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【アフタヌーンティー】熊はやがて雪だるまとなるが、溶けることなく私を見つめる。

先日、妹とアフタヌーンティーに行った。場所は東京・日本橋にあるロイヤルパークホテル。地元に住み続ける妹と東京に拠点を築いた私、久しぶりの再会だ。私はこの日、可愛らしいスイーツを頬張りながら小さな3つの学びを得た。

愛って複雑よね〜、的な話。

その壱、「6年」という時の隔たりは意外に大きいということ。
妹と私は6年前までふたり暮らしをしていたけれど、家庭を持って別々に暮らし始めてからは年に2回しか会わなくなった。その間に妹は心の病を患い、笑顔を見せてくれる機会も減った。外側から見ているだけの私が「変わってしまった」などと思うのはあまりに傲慢だと自覚しているけれど、以前とは別人のような妹を見ると寂しい気持ちになった。そりゃあ小学校卒業しちゃうくらいの時間が流れているんだもんな、人生いろいろ起こるよな、と自分に言い聞かせる。
そんな彼女とスイーツを頬張る間、全然話すことが思いつかない。とりあえず、最近寒いね〜と当たり障りのない話を始めてみる。なんだそれ、まるでお見合いじゃないか。一緒に住んでいた頃にどんな話をしていたのか、なにひとつ思い出せない。大好きな妹であることは変わりないのに。

熊で合わせるファッショニスタ妹

その弐、はちみつは苦手を克服してくれる魔法の液体だということ。
妹がカモミールティーを頼んだら、ホテルのロゴが入った可愛いミルクピッチャーが添えられていた。「お好みではちみつを入れてください」という店員さんの一言により、中身がミルクではなくはちみつであることを知る。
昔飲んだ時に味が苦手だったような気がする、というおぼろげな理由によりカモミールティーを長年避けていた私であるが、はちみつ入りを飲んだ妹が美味しいを連呼するので気になって頼んでみた。同じ店員さんがやってきて「お好みではちみつを入れてください」と一言添えて去っていった。私のピッチャーは無地だった。
はちみつを入れて飲んでみると味がまろやかでかなり飲みやすい。避けていてごめんなさい、飲めました。妹と一緒になって美味しいを連呼し、そこから会話が弾んだ。こうして苦手を克服するメソッドが増えるたびに私は新しい幸せを知る。

早速おうちでも実践

その参、「もったいなくて食べられない」は罪悪感をもたらすということ。
美味しいことと食べ切れることはイコールではない。私の胃袋はわりとすぐに限界を迎えてしまった。それでも妹と話を紡ぎながら食べ進め、残りは熊のチョコレート細工となる。もったいなくて最後まで取っておいてしまった。でももう胃がチョコを拒否している。
せっかく熊が「愛をあげるよ」の姿勢なのだからハートの部分だけでもいただこう、そう思って引っ張ってみたが、熊の手としっかり繋がっていて剥がれない。必死で引き剥がそうとする様が我ながらみっともなかったので、代わりに熊の耳だけ齧って諦めた。
ごめんね、その愛は受け取れなかった。心なしか悲しそうに見える熊(耳が無くてもはや雪だるま)を皿に残し、ホテルを去る私たちなのであった。可愛いものは真っ先に食べるべし。

ごめんね…
ハート

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