ささやかだけど
コランダ地方通常交流
ルイーさん、お誕生日おめでとうございます🎁🎂🎉
かちり、と秒針が動いた音がする。
日付が変わった瞬間に、シャンはルイーにぎゅっと抱きついた。
「お誕生日、おめでとう。ルイー」
「ありがとう、シャン」
一番に言えたことが嬉しくて、シャンはくすくす笑ってしまう。
「生まれてきてくれて、一緒にいてくれて、ありがとう。大好き」
ずっと遠くから、一緒にコランダに来てくれて、涙が出そうなくらい幸せよ。
少し瞳が潤んだが、シャン泣くまいと必死に涙を堪える。そんなシャンの頭を、ルイーは優しく撫でた。
「ん……えへへ……あっ!ルイー、これ!」
シャンは、隠していた桃の花を彼女に手渡した。
「綺麗だね」
「ふふっ、花屋で見かけて、良い花だと思ったから買ってきた!」
桃の花のそばに顔を近付けると、ふわりと甘い香りがする。
「それで、花以外にもプレゼント用意しようと思った……でも、良いものが沢山あって、選べなかった……だから、明日は一緒にお出かけしよう。ルイーの欲しいもの、買おう」
もじもじ体を揺らしながら、シャンはルイーの反応を見ている。
ルイーに似合いそうな良いものが沢山あって、プレゼントが選べなかった。それは半分正しくて、半分は間違いだ。
無理矢理プレゼントを選ぶことは、やろうと思えば出来たはず。でも、それをしなかったのは。
(ルイーと一緒に店来て、ルイーのほしいもの聞くのも悪くない。デートのお誘い!それが良い!)
そんなことを、店の中で思い付いたからである。
シャンの横でプレゼント選びを見守っていた、カイリューのドンリャンとコジョフーのシーワンは、ウキウキした様子の主人を見て首を傾げていた。
明日は大好きな貴女とデートをして、家でケーキを食べて、みんなでお祝いをしたい。部屋をバルーンで飾って、クラッカーを鳴らして。
ささやかだけど、愛はいっぱいのお祝い。
それが、いつも隣にいてくれる貴女の為に、ワタシが出来る精一杯だ。