ムンクと恋の話
最近ムンクの本を読みました。
美術は好きですが、実のところムンクの作品には全く興味が無く、
どちらかというと、ロココ時代のブーシェや、マリーアントワネットが寵愛した画家、ウイジェ・ルブランなどの、分かりやすくてパッと見華やかな絵が好きです。女性が美しくかわいい絵画が好き…
しかし、ムンクの人物像を知って、
「メンヘラ系画家、好きかも!!」という、新しい興味!関心!好奇心!が生まれました。
そして最終的に癒されました。
ムンクさんはメンタルヘルス系男子
有名な「叫び」をみても、明らかに画家本人が「精神的に健康ではない」ことは明らかですよね。心身共に虚弱だったムンクさん、意外と恋多きオトコでした。
彼の残した作品には、「女性・恋・情欲」がテーマのものがたくさんあります。
その中でも、私が、好き!となった作品
「別離」1896
ムンクが当時交際していたのは、彼の「はじめて」の相手でもある、
人妻のミリー・タウロウさんという方です。
社交界の花形で、とても美しく、ムンクよりも3歳年上でした。
初恋でありながら、人妻と不倫交際とは・・・。
ムンクすげー(中2男子の感想)という気もしないでもないですが、
人妻ミリーとの道ならぬ恋は、彼を苦しめます。
ムンクはこの「別離」のほかにもたくさん「ミリーとの恋の苦悩」を表す絵を描きました。
そんな快楽と苦痛の入り混じる、激しい初恋も5年で終わりを告げます。
この別離という作品の内容ははいうまでもなく…
ミリーとの別れを描いています。
左側で胸を押さえ、力なくたち尽くす男性はムンク、その横を、光に照らされ意気揚々と去っていく女性がミリー。
よく見ると女性の髪の毛が、男性の体にまとわりついているのが分かります。
このミリーさん、ムンクと交際中、当時の夫と離婚するのですが、すぐに違う男性と結婚してしまいます。
その事実は、よりムンクの心に深い傷を残すこととなりました。
ムンクの気持ち、めっちゃわかる~
皆さんはどうですか?
この作品のストーリー、ムンクの恋、人物像を知って、
改めてこの「別離」を観て、どんな気持ちになりましたか?
私は思わず、ムンクの肩をゆさぶりながら、
「その気持ち、めっちゃわかるよ~!!!」
と、言わずにはいられませんでした。
このムンクさん、ちょっとかわいい感じもしますよね、切なげな顔が。(私だけかな)
いやあの、私は不倫はしたことはないですが・・・(一応言っておく)
ここに描かれているムンクのような思い、結構たくさんの人がしたことがあるんじゃないかな~と思うのですが、どうでしょうか。
愛する人が去ったけれど、その人の影が自分にまとわりついて離れない
っていう経験。
私はあります!!!!(大声)
恋に落ちている間は、
「その人がいてこそ私」になってしまう。
「その人」がいなければ「私」が無くなってしまう。
「別れ」は自分自身が半分もぎ取られるような痛みや苦しみが伴う。
この作品も好きです。
「接吻(モチーフ)」
一時期ツイッターでも話題になったこの絵。
ムンク展では「愛とは個人の喪失である」と解説があったとか。
接吻シリーズ好き。
「接吻」
ぐにゃぐゃ。後ろの月明りを表す光の棒は、画家本人曰く。男性器の象徴らしいです。
「ああ~なるなる、こうなるよね人を愛すると、個人を喪失するよね~・・・」
と思える作品(雑~)
私の愛を代弁してくれたムンクさん
どちらの作品も、全私の共感を呼びました。
なんだか私の愛や、恋で得た感情を絵で代弁してくれたようで嬉しかった。
観て、作品の背景を知ることで、不思議な感覚のセラピー効果がありました。
普段生きていて、
「私の今までの愛って、個人の喪失だったんです!!」
「過去の恋人が、私にまとわりついてしんどいんです!」
みたいに、自分の「気持ちの奥」「私にとっての愛とは」などを感情的に、ぐっちゃぐちゃになりながら話すことってなかなかできないですよね。
会社や、学校という箱の中で生きていると、その箱にみんなで綺麗に収まるために自分の感情を押さえて生きるから、自分の気持ちが分からなくなったり、本音や本心そのものが消滅したことにしてしまいがちなのが我々です。
ムンクの絵を観たことで、今まで出せなかった感情が表に出せたようなきもちになって、癒されました。(人によっては不倫の絵を観たりしたら、フラッシュバックがきついという人もいるかもしれませんが・・・)
これからも精神を病んだ経験のある画家をどんどん知り、自分と重ね合わせることで、癒されたいな~と思います。
新しいアートの楽しみ方が増えたぞ!
それではまた~