シェア
め
2016年10月24日 10:13
触れれば簡単に砕けそうな硝子のピアス。 細かい曲線が連なった金の指輪。 ぐにゃりと曲がる薄いバングル。 どれもほんの少しの不注意で壊れてしまいそうなものばかりで、でもカエデさんの周りはそういったもので溢れている。 「わざと身につけて緊張感を持って生きなきゃ、私はダメになるんだと思う」 カエデさんが初めて俺の家にやってきたとき、彼女はひどく不安そうな顔をしてそう言った。俺より年
2016年10月22日 15:01
ここは雨ばかり降る。 水滴が落ちてきて、蒸発して、それが白いもやもやとなって、彼女の周りを覆っている。 「フォグおいで」 彼女が私の名前を呼ぶとき、私はすでに彼女の膝の上にきちんといる。それでも、時々不安になるのか、彼女は私の名前を呼ぶ。 もうしばらく開かれていないカーテンを眺めながら、彼女はいつもぼうっとしている。薄い緑色のカーテンは、淡い光を透かし、彼女の素足を柔らかく照らし