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め
2016年6月14日 19:31
余ってしまったお月様のカケラは、夜空に浮かべてしまわずに瓶の中に入れて仕舞っておく。その中に、幾夜も寝かせておいた赤ワインを注ぎ込み冷蔵庫の中に忍ばせておけば下準備はおしまい。まぶたが重たくなるほんの少しのまどろみのあいだ。私はわざと忘れたふりをして「良いものがあるのよ」と彼に微笑みかける。冷蔵庫の隅っこでルビーのような輝きを放つ瓶を取り出して、紅色のお月様のカケラを一つまみ。お互いの口に放り込