輝くユールの夜
はじめに
この作品は、Twitter企画「コランダ地方で輝く君へ」の交流作品です。
不都合な部分は、パラレル扱いとしてください。
お借りした方
・カキョウさん
拙宅
・ハート
***
大きなツリーがそびえ立ち、屋台が並んで街全体が輝いて見える。
今日はクリスマスの日。コランダ地方では、この日はユールと呼ばれている。
ハートは、幼馴染のカキョウとクリスマスマーケットにやって来た。
屋台で二杯のホットワインと、ダルマッカのカグツチにマシュマロココアを、ピチューのポーチにホットミルクを購入した。
「クリスマスマーケット、やっぱり楽しいね」
ホットワインに口付けながら、二人は大きなツリーを見上げた。
レモンや香辛料の入った、温かいワインを飲んでいると、少し体が温もった。
カグツチもポーチも、飲み物を飲みながら笑っている。
「旅をしてる時にも、クリスマスマーケット行ったわね。その時は子どもだったから、飲み物はココアだったけど」
ハートは、カキョウと旅していた頃のことを思い出した。
あの頃は二人で過ごす時間が、今よりももっとたっぷりあったっけ。
「そういえば、さっき写真送ってきてくれたツリーの仮装、ジムの人たちはどういう反応だったの?」
ダグシティジムのユールは、カキョウがクリスマスツリーの仮装をしたという。
ハートは写真を見せられた時素直に、カキョウらしくて良いと思った。
「ギセルにはプロレス技かけられた」
「そっか~…良いと思ったんだけど…」
まあ、ギセルさんはいつもそんな感じよね。
あのツリーの格好、わたしは好き。可愛かったよ。
本音を全部カキョウに伝えてから、ハートは少し冷めたワインを飲み干した。
周りを見ると、街は幸せそうな人たちの笑顔で溢れていた。
家族や友人であろう人々もいるけれど、楽しげに身を寄せ合って微笑む恋人たちが圧倒的に多い。
幼馴染の彼も、いつか恋人とクリスマスを過ごすようになるのだろうかと思うと、ハートは少し寂しくなった。
それでも、寂しさが胸を支配する前に、心の中で首を横に振る。
人を応援するのが好き。
幼馴染が誰かに恋をしたら、世界の誰より一番応援したい。
寂しくないと言うと嘘だけど、そんな気持ちのせいで応援出来なかったら嫌だ。
ハートが、くるくる色んなことを考えていると、彼女の足元にデリバードが来た。
「わぁ、メリークリスマス。ふふ、ポーチもサンタさんにご挨拶して」
ハートがデリバードを撫でると、人好きする笑顔を見せた。
デリバードはハートの手の上に、プレゼントをポンと置く。
「大人にもプレゼントくれるのね。どうもありがとう」
ハートのそばにいたカキョウにもプレゼントを渡すと、他の人にもプレゼントを渡すためにデリバードは去っていく。
ユールのデリバードは大忙しだ。
「…行こう、カーくん」
来年はどんなユールになるのかな。
私たち、来年もまだ一緒に時間を過ごせるのかしら。
キラキラした街が何だか眩しくて、ハートは目を細めた。