台湾有事よりフィリピン有事?
◉フィリピンのマルコス大統領が、他国によってフィリピン国民が一人でも亡くなったら、それは戦争行為と同等だと、アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)での基調演説で表明したとのこと。内容も過激ですが、発表した場所が場所ですから、これは南シナ海で領有権を巡って争う中国に対して、かなり強硬な態度を示したわけで。台湾有事の可能性が取り沙汰されていますが、あんがい突発的な中国とフィリピンの戦闘行為が勃発する可能性があります。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、フィリピンの地図です。
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詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。フィリピンは、長らくアメリカとの関係が強かったのですが。これは、アメリカの悪癖で、独裁者を支援してしまうという例のひとつで。アメリカは、南ベトナム(ベトナム共和国)のゴ・ディン・ジエム(吳廷琰)大統領や、韓国の朴正煕大統領、エジプトのムバラク大統領、シリアのアサド大統領などなど、独裁者を支えてしまうんですよね。これらの政治家が、モインな大統領を名乗っているのは、偶然ではないんですよね。アメリカの影響の大きさゆえ。
独裁者であったマルコス大統領時代は、まさにアメリカとフィリピンは蜜月でした。でも、ベニグノ・アキノ氏の暗殺から始まった政変、エドゥサ革命(二月革命、ピープル・パワー革命)でマルコス夫妻はアメリカに亡命。そして、アメリカンとフィリピンの関係も、次第に冷えたものに。でも、アメリカ軍がフィリピンから撤退したら、今度は中国が南シナ海の岩礁を巡って、領有権を主張してきて、一気に緊張感が。アメリカという強国がいたときは、手出しをしなかったのに、後ろ盾がなくなったら、権威主義国家の素顔を見せだしたわけで。
フィリピンも、ここら辺の事情があって、アメリカとの関係は修復され、日本もまた関係は良好。マルコス時代は、戦前のことを持ち出して日本を批判し、援助を引きだうという面が、フィリピンにはありましたからね。中国という具体的な脅威と、アメリカというジャイアンで困った面は多々ありながらも、それでも建前は民主主義を標榜する国と、どっちが頼りがいがあるか、ですね。これは、ベトナムなど他の中国と国境を接する国も同じで、中国という共通の敵がいることで、フィリピン・台湾・ベトナムなどの東南アジア各国が、団結するという流れ。
ここに、安倍元総理の日米豪印戦略対話(Quadrilateral Security Dialogue、略称:Quad)が、ピタッとハマったわけで。そもそも、日米豪印とは言っても、豪州は白豪主義があり、ある時期まで中国ベッタリの政策をやっていましたし。インドは、等距離外交という名の、したたかなコウモリ外交で、単純に自由主義陣営とはいかない国。ベトナムは、アメリカと泥沼の戦争をやった国で、フィリピンは前述の通り。アメリカとしては、一筋縄では行かない国を、対中国包囲網という形で、まとめ上げる構想は、まさに渡りに船。G7唯一の有色人種の国家という、日本の音頭取りがあってこそ。
この対中包囲網は、ABCD包囲網に近いイメージで、本来はコレにTPPという経済包囲網があるのですが。フィリピンが強硬な態度で対中国に向かうなら、突発的な戦闘になる可能性が。21世紀の盧溝橋事件が、南シナ海で起きる可能性。単純な軍事力で言えば、フィリピンは中国の敵ではないです。長く国境紛争でぶつかってきたインドや、中越戦争で痛い目に遭ったベトナムと違って、フィリピンは与しやすしと、中国がちょっかいをかける可能性は、あるでしょうし。そういう意味では、台湾有事よりフィリピン有事が、先に来る可能性はありそうな。
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