ポチポチゲーのデザインの応用可能性
・2000字弱
・「読書通帳」女の子の通帳には合計50万円
私も図書館にはお世話になっているし、自分が担当した本をたくさん借りてもらえるのは嬉しい。この読書通帳が本を読むきっかけになれば、とは思うけど、一所懸命本を作ってる側としては「得した」とか「(お金が)浮いた」という表現をされると、複雑な気持ちにはなる。→続https://t.co/qb4VdzHcVe
— シオタハルカ (@harukashiota) May 30, 2023
・本の貸し出しにソシャゲ性を持たせている。
・動機がなんであれ、皆が本を読むようになるというのは素敵なことだと思う。でも上のツイートのリプツリーで指摘されている通り、「本を買わずに借りると得だ」という価値観は、裏返して「本を借りずに買うと損だ」という価値観の形成にも繋がりそうで、一長一短だよなとは思う。それを加味しても個人的にはこの記帳システムには賛成だけど。
・勉強とかも、ソシャゲ性を持たせれば子供が勉強を好んでやるようになると個人的に思っている。
・ #ポチポチゲー
個人的に、ポチポチゲーと呼ばれるゲーム群が嫌いだ。モバマスとか、怪盗ロワイヤルとか、ガールフレンド(仮)とか、最近だとクッキーランキングダムというスマホゲーもそれに属すると思っている。
ポチポチゲーとは:
ボタンをひたすらポチポチするゲーム。
ポチポチゲーという言葉は定義が曖昧なので、当記事内では、ポチポチゲーという言葉をもう少し細かく定義してみよう。
ポチポチゲーの定義:
①報酬系に結びつく経営資源が多い。
スタミナ、アイテム、キャラレベル、スキルレベル、クリスタル、コイン、ガチャチケット、スコア、ランク、クエスト達成度など、「覚えておくと気持ちよくなれる数字」が多い。
②目的が循環参照している。
「コインを溜める→レベルを上げる→ステージをクリアできる→クエスト達成度が上がる→コインを溜める」のように目的が循環参照しており、別にどれがメインの目的というわけでもなく、どの目的を達成できても微弱な快楽を得られるという無限ループが発生している。今の例え話は、話を簡潔にするために直列の4ステップで書いたけど、実際にはもっと複雑に目的の因果関係が交錯している。
③「クエストを達成することによるクエスト達成」がある。
つまり、「クエストを10個クリアする」というクエストがあったりして、報酬を貰うことによって報酬が貰える。
④デイリークエストがある。
⑤ゲームの「売り」とされている部分は、徐々におまけになっていく。
表向きの(広告向けの)メイン要素が音ゲーだったとしても、②にある通り目的が循環しているので、「クエスト達成を楽しむために、同じ音ゲーを何度も周回しなくてはいけない」のように目的が逆転する状態になる。
⑥時間経過で回復する資源が多い。
10分ごとにゲームを開かないと損しているな気持ちになるような工夫がされている。
ソシャゲとほぼ同義なのだけど、ソシャゲとポチポチゲーの区別点は主に⑤にあると思う。「メイン要素の面白味 < クエストクリアの面白味」になり始めたらそれはポチポチゲーということにしよう。
以上がポチポチゲーの定義である。ADHDが手を出すと、深みにハマって出られなくなる工夫が詰まっており、私も何度かこの深みにハマり、人生の貴重な時間を無為にしたことがある(あまりにアホくさいので今はもうしていない)。
・正直これは、ドラッグの一種だと思う。
大麻、覚醒剤、ポチポチゲーである。
人は、脳の報酬系を直接つつく方法を見つけると、バグってしまうのだ。
・ポチポチゲー自体は百害あって一利なしだけど、しかしポチポチゲーの洗練されたADHD吸引力は何かに応用できそうに思えてならない。ポチポチゲーの開発元は、確実に「ADHDを掴んで離さないアリジゴクを作ろう」という目的を自覚してデザインしているとしか思えない。それほどにポチポチゲーはゲームデザインが洗練されている。
・ポチポチゲーの吸引力は、勉強教材ビジネスに応用可能ではなかろうかと思っている。ベネッセの教材とかも割とソシャゲ性があるけど、ベネッセはまだ良心を捨てられていないと思う。もっと良心を捨てれば、ADHDを掴んで離さない洗練されたポチポチ教材が作れると思う。
・ポチポチ教材を設計しよう。そのポチポチ教材は、ポチポチゲーの定義②で挙げたような、微弱な快楽を無限に得られ続ける「目的の循環参照」が発生している。そしてプレイしているうちに、どうしても「数学の問題を解く」というクエストが快楽の循環をせき止めている状態になるのだ。そしてユーザは数学の問題を仕方なく解く。するとデイリークエストが達成されるし、イベントクエストが達成されるし、そうするとコインが貰えて、エーミールやメロスをレベルアップできる。10分後にはスタミナが回復して再度問題が解けるようになる。が、問題を間違えるとクエストクリアにはならない。これでどうよ。
・ベネッセさん、そういうゲームを作ったら売れますよ(適当)。
・正直、「勉強をする→弁護士や医者になれる」と報酬系で意味づけるより、「勉強する→クリスタルが貰える」と報酬系で意味づけた方がADHDは勉強すると思う。
・おわり