Flame

はじめに

この作品は、Twitter企画「コランダ地方で輝く君へ」の交流作品です。
不都合な部分は、パラレル扱いとしてください。

※作品内に頼み事をしている描写がありますが、お相手の行動を縛るものではありません。

お借りした流れはこちら

お借りした方
カキョウさん

拙宅
ハート、トート

Flame

目が覚めたハートの目に飛び込んできたのは、見知らぬ天井だった。

「あれ…?」
「チルッ!」
「ハート!大丈夫か!?」
目を開けたハートは、自分が綺麗なベッドの上に横たわっていることに気付いた。
そしてそばには、チルタリスのトート、幼馴染のカキョウ、彼のパートナーのエンブオーのアグニがいるということにも。

「トート…アグニ…カーくん…ここは…?」
カキョウの話で、彼がハートをここ、メディカルシップまで運んだらしいことが分かった。


PARASITEの神経毒に、侵されていたハート。
眠ってる間に、彼女には解毒剤の投与など、適切な治療が施されたのだという。
その効果なのか、倒れる前に感じていた息苦しさはすっかり消えていた。

「そうだ…PARASITEはどうなったの?」
「アイツなら、アグニがぶっ飛ばしたぞ」
カキョウの横にいたアグニが、力強く頷いた。
「そっか…ありがとう…みんな、心配かけてごめんね…」
ベッドから体を起こし、ハートは皆に対しての感謝と謝罪の言葉を口にする。

「ハート、まだ寝てた方が良いんじゃねぇか…?」
「大丈夫、もう息苦しくないもの」
ベッドに横になるように言うカキョウに、ハートは首を横に振った。

「本当は、避難場所で出来ることをやって、事態が落ち着くのを待ってるつもりだったの。でも、思ったよりずっと酷い状況だった…」
ルギアもPARASITEも、まだ暴れている。
ハートは、怯えている子どもたちの様子を思い出し、掛け布団をぎゅっと握りしめた。

「子どもたちをはやく安心させてあげたい…だから、わたし戦いに行きたい」
だって、わたしには一緒に頑張ってくれるポケモンたちがいる。
解毒剤のおかげで動けるようになった今なら、戦いに行けるはずだ。

「チルッチルッ」
トートの鳴き声に、心配の色が見えた。
またPARASITEに襲われたらどうするのだと、そう言いたいのだろう。
「トート、お願いよ…子どもたちが泣いているのよ…」
ふわふわとしたトートの体を抱きしめながら、ハートは苦しそうに呟いた。

「チルゥ…」
トートは困ったような顔で、カキョウの方を見た。
ハートの意思を尊重すべきか、無理にでも止めるべきか悩んでいるようだ。

「カーくん、戦いに行くなら、わたしも連れて行って…」
ハートの大きな瞳の奥で、静かに炎が燃えていた。

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