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ゴールデンウィーク中の晴天の日
高齢の両親との暮らしはカオスでしかない・・・
四月の末から気温が上がったり下がったりで毎日着るものに迷う。
今日も父が毎朝恒例の台詞をのたまう。
「ちょっと床暖房つけてんか~」
父は、92歳になっている。
若い頃は健脚自慢で大阪から東京まで歩いた話や登山を楽しんだ話を数えきれないくらい聞かされた。
その自慢の脚が衰えて自力では歩けなくなり、何かにつかまったり這ったりして移動している。
自慢であったものが使用不可能となってしまった悲しみの心の中はお察しする。
それだけでなく、父は大好きだった読書も目が見えにくくてできなくなったしテレビも観ることに疲れるらしく拒否反応を示す。
唯一昔ながらのトランジスタラジオはよくつけるが集中力が続かないのかすぐに切ってしまう。
「ここで音楽を一曲・・・」なんてアナウンサーが言い何かの曲が流れてくると、音楽を聴くことはまるで悪いことのように大慌てでメロディーを根こそぎという感じでコンセントを引き抜く。
だから楽しいことが一つもないみたいだ。
ただ、森繁久彌さんの『知床旅情』にはとても反応する。
一緒に口ずさむのだ。
だからユーチューブで『知床旅情』を数回かけて父なりのノリノリになったところでこれまた父の大好きな『母さんの歌』『雪山賛歌』『月の砂漠』なんかをパレードで流す。
父はいい歌を好きなんだなあ・・・と少し嬉しくなる。
さて、父は毎朝起床すると寝巻から服に着替え居間に来て寝転ぶ。
寒い時期は電気毛布の寝床から居間の床暖房に場所移動して横になる。
まあ一日中寝転がっているわけである。
なので冬場の床暖房はさぞかし心地よかろうと思う。
・・・・・けど。
今は5月。
微妙な季節だ。
その日によって気温が一定していない。
数日前は確かに肌寒かった。
でも、今日は外は晴天で気温25℃。
私は朝から半袖のTシャツでちょうどいい。
そんな日にも父が言う。
「ちょっと床暖房つけてんか~」
「ええっ!今日はあかんわ。暑いって」
「寒いねん。床暖房入れて」
「いやいや。気温も高いし床暖房なんか入れたら身体こわすで」
「そやけど寒いねん」
「寒くはないやろ。みんな夏に近い格好してるで」
「ヒトはヒトっ!ワシは寒いねん」
・・・・と、その横で外から入って来た母がなんかリモコンのスイッチをごちやごちゃ触っている。
「え?何してんの?」
「暑いからなクーラーつけるねん」
もうどないなってるんや~
床暖房入れてくれの人とクーラーつける人と・・・・
みんな感覚がてんでバラバラ。
でも、なんか面白いから笑っとこっと。
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