTuberに夢中になり、「自分の知らないところで面白いことが起こっている」という事実に興奮しました。もちろん、リストラで心身が傷ついていたところに、スッとVTuber文化が刺さったというのもハマった理由の一つと言えます。ただ「自分が次にモノを書く現場はきっとこっちだ」という指針を得られたことも大きかったのではないかと思います。

その後、フリーランスに戻って様々なメディアでVTuberについて取材したりしていたところ、当時のMoguLiveの副編集長より仕事のお誘いがあり、まずはライターとしてお仕事を担当することに。あれよあれよという間に、次第に執筆依頼だけでなく他ライターへの執筆相談や企画立案といったお仕事にも関わるようになり、気がつけば「編集者」として参加することになっていました。

MoguLiveを続けていくことの楽しみと苦しみ

自分がMoguLiveに編集者として関わるようになってから、まず強く意識したのが「メディアを消滅させないこと」でした。それは先に話した「リストラとメディアの消滅」という出来事のトラウマが関わっています。それ以外にもフリーランス時代には多くのメディアの勃興と衰退を見ていますし、自分の関わった仕事が簡単に消えてしまうといった出来事も数多く体験しました。

「次の仕事で失敗したら、本当に自分の仕事人生は無駄に終わってしまうかもな……」という強い危機感と切迫感があったと言えます(正直に言えば、今も強くあります)。

なので、日々のビュー数や反応数は血眼で確認し、「何が読者に喜ばれるのか」「どういう情報があると満足いくものになるのか」をかなり手探りして、試行錯誤していきました。メディアの難しいところは「この法則で記事を出し続ければいける!」と思ったら、すぐに同じタイプの記事が読まれなくなってしまったり、「こんなに予算と時間をかけて、しっかり取材したのだから必ず読んでくれる!」と思った記事が、全然肩透かしに終わったりといったことが当たり前のようにあるのです。

また、このバーチャル関連の業界は非常にディープで複雑な情報も数多く、それらを一般読者の方にも分かりやすく伝えるという点は非常に苦労するポイントでもあります。「わかる人にはわかる」と思って投げやりになった記事では、どうしても一般の方にまで、VTuberやVRコンテンツの面白さが伝わりません。

皆さんに面白がってもらうためには「ここに面白い沼が広がっている」ということをライトに伝えつつも「しかし、この沼は思ったよりも深いよ」ということも同時に分かるようにする必要があります。

それには、ライターも編集者も文化の広さと深さを身をもって体験し、「どのように情報を掘っていけば、自分が面白いと思えるものにたどり着けるのか」を案内していくことになります。それは並大抵のことではないと思っています。

さらに「時流」も深く関わってきます。「メタバース」などの言葉が急に流行語として取り沙汰されたかと思えば、今度は「AI」というキーワードに一斉に注目が集まるようになる。流行り廃りのスピードは歳を重ねるごとに加速していき、SNSは情報過多。そんな中で、旧式のWebメディアで何を選び、どうまとめていくのかも悩ましいところです。

ただひとつ言えることがあるとすれば、日々コツコツと「今の状況ならこういう記事が必要だ / 面白いだろう」という企画を積み重ね、ちょっとずつ読者の方々の信頼を得ていくしかないということでした。おかげさまで、クラウドファンディングなどのご支援の結果、昨年からは、メディアの総力でひとつのテーマを取材する「特集」というカテゴリが新設され、企画の幅も広がりました。メディアの足腰も少しずつではありますが、しっかりとしたものに成長しています。

この仕事を担当していて嬉しい点は、読者の方々が「MoguLive」というメディアの存在を知ってくれて、情報ソースとして信頼してくださることに尽きます。実際、直接お会いした読者の方に「あの記事は良かったです!」「インタビュー読みました」と声をかけてくださると、これ以上の喜びはありません。

また、日々好奇心をくすぐるようなニュースや出来事に出会えるといった点も魅力的なところです。表舞台で活躍するVTuberさんたちの生の声を聞くことができたり、VRコンテンツを制作するクリエイターの方々に気になることを質問できたりと、この仕事でしか得られない出会いが多くあります。憧れの存在に接して、自分の言葉でその素晴らしさを紹介できるのはライター、編集者の冥利と言えるでしょう。

もうひとつ、これは編集者ならではの感覚かもしれませんが、「一見関係ないと思っていた、個別の出来事が、やがて線として繋がって予想外の大きな流れを起こしている」といった世の中の変化に気づけるというのも、この仕事ならではのものだと思っています。例えば、VTuber文化についてより深く知ろうとすればするほど、VRやARなど様々な技術の土台のもとに生まれていることが分かっていきますし、関係なさそうに見えたVRコンテンツが実は別のジャンルで広く使われていたといった事例も数多く目にしました。そういった世の中のつながり、人のつながりの面白さを紹介したいとも強く思っています。

「やりたいこと」を受け止めてくれるMogura社

今、僕はMoguraに正社員として所属しているわけですが、その働き方に関しては、自分の「やりたいこと」をかなり優先してもらっている実感があります。何よりの証拠は、自分が毎週ライフワークとして働いている新宿ゴールデン街でのバーテンの仕事を許容してもらって、そのために働く時間を調整してもらっていることです。

このバーテンの仕事は、僕が8年くらい毎週月曜日に続けているもので、この場所をきっかけに様々な人たちと交流できる点で、自分にとって大切な場所のひとつとなっています。ここを訪れる方々は当然、VRやVTuber関連の人たちでは無く、ごく普通にフラッと寄ってきてくれた方々です。話題もその場その場でフッと移り変わっていきますし、ジャンルなどを気にせずに会話を広げられるという自由さがあります。それによって、ついついひとつのことに没頭してしまいがちになる日々に新鮮な風を取り入れてくれて、自分というものを取り戻させてくれることもあります。最近ではVRやVTuberの話を面白がってくれる人も徐々に増えてきていますし、「MoguLiveを読んで、気になって来てみました」という人も少しずつ見られるようになって嬉しい限りです。そういった働き方を認めてくれているからこそ、メディアの仕事のモチベーションも上がっているのではないかと思っています。

また、家庭の生活スタイルが大きく変わりそうなタイミングでも、こちらの事情を汲んだ上で相談してくれる点も大きいところです。所属している社員全員が優しく真面目な方々なので、こちらの困っていることをしっかり聞いて受け止めてくれている印象もあります。これまで話してきたとおり、楽しみも苦しみも両方ともありますが、「仕事のやりがい」をとても感じています。

あらためてになりますが、今後もMoguLiveはさまざまな試行錯誤を続けていきます。VRコンテンツやVTuberの興味深くてタメになる情報を分かりやすく伝えるため、さらに「できること」を広げていきたいと思っているので、何卒よろしくお願いいたします。


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