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タイミー、メルカリハロ、おてつたび。流行りのスポットワークで人を集めてみた!〜各社の比較と気づき

こんにちは!全国で日帰り温泉「おふろcafé」を展開しているONDOグループの宮本です。

サービス業界では、どこも人手不足が叫ばれています。僕が経営する温浴施設も例外ではなく、店舗のスタッフ獲得に奔走しています。

そこで最近流行りのスポットワークを導入してみました。実際に導入してみての気づきや各社の違いなどについてレポートします。


今、大注目のスポットワークを使ってみた

スキマバイトサービスを提供するタイミーが2024年7月26日に上場し、スポットワークへの注目がさらに加速しました。やはりタイミーが有名ですが、同種のサービスに続々と他社も参入をはじめています。

他のサービス業各社と同じく我々も人手不足に悩んでおり、スポットワークでの求人をはじめてみました。募集したのは三重県四日市市にある「おふろcafé 湯守座」です。

温浴施設という利点を活かし、3時間働いていただけると2時間サウナ無料という特典をつけて募集をかけたところ、無事働き手が見つかりました。

これまで3つのスポットワークサービスを使ってみました。

① タイミー

2018年にリリースされた、スポットワークアプリ。現在では700万人以上のユーザーが利用しており、約9万8000の事業者が導入しているそうです。

<特徴>
・スポットワークアプリの第一人者で、ユーザー数も多い
・ユーザーと職場の相互の評価システムがある

②メルカリハロ

言わずと知れたフリマアプリ「メルカリ」を提供するメルカリ社が2024年3月から始めた新しいスポットワークのプラットフォームです。

<特徴>
・メルカリのアプリから検索できるので、現メルカリユーザーの母数(月間利用者数2,200万人超)をそのまま労働力として見込める
・メルカリの評価とハロの評価が紐づくため、ユーザーは評価を落としたくなくて真面目に働く(という狙いの設計になっている)

③おてつたび

「お手伝い」と「旅」を組み合わせた人材マッチングサービスです。もともと農家や漁師など一次産業のかき入れ時に、田舎に泊まり込みで手伝いに行くサービスだったそうですが、最近は旅館やサービス業でも活用されています。

<特徴>
・地方創生に関心の高いバックパッカー系の人が使っている
・青年海外協力隊やワーホリなどと相性が良い
・コミュ力・貢献意欲が高い人が多い印象がある
・泊まる場所を写真で共有して募集する必要あり

スポットワークと人材紹介系サービスの違い

元々こうしたスポットワークサービスも、いわゆる「派遣サービス」や人材紹介系のフルキャストやランスタッドと類似するサービスなのかな?と思っていたのですが、使ってみた感想は全く違いました。

これまでの人材紹介系サービスでは
・来る人がどんな人かわからないため汎用性の高い業務になる
・前日まで人がアサインされるかどうかがわからない
というネガティブポイントがありました。

そのため、厨房の皿洗い・ランドリー・草引きなど、日常生活で体得しやすい業務でかつ「来てくれたらありがたいけど、来てくれなくても業務はできる」という使い方になりがちでした。

スポットワークは求人の書き方次第では、業務経験がある人に絞って募集することもできます。

今までよりも、少し難易度が必要な業務にも活用することができそうです。

スポットワークの副次作用

事業者の立場で考えると、数時間単位で人材を確保できるスポットワークは、繁忙期や急な欠員が発生したときなど、ピンポイントでの人材補充が主な用途になります。

しかし、それだけではなく副次作用も期待できることがわかりました。

①引き抜きOK
派遣サービスとは異なり、スポットワークで来てくれた人は、直接の雇用契約のために引き抜いてOKです。

その前提で考えると、アプリに支払うサービス利用料(※タイミーの場合、ワーカーさんの報酬金額の30%)も採用マッチングのための広告費と捉えることができます。

②潜在的な新規顧客の開拓
スポットワークでは人材紹介と違い、本人から応募があります。その時点で少なくともお店に興味を持っていたり、下調べをしてくれていたりしています。お店に興味を持ってくれる人を増やすという意味で、新規客の誘客にもつながっていると感じました。

自社のスタッフレベルに対する内省

さらに、使っていくうちに、「では自社の直接雇用のスタッフレベルはどうなのか?」という疑問と反省も出てきました。

当たり前ですが、自社で採用・教育しているスタッフの方が、経験値も高く、レベルも高いはずです。

にもかかわらず、「タイミーで来た人の方が覚えが早く戦力になる」という現象が発生してしまうのであれば、自社の採用教育やマニュアルを見直さなくてはいけません。

スポットワークを活用するときに気をつけること

以上のようなことを踏まえて、今後、自店舗でスポットワークを活用する場合には次のようなことに意識したほうが良いだろうと思います。

① 仕事を通して、自社の魅力が伝わるか
「またここで働きたい」「お店をプライベートでも使いたい」と思っているような受け入れ方ができているかという観点。
事務所の綺麗さや、受け入れるメンバーの人の良さ、事務手続きのスマートさ、など。

②採用や再来店のフックになっているか
正規アルバイトの申し込み案内をしたり、次回使える割引券を渡すなどの仕掛けをつくる

③自社メンバーのレベルは高いか
スポットワーカー以上に働けるメンバーを育成するための指針やマニュアルの整備をする

事業者の立場としてスポットワークはとてもありがたく便利なサービスですが、あまりそればかりに頼りすぎると、自社での採用や教育・職場環境をおろそかにする文化が生まれてしまいかねません。バランス良く活用していく意識が大切ですね。

このnoteは、ONDOグループ社内に向けて僕が配信しているコラムを基にしています。経営者として考えていることや、旬の情報、ビジネスのノウハウなどをシェアしています。
同じハコモノ事業者さんや、サービス業の方々にとってもお役に立てるものがあるのではないかと思い、内容を少しだけ編集して公開しています。

宮本昌樹@ONDOグループ CHRO

1986年生まれ、和歌山県出身。27才の時に地域活性を目指して株式会社温泉道場入社。支配人を2年間経験したあと、店舗リニューアル開発・コーポレートブランディング、フランチャイズ事業などを経て、HR部門に注力。2019年より、ONDOグループ1人目の社長として、三重県の株式会社旅する温泉道場の社長を兼任している。

Twitter:https://twitter.com/masakimiy

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